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従魔使いのベアリアスワールド・オンライン  作者: 雪結晶
1章 - 始まりの町と初めての従魔
16/202

―――16―――

 その後も順調に森を進んでいた。

 途中で回復草が生えている場所もあったので、そこでは取りすぎないように採取をしている。

 魔物も今まで通り出てきたが、地上はイナバが教えてくれるため奇襲もなく撃破でき、空中もルビーが全て撃退してくれる上に、撃破した後もちゃんと近くまで運んできくれるので剥ぎ取りも問題なくできている。

 

 そして、結構奥まで来たかなと思っていたころ、前方に真黒な空間が見えてきた。

 ある一点より奥が真っ暗で何も見えない空間になっているのだ。

 ある点より前までは森の木々や草が生い茂っているのに、その一点いや、その境界を超えると途端に暗闇に包まれているようだ。

 ルビーも先が見えない為か近くまで降りてきている。

 イナバは特に警戒している様子はないようだ。

 う~ん……どうしようか。

 流石にあそこに飛び込む勇気はないが、何も調べずに引き返すにはちょっと勿体ない気がする。

 現実世界なら間違いなく引き返すのだけど、ここはゲームの世界だ。

 死んでしまってもペナルティーを受けて町で復活できるようなので、多少の無茶くらいは前提になっているかもしれない。

 だったら多少無茶をしてでも調べたほうがいいかもしれない。

 よし、調べよう。

 

「イナバ、これ以上暗闇に近づかないように注意して地上の警戒をお願い。ルビーもこれ以上暗闇に近づかないように注意して空の警戒をお願い」

 

 そう2人に指示をだし、自分は暗闇に警戒しつつゆっくりと近づいていく。

 無茶はするにしても、できるだけ安全にいきたいからね。

 

 周りの木々や草なども注意深く見ても道中のものと変化はないように見える。

 イナバとルビーを見てみたが、魔物の気配も今のところは無いようだ。

 

 だんだん暗闇に近づいていき、目の前まで近づいたが何も起きない。

 暗闇の寸前で、左右を確認してみるが見える範囲では暗闇は途切れていない。

 これは暗闇が途切れている箇所を探し回った方がいいのだろうか?

 

「イナバ、ルビー、少し移動したいから警戒したまま移動をお願い」

 

 そう指示をだし直し、暗闇に向かって右側に移動を開始する。

 

 

 

 暫く暗闇に沿って歩いてみたが暗闇は一向に途切れる気配はない。

 移動中に魔物は出てきたので、魔物が近づかないような場所ではないようだ。

 う~ん……これは困った。

 やはり触れてみるしかないのだろうか?

 いや、触れる前にとりあえず、石でも投げてみよう。

 そう思い、近くに落ちていた石を暗闇に向かって投げてみる。

 石は暗闇の中に入り……石がが地面にぶつかる音が聞こえた。

 とりあえず暗闇の中にも地面はあるみたいだ。

 これはやっぱり入ってみるしかないかな。

 まあ、危険な場所かもしれないけど、このまま何もわからずに帰るのもね……。

 それにこれから先でも危険そうに見えるからと全部避けて通って、その後に誰かが解き明かすのを待ってから安全に攻略するなんて考えは嫌だからね。

 よし!入ってみよう!

 

 まずはゆっくりと手を近づけてみる。

 ぎりぎり触れないところまで近づけてみたが何も起こらない。

 そこからさらに手を近づけていき……触れた。

 

<先を求めるものよ、汝にその資格は無い>

 

<強さを証明せよ。証明できたならば試練を与えよう>

 

<今は立ち去るがよい>

 

 触った手は暗闇に入る直前で何かにさえぎられているようにそれ以上先へは進まなかった。

 そして、今の言葉だ。

 強さを証明せよか……。

 しかも証明した後に試練が待っていると。

 これは町に帰ってNPC達に話を聞く等して、ちょっと調べてみた方がいいのだろうか?

 まあ、とりあえずこの件に関して、後は町へ戻ってから調べよう。

 この後は森の入り口付近で夜の森の魔物を調べて、その後に夜の草原の魔物も調つつ町へ帰ろう。

 そして、時間があれば少し聞き込みをしてみよう。

 よし、そうと決まれば森を出よう。

 

「イナバ、ルビー警戒ありがとう。少し分かったからそろそろ帰ろうか」

 

 

 

 森と草原の境界まで到着した。

 特に危険な戦闘もなく、回復草もさらに採取できた。

 次は夜の魔物の確認だが、今はまだ夕方なので少し休憩を挟んで夜を待とう。

 

 それにしても強さの証明か。

 考えられるのは特定の魔物の撃破、魔物の討伐数、種族レベル、スキルレベル辺りが一番怪しいか。

 特定の魔物撃破の場合は運が絡みそうだな……。

 魔物の討伐数の場合は着実に進めれば大丈夫かな。

 種族レベル、スキルレベルは魔物の討伐数と同時進行でいいだろう。

 その他の条件は……今は思いつかないな。

 まあ、町に帰ってから調べてみて、それでもわからなかったら色々試してみようかな。

 そんな事を考えつつ、夜までの休憩時間をイナバとルビーと触れ合いながら過ごしていた。

 

 

 

 日が完全に沈み夜になった。

 夜の森の魔物を確認するべく、森へ入っていく。

 イナバとルビーには昼と同じ指示を出してある。

 さて、どんな魔物が出るのだろうか?

