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175/202

175―ダンジョン-15―

「ご馳走様でした」

 

 食べ終わりました。

 さて、ポーション作りを再開する前に少し相談しておこうか。

 

「マイさん、ポーション作りが終わったらどうする?」

 

「そうだね……ユウのステータスペナルティが消えるのに12時間程は掛かるから草原で適当に戦ってくるよ。その間ユウは休んでいてほしいな」

 

「従魔達はペナルティを受けてないから戦えるよ?」

 

 そう、従魔達は戦える。

 ペナルティを受けたのは僕だけだからね。

 それにログレス辺りは戦いたいだろう。

 

「まあユウの場合はそうだよね。それじゃあ一緒に草原で戦おうか。それでいいかな?」

 

「ありがとう。そうさせてもらうよ」

 

 草原であればペナルティを受けていても大丈夫なはずだ。

 それに僕は魔歌で支援しておけばいいからね。

 

 

 

 採取してきた薬草の多くを加工し終わると目の前には見た事のない程多くのポーションが並んでいた。

 そのほとんどは容器が足りずにグミ状だが、緊急時の振り掛ける時だけ液体の方を使えばいいので問題は無い。

 基本的に食べる時間はあるからね。

 

 そしてそれらを半分に分けて、それぞれのマジックポーチにしまった。

 ポーション作成途中、マイさんがパーティ人数で分けようと言っていたのだけど、これはほとんどマイさんの成果。

 それならばマイさんが多く持つのが当然だろう。

 そう言ったのだが、半分までしか譲歩してくれなかったのでこの形に落ち着いた。

 

 あと言っていないが、僕の方が一撃で死ぬ確率が高いのだからマイさんが多く持っていた方が良いとは思うのだけどね。

 まあこれは別エリアの話し。

 草原エリアならばペナルティ状態でも耐えられる可能性は高いから言ってはいないけどね。

 

「それでは草原に出発しようか、ユウ。今回は本当に後衛にいてね?」

 

「そんな、僕は基本的に後衛をしていると思うけど?」

 

「ボスで率先して前に進んでいたのは見てたからね。ペナルティー状態でそれは止めてね?」

 

 流石に僕もそこまで愚かでは無い。

 必要が無ければ後衛の方が良い。

 

「大丈夫。前衛に行く必要が無ければ後衛にいるよ」

 

「……はあ。必要無い事を願うよ」

 

 

 

 <魔物>ゲイルウルフ Lv17

 状態:撃破

 

 おお、ゲイルウルフだ。

 珍しい。

 まあルビーの奇襲で一撃だったのだけどね。

 

 それにしても、ゴーレムで召喚しているログレスの動きが激しい。

 あれは少し焦っている気がするよ。

 ……一応言っておこうか。

 

「ログレス」

 

 皆と少しは慣れた位置で手招きし、ログレスを呼んだ。

 戦闘直後であったがログレスはすぐにこちらへと来てくれた。

 

「ログレス、頑張っているね。ただ、1つだけお願いしたい。成長や進化、合成進化の実行は必ず僕の近くで行ってほしい」

 

 その言葉にすぐに頷いてくれたログレス。

 うん、これならば大丈夫かな。

 今の焦っているログレスならば1人の状態でも成長などを実行する可能性があった。

 それに少しだけ気になる事もある。

 まあこちらは気のせいだと思うけどね。

 

「ありがとう、ログレス。それでは狩りの続きを頑張ろう」

 

 

 

 夜になる前に狩りを終え、安全地帯へと戻って来た。

 途中からゲイルウルフを探して狩っていたので良い経験になっただろうと思いたい。

 さて、夜ご飯と風呂を済ませて早く寝よう。

 遅くとも明日の朝になればペナルティは無くなっているはずだからね。

 

 

 

 夜ご飯を終え、風呂も済ませたのだけど寝付けない。

 やはりあの戦闘が原因だろうか?

 そしてログレスも同じようで、まだ起きている。

 どうしようか?

 安眠の歌でも歌うかな?

 いや、この状況ではやめた方が良いか。

 ログレスは今日の事を思い出しているのかもしれないからね。

 負けに学ぶ事は大切だ。

 

 

 

 突然、体を揺すられた。

 手が置かれた方向を見てみると、どうやらログレスであったようだ。

 まあこの揺らし方はログレス以外だとマイさんしかできないと思っていたので、マイさんが僕の部屋に忍び込む可能性まで考えるとログレス以外にはほぼありえなかったのだけどね。

 

「どうしたの?」

 

 そう問いかけるとログレスは部屋のドアを示した。

 

「外について来てって事かな?」

 

 それに頷くログレス。

 ……成長を実行するのかな?

 

 

 

 ログレスについていき、草原エリアまで来た。

 うん、まあ分かるよ。

 

「ログレス、ゴーレムで召喚すればいいんだね?」

 

 それに頷くログレス。

 ログレスは昼からの多くはゴーレムで戦っていた。

 そして安全地帯では出来ない事。

 さらに僕と一緒でなければできない事。

 そうなれば成長の可能性が高い。

 

 ログレスを送還し、ゴーレムで再召喚した。

 さて、これでいいんだね。

 

「ログレス、僕がついているから安心して」

 

 そう言いログレスの足に触れる。

 そして少し経過した後、ログレスから離れる。

 僕があそこまで近くにいると実行できないからね。

 

 少しは慣れたところで、ログレスが地面に倒れ、外殻が金属の塊へと戻った。

 その中央に残されたのは紫色の宝玉。

 成長が実行されたのだろう。

 いや、ログレスの事だから合成進化を実行するのだろうね。

 ログレスが今求めているのはあの黒騎士に勝てる力。

 それは昼の焦りから分かる。

 ただ、これは危ないかもしれない。

 イナバは実行したが、ルビーはそれを実行していない。

 そうなると少ないながらも危険はあるのだろう。

 同レベルのイナバに行えてルビーに行えないとは思えないからね。

 そしてルビーの性格上、出来るのならばそれを行うはずだ。

 それでも行っていない理由は複数思いつく。

 

 まず出来ない。

 まあこれであったら問題は無い。

 

 次にしない、する理由が無いだが、これらの可能性は低い。

 昼からの戦闘でルビーも少なからず激しい動きをしていた。

 あの冷静なルビーが少しだけでも焦っていたのだ。

 ルビーの性格上、この状況で問題無く実行できるのなら合成進化を行うだろう。

 

 そして最後の可能性。

 合成進化は可能だが、危険が伴う。

 この可能性があるから安心できない。

 だからこそログレスに僕の近くで成長などを実行するように言ったのだ。

 

 それに封印の神殿にいた女性が一瞬見せた悲しげな表情。

 あの時、あれはログレスを見ていた可能性がある。

 よく考えてみれば僕の中で1度目と2度目の一番大きな差はログレスの存在だ。

 ならばログレスを見て悲しい表情をした可能性もある。

 まあ、あの表情が見間違いの可能性もあるのでこちらは気のせいの確率は高い。

 それでも、気になったしまった。

 

 何事も無く、無事に終わればいい。

 そうでなければ僕が対処しよう。

 例えそれがログレスの望まぬ結果となってしまっても。

 

 

 

 3時間ほど経過したが、ログレスに変化は無い。

 まあ鎧騎士の時も長かったからね。

 頑張れ、ログレス。

申し訳ありません。少し悪い癖が発動してしまったので、次回から少しの間、月・水・金曜日の投稿となります。

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