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「じゃあ、ログインしたら会おうね」
「うん。それじゃあ、また後で」
そう約束し、ログイン準備の為に各自の部屋へと向かった。
今日はゲームの開始日だ。
現在9時50分でキャラ作成開始が10時、ゲーム開始が12時からとなっている。
「楽しみだな~」
やはり初めてのゲームというものは心が躍る。
そして期待の10時になり、ゲーム機を装着しログインした。
<キャラクターの容姿を設定してください>
いきなり頭に直接響くような声が聞こえた。
多分システムメッセージだと思うが、不思議な感じだ。
そして、目の前に自分の姿をした立体映像が表示されている。
確かゲーム機の初期設定時、ゲームキャラクター用に自分の全体像を3次元的に撮影したので、それを使用しているのだろう。
どうやらこれを元に変更をしていくようだ。
変更可能点は立体映像と自分の間に仮想ウィンドウで表示されている。
どうやらこのウィンドウを使って変更していけばいいようだ。
変更できる部分は……。
1.髪の色
2.髪の長さ(変更可能範囲有り)
3.髪型(選択制)
4.目の色
5.体重(変更可能範囲有り)
6.初期衣装(能力に影響しない)
うん、特に変更しなくてもいいかな。
衣装も悪くない感じなので、そのままでいこう。
容姿の設定を終わり、ウィンドウの設定完了ボタンを押す。
<キャラクター名をキー入力か音声入力で設定してください>
次はキャラクター名の設定のようだ。
ウィンドウの表示が変更されて、さらに手元に仮想ウィンドウのキーボードが出てきた。
ウィンドウに表示されている説明を見てみると、どうやら音声入力とキーボード入力の2種類の方法があるようだ。
まあ、慣れているキーボードで入力することにしよう。
説明にはその他に注意点等も書かれており、名前はカタカナだけ使用可能で、同じ名前の重複も可能とのことだ。
少し悩んだが、キャラクター名は<ユウ>とすることにした。
流石に本名そのままの登録はしたくないが、姉が呼びやすい名前の方がいいかと思ったのでこの名前にした。
キャラクター名を入力して、間違っていないか確認後に設定完了ボタンを押す。
<加護を選択してください>
今回は今までのウィンドウに加えて1つウィンドウが追加で現れた。
1つ目のウィンドウはどうやら加護の説明のようだ。
<神のギフト>
神様からの与えられるギフト。
一部スキルを取得します。
一部スキルへの補正があります。
一部ステータスへの補正があります。
そして加護の説明の下に加護の選択方法が説明されていた。
もう1つのウィンドウの枠を選択すると、選択可能な加護の一覧が表示され、その中から1つ選択するようだ。
それを3枠分行うということだろう。
次に2つ目のウィンドウを見てみる。
先ほどの説明の通り、未選択と表示されている枠が3枠表示されている。
さっそく1番上の枠を押してみると、新たなウィンドウが現れ、選択可能な加護の一覧を表示している。
……おお、剣・刀・弓・魔法銃や火魔法・回復魔法や鍛冶等がある。
植林や飼育なんて加護まであるな。
その中らから試しに魔法銃を選択すると、ウィンドウの表示が変わり、説明が表示された。
<神のギフト・魔法銃>
神様からのギフト。
武器技能・魔法銃のスキルを取得します。
一部スキルに補正がかかります。
一部能力に補正がかかります。
※注意
魔法銃は通常攻撃にMPを消費します。
MPは魔法などを使用する際に消費するエネルギーです。
どうやらこの加護では武器技能・魔法銃のスキルを得られるらしい。
まあ、加護の名前の通りのスキルだ。
一部スキルや能力の補正はたぶん魔法銃に関係のあるものだろう。
それにしても、魔法銃は通常攻撃にMP使うのか…。
この加護はあまり人気が出なさそうだな…。
でも、魔法銃……興味を惹かれるな。
おっと、加護は多分簡単には変更できないだろうから慎重に選ばないと……とりあえず、一度目全部の説明に目を通しておこう。
そう思い、一瞬選択のボタンに行きかけた指を戻るのボタンへと方向転換して、一覧表示へと戻る。
おお、従魔魔法!
