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183/202

183―ダンジョン-23―

 朝です!

 今日は朝食後、行くエリアを決めて出発予定だ。

 どちらのエリアの試練も結構難しいものだが、僕としては沈黙の試練から攻略した方が良いかと考えている。

 もう片方のダンジョン外から持ち込んだアイテムを持ち込めない試練は沈黙のエリアをクリアした後、そこで素材を得てから挑んだ方が良いと思うのだ。

 それに複合金属の魔法銃と白の浴衣を超える装備をここで作れるとは思えないので沈黙の試練に挑むのは後でも先でも差が少ない。

 さらに魔法が使えないという事は排泄物処理魔法が使えないのですぐにクリアできる可能性がある。

 まあ同等効果のアイテムや施設が用意されていれば解決するので可能性としては高くないけどね。

 とりあえず朝食を食べてからマイさんと相談しよう。

 

 

 

 朝食後、マイさんと話し合った結果……沈黙の試練のエリアに進むことに決まった。

 マイさんの意見を聞いたところ、僕と同じ理由で沈黙の試練のエリアへと進むべきとの事だった。

 そして同意見である僕はそれに賛成し、進むエリアはすぐに決まった。

 

「それではユウ、サインを決めておくかな?」

 

「そうだね。大体はジェスチャーで伝わると思うけど、戦闘時の撤退などは急を要するから決めておいた方が良いかな」

 

「私もその意見に賛成だよ」

 

 

 

 戦闘時に必要そうなサインを決めた後、森エリア2のドアを潜り抜けた。

 

「冒険者よ、ここから先は試練の道となっている。進みたければさらなる試練を受ける必要がある」

 

 やはりこのイベントは毎回あるのだね。

 

「この部屋からの試練は沈黙。声を発することはできない。さあ、どうする?」

 

 さて、試練開始前にマイさんに試したい事を伝えておこう。

 

「マイさん、従魔を召喚しておかない?」

 

「……確かにその方が良いね。クラゲはここでは召喚できないからミーをラビットで召喚しておくよ」

 

 そう、中で詠唱できないのならば試練開始前に召喚しておけばいいのだ。

 まあ可能性があるだけなので扉を潜ったら従魔達は強制的に送還されるかもしれないけどね。

 

 そして今の布陣はイナバが幸運の白兎、ルビーがアクセラレーションホーク・ウィンド、ログレスがパペットだ。

 ルビーをウルフで召喚するかアクセラレーションホーク・ウィンドで召喚するかは迷ったが、森ならば飛ぶ事は出来るだろうと思い、アクセラレーションホーク・ウィンドで召喚した。

 

 

 

「試練を受けます」

 

 マイさんがミーを召喚したのを確認し、試練開始の宣言をする。

 

「それではユウ、マイパーティの試練を開始する。冒険者たち、汝らの健闘を期待する」

 

 その言葉を聞き終え、奥にある扉の前へと移動して扉を押し開ける。

 そしてその先に広がる暗闇の中へと一歩、踏み出す。

 

 

 

 扉を完全に潜り抜けると、目の前には沢山の木々が見えた。

 すぐに周囲を確認したところ魔物はおらず、後ろに扉は無い。

 そして従魔達とマイさんの姿が確認できた。

 どうやら成功したようだ。

 

 <冒険者たちよ、頼みがあります>

 

 突然、頭の中に女性らしき声が響いてきた。

 

 <このエリアにいる、ある強力な魔物を倒して頂きたいのです。そうすれば私は力を取り戻し、このエリアを元に戻すことができるのです>

 

 どこかで似た話を聞いた気がする。

 そしてどうやらこのエリアのクリア条件はボスの撃破みたいだ。

 

 <ですがその魔物に至る道は今封印されており、それの道を開くには2つの条件を満たさなければなりません>

 

 指定されたアイテムを集めてくるか、指定された魔物を倒すとかだろうか?

 

 <そこでまず、その周囲にいるウッドパペットを全て撃破してもらいたいのです。だたし、そのウッドパペット達は少し特殊で何もしなければ基本的に動くことは無いですが、一度攻撃を加えると動き始めます。そして動き始めたパペットは近くにいる仲間を呼び寄せます>

 

 どこかで聞いた話ですね。

 

 <声を発せぬこの状況故、その答えを聞くことは叶いませんが、どうか頼みを聞いてくださいませんか?>

 

 つまり、行動で示せと。

 それならば行動で示そう。

 

 隣にいるマイさんの腕を少し揺すり、マイさんの注意をこちらに引く。

 マイさんがこちらを向いたところでその場にしゃがみ、地面へと文字を書き始める。

 時間がある場合ならばこの方法で意思疎通が可能だ。

 

 地面に描いた文字は"ウッドパペットを一撃で倒せば問題無いのでルビーに任せて"だ。

 マイさんはそれ見て頷いてくれた。

 

 次にルビーに向けた文字を地面へと書く。

 その文字は"ルビー、この周囲にいる全てのウッドパペットを一撃で倒してほしい"だ。

 まだ空へ飛び立たず、僕の横にいるルビーはそれを見て頷いてくれた。

 

 ルビーは頷き終えるとすぐに空へと飛び立ち、森の奥へと飛んでいく。

 ルビー、お願いね。

 

 

 

 <冒険者たちよ、頼みを聞いてくれてありがとうございます>

 

 数分か十数分程経過した頃、頭の中にそんな声が響いた。

 どうやらルビーは全てのウッドパペットを倒し終えたようだ。

 あの頃は苦労して倒したウッドパペットだが、成長した今のルビーにとっては余裕だったね。

 

 <もう1つの条件、それはこの森のどこかにある祭壇へ回復草100個を奉納する事です。ただし、今のこのエリアでは鑑定のスキルが使用できず、さらに奉納時に回復草以外の植物が混ざっていた場合は失敗となります。冒険者よ、どうかこれを達成し、道を開いてください>

 

 現在ポーチに余っている回復草は2人合わせて20個程のはず。

 なのでここはイナバにお願いしよう。

 

 イナバを手招きして近くへ呼び、地面へ"イナバ、回復草を探すことができる?"と書いた。

 それを見たイナバはこちらを振り向き、頷いてくれた。

 

 次にマイさんを手招きで近くに呼び、地面へ"イナバが回復草を感知できるので採取は問題無い。そして僕が採取するので、その間にマイさんは採取した薬草が回復草かどうかの見極めをお願いしたい"と書く。

 それを見たマイさんが頷いてくれたのでどうやら鑑定無しでも見分ける方法を知っているようだ。

 一応僕も知っているので採取時には確認するが、2重確認の方が良いだろう。

 

 次に地面へ"ルビーが戻ってきたら少し休憩して出発でいいかな?"と書いた。

 皆が頷いてくれたのを確認し、ルビーが戻ってくるのをここで待つ。

 

 

 

 数十秒後、ルビーは戻ってきて僕の傍へと降り立った。

 そこでルビーの頭を撫で、地面へ"ルビー、お疲れ様。ありがとう"と書く。

 頭を撫でられているルビーは嬉しそうに目を細めている。

この章を書いていると蒸し餃子を作っている気分になりました。

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