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177―ダンジョン-17―

 朝食も美味しかったです。

 さて、マイさんに話しておこう。

 

「マイさん、合成進化について1つ分かったことがあるんだ。いや、成長と進化でも起こり得るかもしれない」

 

「……それは多分、昨日の夜だよね」

 

 まあそこタイミングしかないから分かってしまうよね。

 

「そうだよ。それらには失敗があるみたいなんだ。僕が確認したものは従魔が自分の意志で体を動かせず、近くにいるもの、あるいは召喚者を狙うと言うもの。そしてその従魔は送還してもすぐに自動で召喚された」

 

「それは……」

 

 やはりマイさんはこの時点であの方法を思いつけるのか。

 

「確認できた対処法は1つ。まず送還し、すぐに従魔の書で魔物カードの名前を確認する。次に再度送還し、解放する」

 

「ユウ、君はそれを実行したんだね」

 

「したよ」

 

 そうするしか出来なかった。

 まあ次は別の対策を試すけどね。

 

「……君は大丈夫だったのかな?」

 

 流石に鋭いね。

 だけど……。

 

「もう解決したよ。大丈夫」

 

「それならいいんだ。それで、これは広めた方が良いのかな?」

 

「掲示板でならね。まあ僕も掲示板が使えるようになったら書き込むつもりではいるよ。その時は進化と合成進化は隠しておくけどね」

 

「うん、それなら私が広める必要は無いかな。必要な時に教える程度、それでいいよね」

 

 さて、これで報告はおしまい。

 これが役に立たない情報だといいな。

 

 さて、ここからは今日の話しだ。

 

「そこは任せるよ。それで今日の予定なんだけど、海エリアに行く、でいいのかな?」

 

「うん。アイテムも揃ったし、予定通り海に行こう」

 

 よし、決まりだね。

 そうなると準備が必要な物は……食料か。

 

「何日かかるかわからないから、お弁当がいるね。作ってくるよ」

 

「私が」

 

「マイさんは朝食を作ってもらったからね。任せておいて」

 

 

 

 お弁当を作り、海エリアの試練の部屋へと来ました。

 まずはルビーをアクセラレーションホーク・ウィンドで、ログレスをクラゲで再召喚する。

 送還されるとは思うけど、一応試しておきたい。

 

「冒険者よ、ここから先は試練の道となっている。進みたければさらなる試練を受ける必要がある」

 

 このイベントは毎回するのだろうか?

 まあ忘れていた時には便利そうだ。

 

「この部屋からの試練は源。アイテムの持ち込みは自由だがステータス、スキルは初期アバターの状態で門を潜ってもらう。さらに海エリア内では如何なる方法でもメニューは開けない。さあ、どうする?」

 

「受けます」

 

「それではユウ、マイパーティの試練を開始する。冒険者たち、汝らの健闘を期待する」

 

 その言葉を聞き終え、奥にある扉の前へと移動して扉を少し押し開ける。

 すると扉は1つ目の試練の部屋と同様に自動で開き始めた。

 

 扉が完全に開き、その先に広がるのは暗闇。

 まあこの辺りは同じなのだろう。

 暗闇の中へと一歩、踏み出す。

 

 

 

 扉を完全に潜り抜けると、目の前には砂の大地、そしてその先には水が広がっていた。

 すぐに周囲を確認したが、僕とマイさん以外はいない。

 そう、従魔達もだ。

 まあこれは予想できていたので、問題はこの後。

 

「召喚、イナバ、幸運の白兎」

 

「召喚、ミー、ラビット」

 

 そう唱えたが、詠唱は始まらない。

 やはりスキルは装備されていないと見るべきだろう。

 初期アバターの状態が、僕がキャラクターを作成した直後であれば従魔魔法や魔法銃のスキルが装備されている可能性もありえたが、どうやらステータスは全て初期値、スキルは無しの本当の初期アバターである可能性が高い。

 まあステータスの差はあまり実感できないけどね!

 

「ユウ、やはりスキルは使えないみたいだよ」

 

「うん、僕も使えなかった。そうなるとこのエリア、フユウクラゲが出現したら逃げないとね」

 

「そうだね。それどころかレア系は全て辛いと思うけど」

 

 その通りです。

 まあ他の魔物であれば倒せない程では無い。

 

「さて、ここでは何を達成すればいいのかな? 草原エリアと同じくボスを倒せばいいのかな?」

 

 まず、装備を確認する。

 着ている服は白の浴衣では無く、海用の初期装備のものだ。

 しかしマイさんは水着の上にパーカーを着ている。

 パーカーも含めて1つの装備なのだろうか?

 いや、それよりも何故あれは持ち込めたんだ?

 もしかして水中用防具は別枠だったのだろうか?

 ……そうか、あの門を潜った時に装備していないし、マジックポーチにも手にも持っていない。

 特別な枠の装備だからかな?

 抜け道発見だね!

 

 次に改めて周囲を見渡す。

 先程も確認したが、やはり後ろに扉は無い。

 前方には海が、左右には砂浜が、背後は砂浜に沿うように森が続いている。

 そして先程、右方向のかなり先に何かが見えていたのでそれをよく観察してみる。

 あれは……建物であろうか?

 

「とりあえず、いかにも怪しいあそこに行ってみようか」

 

「そうだね」

 

 やはりあそこだよね。

 それ以外には怪しいところは無い。

 

 

 

 おお、壁がある神殿かな?

 いや、神殿に壁があっても不思議では無い。

 それどころか壁がある方が多いはずだ。

 その建物は小さめで石造りであり、中はあまり広くないように見える。

 だが、このゲームでは建物の外観から大きさの予想は出来ない事もある。

 

 その建物の周囲を確認した後、海側に備え付けられた扉を少し押し開け、中を覗いたが魔物の姿は無いようだ。

 扉を完全に開け、中を確認する。

 そこは石造りの床と壁、そして外観通りの大きさの部屋であった。

 その奥には玉がおけそうな窪みがある台座が3個と4個の2列に分かれて7つ存在しており、さらに奥には女神像らしき石像が設置されている。

 

「冒険者達よ、頼みがあります」

 

 突然響いたその声はどうやら奥の石像から発せられているようだ。

 試練の部屋では部屋全体から発生していたので別物なのだろうか?

 まあ声の発生源はどうでもいいのだけどね。

 

「そこの台座にはまる7つの宝玉を探して来て、台座にはめて頂きたいのです。そうすれば私は力を取り戻し、このエリアを元に戻すことができるのです」

 

 ほうほう。

 どうやらこの頼みごとをクリアすればこのエリアを突破できるのかな?

 まあその後にボス戦の可能性もあるけど、それは頑張ろう。

 

「そしてそれら宝玉は海の中に散らばっています。中には透明なものもあり、探すのは困難でしょう」

 

 透明な宝玉を海で探すのか……。

 まあ頑張ろう。

 

「冒険者達よ、どうか頼みを聞いてくださいませんか?」

 

「マイさん、どうする?」

 

「まあ受けるしかないよね。頑張ろうか、ユウ」

 

 そうだよね。

 

「うん。それでは受けます」

 

「ありがとう、冒険者たちよ。私からはこれしかできませんが、この神殿を寝泊りに使ってください。ここは魔物の被害を受けず、気温も一定で寝泊りには最適です。どうか、よろしくお願いします」

 

 安全地帯でした。

 そして寝泊りが必要な程、時間が掛かるのか。

 まあ仕方ないよね。

 

「ありがとうございます。それではマイさん、行こうか」

 

「そうだね」

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