表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
185/202

185―ダンジョン-25―

 魔方陣に乗ってみたところ、ドアが複数ある部屋へと転移した。

 ドアの配置などから安全地帯の中央部屋と考えてもいいだろう。

 

「マイさん、クリアだね。とりあえずお疲れ様」

 

「うん、ユウもお疲れ様」

 

「この後はどうする?」

 

「とりあえず少し休憩して……昼食でいいと思うよ。その後のことはそれから考えよう」

 

 まあ考えると言っても、次のエリアに行くか自由行動かだとは思う。

 海エリアをクリアした時と時間が近いから同じ行動になるね。

 

「僕もそれに賛成だ」

 

「それじゃあ少し休憩した後、昼食を作ってユウの部屋に行くね」

 

「うん、ありがとう」

 

 

 

 昼食後、少し話し合って今日の残りは自由時間となった。

 そうなるとやる事は1つ、ゴーレムと戦いに行きましょう。

 西の神殿と同じ感じだといいな。

 

「マイさん、ゴーレム戦では相談なしに技能を発動してしまってゴメンね」

 

「いや、問題無いよ。あのゴーレムがいつ動くか分からない状況で地面に文字を書いてはいられないからね。声にしても条件が分からない以上、最初の1回を会話に割り当てるのは良くないと私も思うよ。それにユウは事前に警告してくれたじゃないか。あの口に人差し指を当てるジェスチャーは技能を使っても、あるいは声を出しても驚いて声を出さない様に、そういう事だろう?」

 

「うん、その通りだよ」

 

「本当はゴーレムに対して有効技能が無い私が、声を出せる事に気づければ良かったのだけどね」

 

 確かにそれならば回数を気にせず、会話によって確認ができただろう。

 だが、僕が気づけた事も運が良かっただけの事なのだ。

 ここはマイさんが謝り始める前に話題を変えておこう。

 

「僕が気付いたのもたまたまだからね。それは仕方ないよ。そう言えばマイさん、東の試練の内容を知らないかな?」

 

 先程の森エリア2は西の試練とかなり似ていた。

 沈黙さえなければほぼ同じと言ってもいい。

 

「東の試練かい? 私も詳細は知らないのだけど、何かを集める試練でボスはいなかったと聞いたね」

 

 これは当たりの可能性が出てきた。

 でも、草原エリアが当てはまらないな。

 あそこのボスはゴーレム系3種が1体ずつだった。

 ボスパターン3とは言っていたけど、ウルフ系では無い時点で南の試練とは違うだろう。

 そもそもあそこでボスウルフが出現したとして、それを倒せるパーティ、あるいはレギオンはどれ程いるのだろうか?

 そうなるとあそこだけ別物と考えてあと1か所、森エリア1は北の試練と考えてもいいのだけど……。

 いや、そうじゃない。

 あのエリアは元に戻っていない。

 ただ、この安全地帯への道が開かれただけなんだ。

 つまり、クリアできていない。

 

 これは楽しくなってきたよ。

 このダンジョンクリアにはボスウルフを倒さないといけない可能性が出てきた。

 それもレギオンで挑んだあの魔物に、1パーティで。

 いや、分かってるんだ。

 あのエリアには他のプレイヤーも存在していた。

 つまりレギオンを組んで挑むものなのだろう。

 それでも、1パーティで挑戦したい。

 あのボスウルフに1パーティで勝てないようでは黒騎士には勝てないだろうからね。

 それにもう1つ、今の状況ならば困難だからこそ達成する意味がある。

 

「マイさん、クリアしていないエリアがあと2つある可能性が出てきたよ」

 

「次のエリアをクリアした後に新たなエリアが出てくる可能性かい?」

 

「どうやらこのダンジョンの各エリアは、前回のイベントの試練に対応しているみたいなんだ」

 

「……そういえば君は西の試練をクリアしていたのだったね。そうなると、残る森エリア1は北の試練で……そうか。海と森2エリアはクリアした時、元のエリアに戻っているけど草原エリアは戻っていない。つまりあそこはまだクリアできていない。それに草原エリアには他のプレイヤーもいたのだったね」

 

 どうやらマイさんも同じ考えに辿り着いたようだ。

 僕にあってマイさんに無かった西の試練の情報。

 それさえあれば先に気づいていたのはマイさんだっただろうね。

 

「うん、あそこのクリア条件は南の試練と同様、ボスウルフの撃破の可能性が高い」

 

