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従魔使いのベアリアスワールド・オンライン  作者: 雪結晶
1章 - 始まりの町と初めての従魔
28/202

―――28―――

 まず、ゴーレムの攻撃範囲より少し離れた位置まで近づいた。

 そして、ゴーレムを正面に見たまま右側へと動くと、予想通りゴーレムも同じ方向へと移動した。

 これが確認できたことで、ゴーレムがこの境界線から出られないのはほぼ確定でいいと思う。

 さらに右側へと移動しながら、ゴーレムの動きを確認する。

 う~ん……ゴーレムとの距離が少し離れている?

 あれ、そういえば初めにいた位置はどこだっただろうか?

 まずい!

 こちらの移動経路が確認できない……どうしよう……。

 木に印をつけておく?

 いや、それでは正確な移動経路は把握できないか。

 ゴーレムの移動経路は足跡で確認できるんだけどな……。

 ん?

 足跡……。

 そうか!

 地面にも跡を付けることができるのか!

 それならば地面に足で線を引いていけばいい。

 試しに地面に足で円を描いてみるが、問題なく地面を削りながら円を描くことができた。

 それにしても、思い込みって怖いね。

 ゲームだから、容量の問題で地面にプレイヤーが変化を加えることはできないと思っていたよ。

 

 移動経路の記録方法が分かったところで、もう一度ゴーレムを前に立つ。

 そして、今度は開始位置を見失わないように円を描いておく。

 それから再度ゴーレムを前に見て、右側に移動を開始する。

 少し移動すると、やはりゴーレムとの距離が離れていたようでなので、移動する向きを調整して、再度右側に移動を開始する。

 さらに移動していると、またゴーレムとの距離が離れている。

 先程真横に移動できるように移動する向きを調整したのに、また距離が離れているということは、ゴーレムは円状に移動していると見ていいだろう。

 つまり、ゴーレムの行動範囲の境は円状に、いや、行動範囲は円形になっている。

 

 ゴーレムの行動範囲が円形になっていると分かったところで、今度はゴーレムとの距離をできるだけ一定に保ちながら移動する。

 そして、ある程度移動したところで地面に描かれた線から円の中心点を大雑把にだが導き出す。

 あれ……こんなことをしなくてもゴーレムの足跡から分かったんじゃないだろうか……。

 いや、気にしたら負けだ。

 複数の点を見て円の中心を出すより、線を見て円の中心を出す方が正確になるだろうからこちらの方法の方が良かったのだ!

 そう思っておこう。

 

 

 

 円の中心への方向が分かったところで移動を開始しようと思うが、その前に念の為に円の中心の方向を地面に描いておく。

 これで万が一途中で進む方向が分からなくなっても、もう一度ここに戻ってこれさえすれば進む方向が分かるだろう。

 問題は、進む方向がわからないのにここに戻ってこられるかどうかだが、少しでも対策は多いほうがいいので無駄ということは無いだろう。

 

 地面に線を描き終えたところで、ゴーレムへと向き直る。

 ゴーレムと戦闘になって進む向きが分からなくなるといけないので、ゴーレムの横を通ってそのまま走り続けるつもりだ。

 最初にゴーレムの攻撃を避けないといけないが、まあ何とかなるだろう。

 それじゃあ、始めようか!

 

「イナバ、ルビー、警戒しながらついて来て」

 

 2人に指示をだし、ゴーレムへと向かって走り始める。

 そして、ゴーレムの腕が届く範囲に来たところで、ゴーレムはその大きな腕で殴り掛かって来た。

 まあ、そのまま通してくれるわけはないよね。

 予めこの攻撃方法は予想できていたので、横に避けることで対処する。

 横を通り抜けるゴーレムの腕は太く、やはり必殺の攻撃力を秘めているのだろう。

 そして、ゴーレムが腕を突き出している間に横を抜けて背後へと出ることができた。

 これであとは中心へと向けて全力で走るだけだ。

 

 それにしても、やはり境界の外にも攻撃はできるのか。

 ゴーレムが遠距離攻撃を持っていなくてよかった……。

 もし遠距離攻撃を持っていたら、あそこで悠長に考えることはできなかっただろう。

 それどころか、最初に逃げたときに後ろから攻撃を受けたことになるだろう。

 そうなると、攻撃を避けつつ逃げなければならなくなり、当然逃げる速度は低下するだろう。

 それだとゴーレムから逃げ切れたかどうか怪しいところだ。

 本当に良かった。

 

 ゴーレムの足音を後ろに聞きつつ、全力で走り抜けていく。

 まだ使役者らしき人影は見えていない。

 使役者が近づけばイナバとルビーが感知してくれるとは思っているが、自分でもできるだけ確認はしておきたい。

 全力で走っているので、普段発見できるようなことも見逃してしまいそうだが、走る速度を緩めるわけにもいかないのでこれは仕方がないだろう。

 

 さらに走っているが、使役者は一向に見つからない。

 イナバとルビーも何も感知していないようなので、まだ遠くにいるのだろうか?

 それともどこかで見逃してしまっただろうか?

 まあ、もう少し走って行ってみよう。

 

 

 

 突然後ろから聞こえていたゴーレムの足音が止まった。

 どうしたのだろうか?

 気になり後ろを向いてみるが、ゴーレムの姿は無い。

 どうやらかなり引き離すことができていたようだ。

 そして、直前までゴーレムの足音が聞こえていたということは、ゴーレムの感知範囲から抜けられたのだろうか?

 本当にそうなのだろうか……全力で走っていたので後ろを見る余裕は無かったが、感知範囲外まで引き離せたとは正直思えない。

 これは確認しておいた方がいいだろう。

 そう思い、現在位置の地面に進行方向を描き込み、元の方向へと戻る。

 

 少し戻ったが、ゴーレムの足音は聞こえない。

 つまり、完治範囲外に出たのではないということだ。

 あと考えられることは……。

 

 さらに戻ったところにゴーレムの姿があった。

 ゴーレムはこちらを向いたまま、立っている。

 やはり、境界線に引っかかっていたようだ。

 つまり、行動可能範囲の中心は既に過ぎていて、逆側の境界まで来ていたことになる。

 だが、途中に使役者らしき姿は見受けられなかった。

 イナバとルビーも何も感知していない。

 これは使役者はいないと見るべきだろうか?

 再度考えようと思い、ゴーレムを視認できる離れた位置へと移動する。

20140819:修正

字下げをするように修正しました。


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