167―ダンジョン-07―
剥ぎ取りが終わりました!
ドロップは金属に魔石といつも通りだったよ。
さて、何が起こるかな?
<草原エリア、ボスパターン3の突破を確認。マイをリーダーとしたパーティに新たな道を解放する>
その言葉が終わった瞬間、視界が変わった。
すぐに周囲を確認したが危険は無さそうだ。
改めて周囲を見渡すと、どうやらここは木造の部屋の様だ。
部屋は少し大きい程度。
目の前にドアが3個、後ろに1個。
そして左右に1個ずつ。
それ以外は何もない。
取りあえず、安心していいだろう。
だが、従魔達が全員いない。
マイさんの従魔もいないので強制的に送還されたのだろう。
まあゴーレムのままではここは狭いだろうから丁度良かったのかな?
とりあえずイナバは幸運の白兎、ルビーはウルフ、ログレスはパペットで召喚だ。
3人の召喚が完了した。
マイさんもミーをラビットで召喚していた。
そして召喚の間は特に何も起こっていない。
やはり、ここは安全地帯の可能性が高い。
「マイさん、お疲れ様」
「ユウこそお疲れ様。あまり役に立てなくてゴメンね」
「そんな事ないよ。マイさんはゴーレム1体を引きつけてくれた。それだけで撃破までの時間はかなり早くなり、安全性も増した。もし与えたダメージの事を気にしているのなら今回は相性が悪かっただけだから気にしないで」
「そうかな? ありがとう」
その通りです。
槍でゴーレムの相手は相性が悪い。
一部その相性を覆せそうな人もいるが、流石にそこまで求めはしない。
そしてマイさんの戦闘を見た感想だけど、十分に強かった。
攻撃と回避だけならアーネさんと同等程度に見える。
まあアーネさんはそこに防御も加わるのだけどね。
それでも、生産系であれだけ戦えるのなら十分だと思うよ。
戦闘系と言われても納得できるほどの実力だ。
「マイさん、戦闘系でも十分いけるよね?」
「私もそう思っていたんだけどね……さっきの戦いで自信を無くしたよ!
「まあ僕達はゴーレムに慣れていたからだよ。さて、少し休憩する? それとも部屋を調べる?」
「先に軽く調べようか。ここは安全地帯だとは思うけど一応ね」
うん、僕もその意見に賛成だ。
幸い今ならばボスともう一度戦うこともできる。
それよりも時間が経過し、食事などが理由でマイナス状況になる事の方が心配だ。
「それもそうだね。あのドアから調べてみようか」
そう言い、背後に位置していたドアを指さす。
「分かった」
「イナバ、ルビー、ログレスは休憩していてね」
先程の戦いで頑張ってもらったからね。
それにすぐ戦いになるかもしれないから、少しでも休憩していてほしい。
まず1つ目。
背後にあったドアだ。
そのドアにはプレートが付けてあり、草原エリアと書かれている。
ドアを慎重に開けてみると、その先は暗闇に包まれていた。
これは親方の工房と同じく、別の空間に繋がっているのだろう。
そしてその先は先程までいたウルフとラビットがいるエリアの可能性が高い。
ここに転移される直前、頭に響いた声は草原エリア、ボスパターン3を撃破と言っていたからね。
まあ他の草原エリアの可能性もあるので確実とは言えないけど。
「さっきまでいたエリアに繋がっているのだろうね。次に行こうか」
「僕もそう思うよ。そうなると反対側の3つは他のエリアに繋がっているんだろうね。まあ最初に確認しておこうか」
何せ反対側のドアにもプレートが掛かっており、左から森エリア1、森エリア2、海エリアと書かれていたからね。
まあ、どんなエリアか予想はつくよ。
「そうだね」
反対側の3つのドアを開けてみたが、先程のドアと同じく暗闇に包まれて先が見えなかった。
まあ予想通りだ。
「マイさん、次はどちらを調べたい?」
「そうだね~……あっちのドアを調べてみよう」
マイさんが指さしたその先、最初の位置から右に位置する何もプレートが掛かっていないドア。
まあ反対側も同じなんだけどね!
慎重のそのドアを開ける。
そのドアの奥は……廊下になっていた。
その一本道の廊下には左右ともにドアが1つずつと奥に1つの計3個あるだけで、他には何もなかった。
左右のドアは左側が手前に、右側が中央に配置されている。
危険は無さそうなので廊下へと入る。
すると突然、靴が消えた。
土足厳禁なのだろう。
何て便利。
廊下を進み、まずは右のドアを開ける。
中を窺うとそこには大きめの箱型の物体や大きめの机、いかにも火が付きそうな物体に水が流れそうな物体が……台所ですね。
コンロと水道がある時点でそうなのだろう。
とりあえず危険は無さそうなので中に入ってみよう。
「中に入って調べてみようか」
「そうだね」
まず水道からだ。
蛇口を捻ると水が出ました。
それだけです。
その水を少しだけ口に含む。
そして飲み込まず少しの間待っていたが、特に変化は無い為飲み込んでみる。
……まだ変化は無い。
まあもう少し経過を見てみよう。
次にコンロだ。
まず、元栓を開ける。
……特に変化は無い。
まあ、あっても困るのだけどね。
次に前面にあるボタンを押す。
しかし火はつかない。
そう、長押しだ。
今度は長くボタンを押す。
……つきました!
やったね!
「ユウ、こちらの箱は冷蔵庫みたいだね。1日毎に食材が補充されて、その食材はその日の内に消えるみたい」
「こっちは見た目通り水道とコンロだったよ」
どうやら向こうは冷蔵庫であったらしい。
まあ予想はできた。
……何だろうか、ファンタジー感の無い部屋である。
まあ電気を使っていないようだし、食材の補充と消滅を考えるとファンタジーなのかな?
「次の部屋を見に行ってみよう」
「そうだね」
台所とは逆にあるそのドア。
こちらはドアに未使用と書かれたプレートが掛けられており、それを裏返すと使用中と書かれていた。
慎重にそのドアを開ける。
中を覗くと右手に大きめの籠とその奥に半透明の擦りガラスがはめ込まれたドア、左手に鏡と蛇口が付いた大きな台がある。
そうですね、風呂場ですね。
中に入り、まず籠の中を覗くと紙が2枚入っていた。
1枚目の紙を手に取ると、そこには"中に洗濯物を入れ、『清潔魔法』と唱えると中の衣服に清潔魔法が掛かるよ。やったね!"と書かれていた。
何がやったね、なのか気になるがまあ良い。
次に2枚目の紙を手に取ると、そこには"奥のドアを通り抜けるとプレイヤーには自動的に清潔魔法が掛かるよ。やったね!"と書かれていた。
これは便利です。
そして、こちらの魔法がここにあるという事はもう片方の魔法が掛かる場所もどこかにあるのだろうね。
まあその内発見できるだろう。
どうやら隠すつもりは無いようだから。
籠の確認を終えたところで、次に奥のドアを慎重に開けて中を覗いてみる。
中は木製の湯船に蛇口、シャワーにその他色々。
まあ風呂場でした。
まあ予想できたが待ってほしい。
このゲームは裸になれるのか?
……いや、脱衣場と風呂場限定なのかな。
まあ用意してあるのは良い事です。
「風呂場だね。疲れもとれるだろうから、食事後にでも入ろうか」
「……そうだね。とりあえず残りのドアを確認しようか、ユウ」
廊下の一番奥のドア。
そこにはプレートが掛かっており"ダンジョンの外"と書かれている。
うん、これは分かる。
「ユウ、これは……」
「開けない方が良いだろうね」
「だよね。次に行こうか」