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従魔使いのベアリアスワールド・オンライン  作者: 雪結晶
1章 - 始まりの町と初めての従魔
32/202

―――32―――

 ルビーに十分休憩を取ってもらい、次の人形へと移動する。

 イナバに人形を感知してもらい、それが槍人形の場合のみ倒し、それ以外だった場合は次を探す。

 これを繰り返しつつ、間の休憩時間で対策を考えていたがいい案が思いつかない。

 

 

 

 そろそろ槍人形が見つからなくなってきた。

 だが、いい案が思いつかない。

 どうにかルビーへの反動ダメージが低くできれば……。

 僕がもっと威力の高い武器を選んでいれば……いや、魔法銃は良い武器なんだ。

 ただ、状況が悪かった。

 そして対応策を準備していなかった僕が悪かったのだ。

 もう一斉に人形を相手取る覚悟で僕とイナバも攻撃に加わろうか……。

 そうだ、ゴーレムではないのだからまだ勝ち目はあるだろう。

 ゴーレムのように核を取り出しても、その硬さに魔法銃を撃っても木にぶつけても爪で引っ掻いてもダメージがほとんど入らないような魔物ではないのだ。

 どうにか有利な位置取りさえできれば何とかなるので……。

 そうか!

 その方法があったか!

 だとすれば、あれがどこかに落ちていないかな。

 そう思い、周囲を見渡すと目的のものが落ちていた。

 あとはこれを……。

 

 

 

「それではルビー、お願い。ここに攻撃をしてほしい」

 

 弓人形の腹を指さしつつルビーへ攻撃を指示する。

 予想が正しければこれで反動ダメージは無く、一撃で倒せるはずなのだ。

 その為に工夫もした。

 あとは実行するだけだ。

 

 槍人形の時と同じくルビーは空高くへと舞い上がり、すぐに見えなくなる。

 結果を確認する為に人形を注意して見ながら待っていると、人形の傍をを突風が通り過ぎた。

 相変わらず攻撃は見えない。

 だが、成功した結果は見えている。

 人形の方は成功したが、ルビーの方はどうだろうか。

 ルビーだから大丈夫だとは思うが、今回は変わったことをしたので途中で体勢を崩す可能性もあるのだ。

 それが原因で人形を通り過ぎた後に木に激突したり、地面に落ちてしまったりしていないだろうか?

 少しだけ心配していたが、こちらへと飛んでくるルビーを見て、心配は無用になった。

 流石ルビーだ。

 問題なくやり遂げてくれたらしい。

 近くに着地したルビーのHPバーを確認するとHPバーはまったく減っていない。

 よし、成功だ!

 

「ルビー、お疲れ様」

 

 そう言いつつ、その場にしゃがんでルビーを撫でる。

 嬉しそうにしているルビーの瞳を見ると相変わらず自信に満ち溢れているように見えた。

 このままルビーを撫でていたいが、次の準備をしなければいけない。

 そう思い、後ろ髪を引かれる思いでちょうどよさそうな石の採取を開始する。

 

「イナバ、ルビーを守ってあげていてほしい。僕は石を探してくるよ」

 

 そうイナバに指示を出し、周囲を見渡しながらよさそうな石を探し出す。

 

 そう、思いついた方法は石をルビーに持ってもらい、高速で体当たりをする代わりに高速移動しているところでその石を離して人形にぶつける攻撃だ。

 勿論拾った石そのままでは倒しきれない可能性もある。

 なので、魔法銃を使用して石を削り先端を尖らせたのだ。

 最初は削る道具が無かったので拾った石をそのまま使用するつもりでいたのだが、魔法銃で削れるのではないかと思い、試しに石を撃ってみると十分削ることができたので、魔法銃で加工をしている。

 魔法銃では大雑把にしか削れず完全に尖らせることはできなかったが、加工していない石よりは威力が高いだろう。

 本当はミノとハンマーがあればもう少し尖らせることができるのだが、無いものは無いのだ。

 そうして加工した石でルビーが攻撃した結果が先程の人形だ。

 

 突風が通り過ぎた瞬間、人形は後ろに少し飛び、そして地面に着地するとそのまま倒れていった。

 その人形の腹を確認すると、穴が開いており中の核は見事に砕けていた。

 念の為HPバーも確認したが、勿論空になっていた。

 

 この方法でならルビーは反動ダメージを受けずどのタイプの人形でも倒すことができる。

 一番厄介そうな腹でも貫通できたのだ。

 他の場所で貫通できないわけがない。

 一つ問題があるとすれば、ルビーが石を外してしまうことだが、ルビーの自信に満ち溢れた瞳を見ると外す気がしなくなったのだ。

 勿論、事前に数回木に向かって石での攻撃をしてもらったが、結果は少しずれることはあっても大きく外すことは無かった。

 そして、そのずれの範囲ならば十分核に攻撃があたると判断した為、人形に向けて実行したのだ。

 その結果は攻撃を受けた人形を確認してみたが、多少ずれていたが十分に核に直撃し、砕いていた。

 この威力なら直撃でなく、石が半分程度当たるだけでも十分に倒すことは可能だろう。

 それにしても良かった。

 これでルビーに無茶をさせないで済む。

 必要ならばするのだが、できる限りしたくはないのだ。

 勿論必要ならば自分も無茶をするつもりだ。

 

 

 

 休憩と攻撃を繰り返し、かなりの数の人形を倒すことができた。

 石は休憩の間に削りだしている。

 そこで消費したMPも削る時間と移動の時間、攻撃の時間でギリギリ回復が間に合わない位なので問題は無い。

 

 次はあの人形か。

 イナバが人形を発見したので近づき、ルビーに攻撃箇所を指定する。

 多分ルビーは既に攻撃箇所を分かっているような気もするが、念の為だ。

 そして、ルビーが先程と同じように石による攻撃を行い、人形が倒れた。

 

<第1の試練のクリアを確認した。次は第2の試練に移る。準備はいいか?>

 

「少し時間をください」

 

<分かった。では、準備が完了したら呼ぶがよい>

 

 どうやら先程の人形で最後だったようだ。

 かなり時間がかかってしまったが、石で攻撃し始めてからはノーダメージでポーション系も使っていない。

 だが、ルビーにはかなり無理をさせてしまったかもしれない。

 十分休憩時間は取っていたつもりだが、いつ人形が木葉等で動き出すか分からない状況だったので、焦って無意識に休憩時間を短くしていたかもしれないのだ。

 それにルビーほどではないと思うがイナバにも頑張ってもらっている。

 ならば安全と分かっている今、多めに休憩をしておきたい。

 それにMPも減っているので回復もしておいたほうが良いだろう。

 

「イナバ、ルビー、お疲れ様。少し休憩をしようか」

 

 そう言い、その場に座り込んで2人を撫でる。

 イナバとルビーは嬉しそうにしている。

 だが、やはり疲れていたようでイナバは足に寄り添い、ルビーは足の上で寝始めた。

 このまま2人が起きるまで休憩をしておこう。

 もし時間が足りなくなってしまってもしょうがない。

 それは最初の試練をもっと効率よく突破する方法を用意できなかった僕の責任なのだから。

 イナバとルビーには頑張ってくれたのだから、しっかり休憩してほしい。

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