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172/202

172―ダンジョン-12―

 草原エリアです!

 目の前にはレベル10のラビットが1体。

 魔歌を試すためにわざわざ残してもらったのだ。

 

「病み歌」

 

 まずは1つ目。

 

「~~~~~~」

 

 すぐには効果が出ないようだ。

 前方ではログレスが兎の体当たりを避けている。

 ついでなのでログレスの回避練習も兼ねています。

 

「~~~~~~~~~~」

 

 まだ何も起こらない。

 

「~~~~~~」

 

 十数秒後、ラビットのHPが減少し始めた。

 どうやら継続ダメージではある様だ。

 次の確認だ。

 ここで歌を止める。

 

 ……ラビットへのダメージは停止した。

 そこで再度、病み歌を開始する。

 十数秒後、ラビットのHPが減少し始めた。

 そして今度はこのまま継続する。

 

 3分程経過したがHPの現象は止まらずダメージは継続している。

 その間のダメージ総量は6割程。

 レベル10とは言え、初期のラビットにこれだ。

 普通に攻撃すれば10秒以内に終わるので単体向きでは無い。

 しかし、集団を相手や硬い相手に対して効力を発揮できれば強力だろう。

 そう、あくまで効力を発揮できればだ。

 耐性等が加味されてダメージすら与えられない魔物もいるだろう。

 まあ各魔物に対してどの程度効果があるかは実際に試してみればいい。

 次だ。

 

「射止め歌」

 

 

 

 数十秒後、ラビットが突然力無く地面へと倒れ込んだ。

 しかしHPバーは減っていない。

 よく観察してみると動いてすらいない。

 これは麻痺では無く睡眠?

 確認する為に歌を止める。

 するとすぐにラビットは立ち上がり、すぐに攻撃を開始した。

 

「イナバ、次にあのラビットが動かなくなったら10秒毎に1回ずつの計3回ラビットに体当たりをお願い」

 

 イナバは頷き、了解を示してくれた。

 これで睡眠かどうかは分かるだろう。

 

「射止め歌」

 

 

 

 ラビットが再度、力無く地面へと倒れ込む。

 ここまでの時間は先程とほぼ同じ。

 時計が無いので誤差は知らない。

 

 10秒後、イナバが体当たりを行う。

 ラビットは避ける事無く、動く事なくそれを受けて少し後方へと吹き飛んだ。

 そして動かない。

 HPバーは確実に減っているのだが、動かない。

 

 20秒後、再度イナバが体当たりを行う。

 先程と同じく、ラビットは動く事無くそれを受けて少し後方へと吹き飛んだ。

 そして動かない。

 

 30秒後、3度目の体当たりを行う。

 だが、結果は同じ。

 そしてまだ動かない。

 ……いや、今動き出した。

 ラビットは動き出し、すぐに攻撃を開始した。

 うん、最後の確認だ。

 

 

 

 十数秒後、再度ラビットは動かなくなった。

 うん、これで決定かな。

 効果が出るまでに十数秒。

 効果時間は30秒と少し。

 効果は麻痺に近いが、対象は全く動かない。

 ……強すぎないかな?

 まあこちらも耐性等が加味されると思うので、たまたまラビット相手には強く効力を発揮しただけかもしれない。

 魔法防御力が高い浮きクラゲなどには効果が無い気がするよ!

 

 

 

 歌を止めてログレスに倒してもらいました。

 そして剥ぎ取るとお肉でした。

 今日の冷蔵庫にはお肉が無かったので少しは集めておかないとね。

 

「ユウ、その技能は強力だね。効果的には麻痺が近いのかな?」

 

「そうなるね。まあラビットの耐性が低かったんだと思う。フユウクラゲなどの魔法耐性が高い魔物には効果も出ないんじゃないかな」

 

「それは仕方ないね」

 

 さて、ここで少し情報を明かしておこう。

 

「流石、取得に3ポイント必要なスキル。効果も高い」

 

「ん? 3ポイント必要だったのかい?」

 

「そうだよ。もしかしたら歌の上位スキルなのかもね」

 

 その可能性は高いだろう。

 効果を確認した今、その可能性は高まった。

 

「まあ歌をリアルスキルで可能なユウだからこそかな?」

 

 おっと、僕の考える正解に近いね。

 

「そうかもしれないね。さあ、確認はこれで終わりにしよよう。手伝ってもらってありがとう」

 

「いえいえ」

 

 

 

 一旦安全地帯に戻ってきました。

 イナバの植物感知で薬草が大量です。

 やったね!

 

「それではマイさん、調薬をお願いね」

 

「任せておいてくれ。ユウも薬草をお願いね」

 

「任せて。それでは集めてくるね」

 

「行ってらっしゃい」

 

 

 

 お、あれは他のプレイヤーかな。

 手を振ってみると振り返してくれたよ!

 うん、プレイヤーの可能性は高いね。

 おっと、こちらに近づいてきたよ。

 

「やあ、初めまして。少し質問なんだけど、ボスは倒したのかな?」

 

「倒しましたよ。貴方達も?」

 

「俺たちも倒したよ。そうなるとここはボスを倒したプレイヤーだけしかいないようだね」

 

 ふむ。

 そうなるとボスを倒す前のエリアには多くのプレイヤーがいたのかな?

 

「ボスを倒す前のエリアには人が多かったのですか?」

 

「そうだよ。って君は倒すまでが早かったんだね。ソロかな?」

 

「今単独行動をしているだけですよ。そうだ、薬草いりますか? 少し採りすぎてしまったので」

 

 そう、つい採りすぎてしまった。

 他のプレイヤーがいないなら問題は無いけど、いるのならば一定時間内での採りすぎは良くない。

 

「いいのかい?」

 

「この周辺には既に薬草が無いと思います」

 

「……ありがたく貰っておくよ。ありがとう、お嬢さん」

 

「おい、失礼だな。その子は少年だぞ?」

 

 後ろにいた弓を持った少女がそう言った。

 多分パーティメンバーなのだろう。

 剣、剣、槍、弓、魔法銃、杖のパーティだ。

 やった、魔法銃だよ!

 

「違うよ。少女よね?」

 

 少女の隣にいた槍持ちの少女がそう言った。

 

「まあ気にしないでください。それよりも薬草をどうぞ」

 

「あ、ああ。ありがとう」

 

 最初に話していたリーダーらしき剣の少年へと薬草を手渡す。

 まあ気にする事ないよ。

 僕も貴方達相手なら気にしないから。

 

「それでは失礼しますね。探索頑張ってください」

 

 軽くお辞儀をし、その場を移動する。

 他のプレイヤーが多いのならば少し急いだ方がいいだろうか?

 初クリアボーナスとかがあるかもしれないからね。

 

 

 

 太陽があの位置だと……お昼まで結構時間があるね。

 早起きしすぎたかな。

 まあどちらにしてもいったん帰ろうか。

 

「皆、帰ろうか」

 

 さて、あちらだったかな。

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