魔物使いだね!
でもこれは……多分選ぶ人少ないだろうな。
<神のギフト・従魔魔法>
神様からのギフト。
魔法技能・従魔魔法のスキルを得ます。
一部スキルに補正がかかります。
一部能力に補正がかかります。
※注意
従魔は魔物を従えるスキルですが、連れている従魔はPT枠を使用します。
従魔2体を連れている場合PT枠を自分を含めて3枠使用します。
その為、6人PTを組んでいる場合はあなたと従魔でPTの経験値を半分得ます。
そのことにより他の方へ不利が発生し、問題に発展する恐れもあります。
取得する際はその辺りをよくお考えの上取得してください。
でも、興味を惹かれるんだよね……。
魔物使いと魔物のPT!
とってもロマンですよね!
う~ん……あとでスキルだけ取って遊ぶ方法もあるけど、ギフトの有無ってどれだけ差が出てくるんだろう?
とりあえず、全部確認してからまた考えよう…。
そう思い、そっと選択のボタンに向かっていた指を戻るのボタンへと向けた……。
とりあえず、全部確認してみたけど、やっぱり従魔魔法はほしいな。
でも、これ選ぶとソロ一直線の予感しかしない……。
姉さんとPTも組めない……。
いや、そういえば姉さんは普段のPTはクラスの友達と組むって言ってたっけ。
なら問題ないか。
僕の友達の方も、このゲームを今日からする人はいないみたいだし。
だったらソロでも問題ない!
ソロ一直線だ!
寂しくなんてないよ!
ということで、あと2つは何にしよう。
武器系統で1個は確実として、あとは防具系統がいるのかな…。
いや、遠距離武器にしてしまえばあと1枠は魔法でもいいのか。
または生産系でもいいのかな?
いや、でも、ソロをメインにするのだったら生産系は後回しのほうがいいか。
ってことは……。
よし、これとこれにしよう。
・神のギフト・従魔魔法
・神のギフト・支援魔法
・神のギフト・魔法銃
前衛は従魔に任せて後方で援護をしよう!
はっきり言って、今は前衛はできる気がしない。
まず1つ目は従魔魔法。
これは確定だった。
2つ目は支援魔法。
これは従魔を支援しつつも自分も強化できると思ったので選択してみた。
3つ目のは武器系統まではすぐに決まったのだけど、その後に少し迷った。
まず、前衛はできる気がしなかったので、後衛武器の弓、魔法銃、杖が候補に挙がった。
杖にすると、攻撃魔法が必要になるので、枠が足りない為これは除外した。
あとは弓と魔法銃が候補に残る。
そこで弓だけど、扱いきれる気がしない。
さらに、矢の代金が最初はきついだろうから除外した。
そこで残った魔法銃を選択しました。
え?魔法銃に理由がないって?
ロマンは大事だよ!
銃かっこいいじゃないか!
現実世界の銃にはあんまり興味は無いんだけどね!
まあ、ちゃんと理由はあるんだけどね。
まず銃ならば多分直線に飛ぶだろうから弓よりは扱えるかと思った。
さらにMPを消費する魔法銃というくらいだから弾は魔力の弾だと思うので、弾の代金もかからないだろう。
それらの理由にから魔法銃を選んでみた。
もし弾がまっすぐ飛ばなかったり、弾が実弾で弾の代金がかかったとしても弓と同じレベルというだけだからこちらで問題ないだろう。
ただ、一つ心配な点としては支援魔法も魔法銃もMPを消費するタイプなんだよね。
対策としては支援魔法は戦闘前に掛けておけば大丈夫じゃないかと考えてる。
もし戦闘前に支援魔法を掛けてMPが心配になったら、戦闘を避けて回復を目指せば大丈夫かと思ってる。
まあ、MPの問題は進んでいけばいずれ装備品とかで解決できると思っておこう!