 

 結果はウルフの群れが出ました。

 イナバのおかげで奇襲は無かったけど……数が多い!

 ぱっと数えた感じ、10体以上はいそうだ。

 これはどうしよう……逃げようか?

 いや、たぶん逃がしてくれないだろう。

 

「ルビー!イナバの支援をしてくれ」

 

 そう指示を出し、群れの左側の魔物に向かって攻撃を行った。

 イナバも群れに近づいているようだ。

 こちらには4体来たようだ。

 近づいてくるまでに遠距離から魔法銃による攻撃を何度か行ったが、1体も倒すことはできない。

 近づかれてからは回避に専念した。

 なんとか攻撃しよう思ってはいるが、回避に精一杯で攻撃まで手が回らない。

 それどころか回避を失敗して攻撃を受けている有様だ。

 夜による視界の悪さで魔物の動きが見え難く、それがさらに被弾率を上昇させている。

 途中でポーションを取り出し、飲もうとしたがそんな暇は無かった。

 なので、傷口に掛けて回復を試みたところ回復できたので、何とか耐えられている。

 イナバ達の様子も見たいが、そんな余裕はない。

 このままじゃあいけないと思いつつも、攻撃ができない……。

 これは無理にでも攻撃に回った方がいいか?

 そんなことを考えていた矢先それは起こった。

 いきなり前方のウルフが地面に倒れたのだ。

 そして目の前にいたウルフの横腹にイナバが突進をしていた。

 それを好機だと思い、他のウルフの内1体の攻撃を避けて、その後ろ姿に攻撃を行う。

 攻撃は当たり、ウルフは体勢を崩し……何かが通り過ぎたと思ったらHPバーが空になっていた。

 これは……いや、今は先に戦闘を終わらせないと!

 そう思い、もう1体のウルフに魔法銃を撃つ。

 ウルフは攻撃に構わず体当たりをしてきたが、1体しかいない今、いくら夜で視界が悪いとはいえ十分避けられる。

 そして、避けた後に後ろ足に魔法銃を撃ち、弾に当たり体勢を崩したウルフをまた何かが通り過ぎる。

 それでウルフは倒れた。

 これで残り1体か、イナバの方はどうなったろう?

 そう思いイナバの方を向いてみると、イナバはすでにこちらに走ってきていた。

 どうやらイナバは既に倒していたようだ。

 

 さて、謎の攻撃だけどやはりルビーだった。

 空からの勢いをつけた一撃でウルフに攻撃をしていたのだ。

 そうなると、最初にこちらに来なかったウルフ達はイナバが引きつけルビーが攻撃をして倒したのだろうか?

 何にしても助かった。

 僕だけだったら確実に死んでしまっていた。

 

「イナバ、ルビーありがとう!」

 

 感謝し、2人を両手で撫でる。

 それにしても夜の森はこんな感じなのだろうか?

 今回は何とかなったが、毎回これではいつか負けてしまうだろう。

 もう森の方は切り上げて草原に向かうことにしようか?

 う~ん……。

 

「イナバ、ルビーさっきと同じようなのでもまだいけそう?」

 

 そう聞いてみたところ、イナバとルビーは頷いてくれた。

 本来ならここで戻るべきかもしれないけど、集団戦にも慣れておきたいと思ってる。

 勿論あと数回戦ったら帰るつもりではいるけど。

 ちょっと急ぎすぎだろうか?

 でも、このVRMMOの出来を見ていると、次の景色も見たいと思ってしまうのだ。

 ならば少しずつでも力をつけていかないといけないだろう。

 なので、ここは少しでも慣れておきたい。

 幸いイナバとルビーがいるおかげで何とかなりそうだ。

 ここは少し無茶をしてでも1対多の戦闘を練習しておこう。

 ただ、休憩は挟まないとね。

 そして、森と草原の境界へと休憩に向かう。

20140819:修正

字下げをするように修正しました。


20140815:大幅修正

見直しも兼ねて、大幅に修正を行いました。

表現だけでなく、内容まで変更した箇所に関しましては、今現在1~18話のものをまとめて作成しておりますので、少々お待ちください。

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