表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
189/202

189―ダンジョン-29―

 景色が変わり、目の前には神殿とその横に魔方陣が見える。

 

 <神殿近くに近くに元の場所とその場所を行き来できる魔方陣を設置し、魔方陣周辺に魔物が近寄らない様にしました。この事により、先程まで元の場所と繋がっていた魔方陣からは元の場所へ移動できなくなり、強力な魔物に挑戦できるようになりました>

 

 その言葉に神殿の周囲を見渡してみる。

 すると神殿近くの地面が一部石畳となっており、その上には魔方陣が存在していた。

 挑戦するかは別として、移動してすぐに挑戦できるのはありがたい。

 

 そしてゴーレム3体にも挑めるようになった様だ。

 まあ単体で倒す方が楽なので訓練くらいでしか来る機会は無いだろう。

 

 <最後に冒険者達に一度限りの祝福を。これで安心してこの地から去る事が出来ます。冒険者達に祝福あれ>

 

「ユウ」

 

 頭に響く言葉が終わった直後、僕の少し前にいたマイさんが僕の名を呼び、こちらを振り向いた。

 

「ありがとう。これで私はさらに頑張る事が出来る」

 

 そして嬉しそうに微笑みつつそう言った。

 

 ……本当はしない方が良かったのかもしれない。

 これが成功してしまえば、マイさんは無理をしてでも成功を目指すだろう。

 それでも、成功する事で一歩進めるのならば後押しするしかない。

 

「だから期待していてね」

 

「うん、楽しみにしておくよ」

 

 

 

「皆、まずはお疲れ様」

 

 これは皆が頑張ってくれたからこその勝利だ。

 

「イナバは1人でかなりの数の魔物を引きつけてくれた」

 

 そう言いイナバを撫でると、嬉しそうに目を細めた。

 イナバにはウルフリーダーの周囲にウルフが近づかない様にしてもらっていた。

 広い感知範囲と眷属召喚が出来るイナバだからこそ可能な事だ。

 そしてログレスやルビーが僕の位置を分からないようであれば伝える役目も受け持ってもらった。

 どちらも直接確認できたわけではないけど、結果から考えて上手くやってくれたのだろう。

 

「ルビーはあの速いウルフリーダーに攻撃を上手く当て続けてくれた」

 

 そう言いルビーを撫でると、嬉しそうに目を細めた。

 ルビーにはメインとなる攻撃役をお願いしていた。

 ルビーを呼ぶ僕の声が聞こえたら、その位置に急行して攻撃を開始してほしいと。

 攻撃方法は任せていたのだけど、攻撃位置やタイミングはかなり良かった。

 僕が行ったのは隙を作るところまで、それを上手く生かしてくれたのはルビーだ。

 

「ログレスは敵を足止めしつつ、とどめの攻撃を行ってくれた」

 

 そう言いログレスの触手の1本に抱き付くと、弱く締め付け返してくれた。

 ログレスにはイナバと同じく、ウルフリーダーの周囲にウルフが近づかない様にしてもらっていた。

 フユウクラゲの大きな攻撃範囲と麻痺効果ならばそれが出来ると思っていた。

 フユウクラゲには感知スキルが無いのでウルフリーダーが見つけられない可能性もあったが、そこはイナバが補ってくれる。

 そして最後、僕がログレスを呼ぶ声が聞こえたらウルフリーダーに魔力式収束大砲で攻撃してもらうようにしていた。

 その為、ログレスは早い段階で僕とウルフリーダーの位置を把握しておかなければならなかったはずだ。

 さらにその状態でウルフの足止めをする。

 かなり難しい事だが、ログレスはやり遂げてくれた。

 

「皆、ありがとう」

 

 南の試練の時はリンカさんがいなければ負けていただろうウルフリーダーに、僕達だけで勝利できた。

 そして反応を見る限り、皆も成長を実感できているだろう。

 僕も皆の成長を見る事が出来て嬉しいよ。

 

 

 

 ログレスの触手を解放した後、ログレスをパペットで再召喚した。

 フユウクラゲでは安全地帯に移動すると強制送還されてしまうからね。

 

「マイさん、お待たせ。それでは帰ろうか」

 

「そうだね。そう言えばこの後はどうなるのだろうね?」

 

 確かに。

 帰ったらドアが追加されているのだろうか?

 

「帰った瞬間、他のエリアに強制転移とか?」

 

「それもありえそうだね」

 

「まあドアが追加されているくらいではないかな?」

 

 石畳の上にある魔方陣へと移動し、その上に乗る。

 すると景色が変わり、ドアが複数ある部屋へと転移した。

 

 <冒険者達、全てのエリアを元に戻してくださりありがとうございます>

 

 周囲を確認するが、他のエリアの時と同じく中央部屋の様だ。

 そしてドアの数は増えていない。

 

 <お礼に世界の種、EXスキル取得の書をマジックポーチにお渡ししておきました。是非有効に活用してくださいね。それでは私も去る事にします。冒険者達に祝福あれ>

 

 これはこれは。

 世界の種とは楽しみで仕方ないよ!