「そうなると……他のプレイヤーがあのエリアに到達するまで少し待つのかな? それともこちらから呼びかけるかい?」

 

 まあどう考えてもレギオン推奨ボスだからね。

 

「そこで提案なのだけど、このパーティだけで挑まない?」

 

「……私はボスウルフの攻撃を避けられないと思うよ?」

 

「僕が全て避けるよ。今ならば短時間は避けられるはずだから」

 

「……いや、ダメだよユウ。やはりレギオンで挑もう。私は君に無理してほしくは無い」

 

 確かにクリアできる可能性は低く、僕も多少無理をするだろう。

 いくらこれがゲームだとは言っても、痛みや疲労はあるのだからね。

 でも、だからこそ挑みたい。

 だってね……。

 

「僕は困難に挑戦させてしまった。だから機会がある今、僕自身も困難に挑戦し、突破して見せないとね。だから見ていてほしいな」

 

「……それはずるいよ。私は、それを断れないじゃないか」

 

 そう言ったマイさんは嬉しそうに微笑んでいる。

 さて、これで全力で挑まないといけなくなったね。

 

「決まりだね。ありがとう、マイさん」

 

 

 

 少し談話した後、マイさんと別れて自由時間に突入です!

 森エリア2へ移動し、布陣を確認する。

 僕が行う事は射止め歌だ。

 ゴーレム2型であれば有効なのは確認しているし、それ以外のゴーレムであれば有効か確認する為にも使用する必要がある。

 そしてここに出現する全てのゴーレム、さらにウッドパペットやメタルパペットにも有効であれば、黒騎士戦でも強力な手札となる可能性がある。

 

 そうなるとイナバは幸運の白兎としてルビーはアクセラレーションホーク・ウィンド、ログレスは……とりあえずパペットかな。

 地上でも浮いて動けるフユウクラゲでも悪くはないが、射止め歌で動けないゴーレム相手ならばパペットでもいい気がする。

 ランスで硬い敵と戦う時の攻撃練習にもなるからね。

 

 布陣が決まったところでルビーをアクセラレーションホーク・ウィンドで再召喚し、魔方陣の上に乗る。

 さあ、久しぶりにゴーレムと連戦だ。

 

 

 

 1体目。

 

 <魔物>ゴーレム Lv10

 状態:通常

 

 どうやら1戦目は西の試練後と同じようだ。

 そして西の神殿と同じく動かない。

 まあ鎧騎士だけ最初から動いているので転移時は油断出来ないのだけどね。

 さて、早速魔歌を試してみよう。

 そうだ、有効範囲も確認しておこう。

 

 ゴーレムからかなり離れた。

 ここから近づきつつ、有効範囲を測っていこう。

 

「射止め歌」

 

 口からは歌詞の無い歌が紡がれる。

 そして離れた位置にいるゴーレムが、こちらへ向けて動き出した。

 ……え?

 こんなに範囲があるのか。

 もしかして音が届く範囲ならば全てが有効範囲なのだろうか?

 まあ続けてみよう。

 

 

 

 十数秒後、ゴーレムが地面へと倒れた。

 しかし従魔達は攻撃を開始しない。

 これは効果時間を確認する為にお願いしていた事だ。

 1回倒れて起き上がるまでか、僕が魔歌を止めるまでは攻撃を止めて欲しいと。

 さあ、効果時間はどうなるかな?

 

 

 

 ゴーレムが倒れてから1分程経過し、そこでゴーレムは起き上がり始めた。

 時計が無いので正確な時間は分からないが、ゴーレム2型と同程度の時間動きを止められるようだ。

 だが、ゴーレム2型よりも効力を発揮するまでに時間が掛かっている。

 ラビットと効果時間が違う事から効果時間が固定という事は無いと考えられるので、効果時間と効力を発揮するまでの時間は別の耐性なのだろうか?

 まあとりあえず、このゴーレムを倒してしまおう。

 

 

 

 数秒後、ゴーレムが再度倒れた。

 そして従魔達が攻撃を開始する。

 

 これは、効力を発揮するまでの時間が変わった?

 ラビットの時は同じだったので同一個体ならばここに差は出来ないと思っていたのだけどね。

 どうやらもう少し確認をしておく必要がありそうだ。

 まあ魔石集めを優先するのだけどね。

 

 

 

 核を剥ぎ取って数十秒後、元の場所へと転移した。

 やはりここも西の神殿と同じなのだね。

 さて、少し休憩を挟んで次に挑戦しよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