選び終わった後に、魔法銃を回復魔法にするべきかとも思ったのだけど、自分が戦わずに従魔の後ろで隠れて支援だけしているのはどうかと思ってやめておいた。
前衛での戦闘は今はできないだろうけど、後衛ならできるはずだ。
それに、もしかしたら従魔が使用できない状態もあるかもしれない。
そんな時、自分だけで戦闘できる手段も必要だろうと思う。
さらにPTを組む時も魔法銃での攻撃と支援魔法での支援があれば全く役に立たないという事態は避けられるはず……。
そんな理由で回復魔法を諦めたのだけど、回復についてはどうにかなると思っている。
まず従魔の回復についてだけど、従魔魔法に従魔限定の回復があると思ってる。
そして自分の回復は、遠距離職だからダメージは少ないと思うので、回復はアイテムで足りるだろう。
もし従魔魔法に従魔の回復がなかったら回復魔法のスキルを頑張って取る!
少し心配な点もあるけど一応加護が決まったので、選択した加護をもう一度確認してから設定完了のボタンを押す。
<ギフトアイテムを選択してください>
更新された2つのウィンドウの内、1つ目のウィンドウを見てみると、どうやら最初の所持品のアイテムを選択できるらしい。
個数は3個でここでのアイテムはギフト以外でも入手可能なようだ。
取り返しはきくようなので、少し気軽に選べるな。
説明の後半はギフトアイテムの選択方法の説明だった。
2つ目のウィンドウで先ほどのギフトと同じように選択するらしい。
さっそく1番上の枠を押して、一覧を表示してみる。
すべて確認してみたが、内容はこんな感じだった。
・各種初級武器
初心者用の武器を1個。
・各種初級防具セット
初心者用の防具セットを1個。
・各種生産系入門セット
初心者用の生産アイテムセットを1個。
・5000サカフィ
サカフィはお金の単位。
・ランダムエンチャント(小)アクセサリー
エンチャントとは特殊効果を付与すること。
つまり、ランダムな特殊効果(小)が付いたアクセサリーを1個。
とりあえず、武器は欲しいかな。
後は防具は……いいや。
後衛なんだから、たぶん大丈夫だろう。
お金は多分罠な気がするのでやめておこう。
ということで、夢をもらいましょう!
・初級魔法銃
・ランダムエンチャント(小)アクセサリー
・ランダムエンチャント(小)アクセサリー
選択したギフトアイテムを確認して、設定完了のボタンを押す。
<最終確認を行ってください>
ウィンドウが1つになり、その1つに今までの設定内容が表示される。
しっかりと確認したが、問題ないようなので確認完了のボタンを押す。
<設定お疲れ様でした。12時からゲームスタートとなります。12時までお待ちください>
目の前のウィンドウを見てみると、時計とログアウトのボタンが表示されている。
今は…11時20分か。
ゲーム開始に備えて、昼ご飯を食べてこようかな。
そう思い、一旦ログアウトし、食事等を済ませた。
どうやら姉さんはもう食事を済ませていたようだ。
食事後に色々と準備を終え、もう1度ログインをした。
ウィンドウの時計を見てみると、11時55分になっていた。
もうすぐゲームスタート時間だ。
そして、待つこと5分程……。
<ゲーム開始時刻30秒前となりました。あと30秒でゲーム開始地点へと移動します。その際、周辺環境が急激に変化しますのでご注意ください>
いよいよゲーム開始か……。
あのテストプレイのような世界が待っているかと思うと……いや、これはテストプレイじゃない。
つまりあの時以上の世界が待っているということだ。
そう考えると、期待が膨らんでいく!
ああ!楽しみだ!
<ゲームを開始します>
目の前のウィンドウが消え、
辺りの景色が急激に変化する。
<ようこそ! ベアリアスワールド・オンラインの世界へ!>
20140922:修正
ゲーム名を変更しました。
誤字を修正しました。
おかしな表現を一部修正しました。
20140819:修正
字下げをするように修正しました。
20140810:大幅修正
見直しも兼ねて、大幅に修正を行いました。
表現だけでなく、内容まで変更した箇所に関しましては、18話まで見直し・修正を完了後にまとめようと考えています。