 

「ユウ、これがこのダンジョンで最後のイベントだったのかな?」

 

「多分そうだと思うよ。でも、一応このエリア内は確認しておこうか」

 

 もしかしたら何か増えている可能性もあるからね。

 他のエリアにもそれはいえるのだけど、流石に時間が勿体ないのでそちらは諦めよう。

 

「そうだね。ユウは台所と自室を、残りは私が確認しよう」

 

「分かった。終わったらここに集合でいいかな?」

 

 

 

 台所と自室を確かめてきたが、特に変わったところは無かった。

 そしてマイさんの方も同様に変化が無かったようだ。

 

「マイさん、鑑定は装備している?」

 

 そうマイさんに聞きつつ、世界の種とEXスキル取得の書を取り出す。

 世界の種は掌に収まるサイズで透明な黒色のクリスタル。

 EXスキル取得の書は以前のものと同じだ。

 

「世界の種とEXスキル取得の書だね。確かにあちらで確認するのは良くないかな。今確認するよ」

 

 先程から気になっているのです。

 世界の種ですよ?

 自分のエリアを持てる気がして楽しみです!

 

「えっと、世界の種は特別な方法で魔力を込めると世界が生まれる種。EXスキル取得の書は、特別なスキルを取得できる巻物。だよ」

 

 特別な方法ね。

 これはEXスキル取得の書が関係あるのだろう。

 EXスキル取得の書に記載されているのは世界の主。

 これで関係なかったらどうしようかと思うレベルだ。

 

「ユウ、どうする? ここで使ってしまう?」

 

「そうだね。安全なここで使った方が良いと思う」

 

「うん、私もそうするよ」

 

 まずEXスキル取得の書からだ。

 

「世界の主が欲しい」

 

 その瞬間、手に持っていた取得の書が消えた。

 これで世界の主が取得できたはずだ。

 

 <これは世界の主取得者への特別なメッセージとなります。現在使用可能な技能は世界創生、世界接続だけとなります。この2つの技能についてご説明致します。まず世界創生ですが、特別な場所で手に持った世界の種に魔力を注ぎ込むことで覚醒させることが可能です。その際、一度で最大MPの100%を注ぎ込まなければ失敗となりますのでご注意ください。特別な場所に関してですが、イベントエリアでは現在おられる場所か、村の中央にある神殿で実行可能となります。次に世界接続ですが、特別な力が込められたドアなどを自分の世界に繋ぐ魔法となります。特別な力が込められたドアは村の家の2階にありますのでお試しください。ちなみに早い者勝ちです。これでメッセージを終了します>

 

 解説ありがとうございました。

 このイベントから運営が優しくなった気がするよ!

 まあこれは言われないと分からない状況だからかな?

 僕達は以前のメニューが使用できず、技能が見えないからね。

 それでも、優しい気がするのだけど、まあありがたいのでいいか。

 

 さて、世界創生か。

 消費MPが100パーセントなのはいいとして、特別な少し場所が気になるな。

 ここか村中央の神殿となると、復活地点だろうか?

 まあ他の復活地点を知らないので試す方法が無い。

 イベント終了時まで使わないで取っておけば復活地点で試す事が出来るけど、そこまで気になるわけでは無い。

 

 なので教えてもらったこの場所で試してみようか……と思ったがMPが足りないです。

 そういえばマジックポーチが復活していたはず。

 そう思い、封印されていたマジックポーチへ手を入れると、問題無く使用する事が出来た。

 そこからMP回復ポーションを取り出し、飲む。

 MPがいつもより高速で回復していくが、100パーセントには満たない。

 さらにもう1本取り出して飲む。

 ……今度は無事100パーセントに達した様だ。

 

 一旦マジックポーチにしまっていた世界の種を手に持つ。

 

「世界創生」

 

 そう唱えると世界の種の内部が輝きだした。

 そして光は強くなり、光が収まった後には何も残っていない。

 これは成功なのだろうか?

 実は失敗していて世界の種を消費しただけとかないだろうか?

 MPバーを確認してみるが、先程説明があった通り空になっている。

 

「世界創生」

 

 隣でマイさんがそう唱えるのが聞こえた。

 マイさんが手に持つ世界の種も同様に輝き、その光が収まった後には何も残っていない。

 やはり成功と見てよさそうだ。

 

「ユウ、これは成功したのかな?」

 

「2人とも同じ結果なのだからその可能性は高いと思うよ。まあ村に帰って家の2階で確認してみるしかないけどね」

 

「そうだね。それでは帰ろうか」

 

「うん。マイさん、ダンジョン攻略お疲れ様」

 

「ユウもお疲れ様」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