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157―イベント開始-01―

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 今日はイベント、現在時刻は2時10分前。

 そして今日からは思考制限の練習は行わない。

 アレを行った以上、意味がないと思うからね。

 それに60日間思考制限は流石に辛いよ。

 

 <本日開催を予定していたイベントの内容が大きく変更されています。変更点の詳細を運営からのメールより、必ずご確認ください>

 

 突然、頭の中に高い声が響く。

 このタイプの声は久しぶりに聞いたな。

 でも、チュートリアルの時の声とは違うようだ。

 全体用と個別用で違うのだろうか?

 まあ、今は置いておこう。

 いずれ何かわかるだろう。

 

 まずはイナバを幸運の白兎、ルビーをウルフ、ログレスをパペットで召喚する。

 

 さて、3時までどうするかな。

 浮遊核は既に取得できた。

 町まで移動するには時間が足りない可能性もあるし、移動する理由もない。

 

 それならば、この時間を使って付加術を試してみようかな。

 イベントに入ったらできる機会が無いかもしれないからね。

 暇な今こそやるべきだろう。

 それならば北の神殿の家に行こう。

 ここでは邪魔になるかもしれないからね。

 

 

 

 付加術を安全に試すべく、北の神殿の家に移動した。

 

「3人とも、僕は少しやる事があるから自由に遊んでいて」

 

 その言葉に3人は頷く事で了承を示してくれた。

 そして安心して家の中へと入る。

 あの3人ならばこの辺りの魔物には負けないので家の中で作業をするつもりだ。

 逆に家の外であれば、僕が弱点になってしまいかねない。

 

 

 

 椅子に座り、マジックポーチから生産職ギルドで購入しておいた携帯用付加術セットを取り出す。

 携帯用付加術セットの内容は、まず青い宝石が嵌った腕輪が2個。

 そして黒い長方形の板の奥半分程に透明な球体が乗っている物が1個。

 大きさは板が長辺60、短辺40センチ程で球体が30センチ程だ。

 

 本体をテーブルの上に置き、透明な球体の中へラッキーラビットの魔石を近づける。

 そして入門書にあった言葉を唱える。

 

「セット」

 

 すると手に持っていた魔石が消え、何もなかった球体の中に魔石が存在していた。

 入門書によれば、セットと唱えた人が手に持っている魔石を球の中に移動させて加工できる状態にする工程らしい。

 そして必ず手に1個しか持っていない状態で行いましょうと記載があった。

 ……試してみたいが流石にやめておこう。

 

 次に両腕に先程の腕輪を装着する。

 準備はこれで完了だ。

 

 両腕を台座の手前の球体が乗っていない部分へと置き、開始の言葉を唱える。

 

「アクセス」

 

 その瞬間、景色が変わる。

 視界の先には大きな灰色の石。

 現在の自分の体と比較して5倍以上はありそうだ。

 

 次に周囲を見渡すが、この空間には魔石と僕以外、何も存在しない。

 そして足元も例外ではない。

 僕は今、宙に浮いている様な状態だ。

 

 次に体を動かしてみるが、まるで水中を動いているような感覚だ。

 それでいて水中よりも抵抗が少なく、動きやすい。

 空中を自由に動き回れたならばこんな感覚なのだろうか?

 いや、それよりも動く練習をしなければ。

 開始せずに5分経過すると強制的に元の場所に戻されるみたいだからね。

 

 

 

 残り1分程を残し、練習を終了する。

 流石に水中で戦った経験があるので慣れやすかった。

 そしてこれ以上は実戦で慣れよう。

 時間も無いからね。

 

 集中する為に一度深呼吸をする。

 最初は成功する必要は無い。

 今回は動きを見る事が最優先だ。

 

「スタート」

 

 そう唱えた瞬間、視界の先にあった灰色の石が弾け飛んだ。

 そしてその破片が周囲へと飛び散り、動き回る。

 1つ1つは僕よりも小さな破片。

 しかし、その数は数多にある。

 

 付加術に使用する魔石の加工方法。

 それは魔石内の余分な要素を消し去る事。

 今視界に存在する破片は2色に分かれている。

 1つは青色、1つは赤色。

 入門書によると青色の破片が必要な要素らしい。

 そうなると、今回は赤色の破片を消し去る事になる。

 そして破片を破壊する方法は2つ提示されていた。

 1つ目は武器を使って破壊する方法だ。

 

 対応した言葉を唱えることで武器が出現する。

 これは携帯用の安価なものなので使用できるのは2種類。

 剣と弓。

 ……魔法銃ほしいな。

 まあ今回は弓を使おうか。

 幸いこの中であれば矢は筒に無限に補充される。

 とても便利である。

 

「サモン、ボウ」

 

 そう唱えた瞬間、目の前に弓と矢筒が出現し浮かんでいる。

 矢筒のベルトを腰に装着し、弓を手に持つ。

 そして矢筒から矢を1本取り出し、弓へ番える。

 よく引き絞り、撃つ。

 ……うん、こんなものか。

 動きの遅い破片であれば当てられるだろう。

 

 最初は剣を使うつもりだったが、入門書に風などの影響がないと記載があったので試してみたのだ。

 そして結果は良好。

 風も何もないこの空間だからこそ、僕でも当てられる。

 

 正直壊すだけならば剣の方が良いだろう。

 だが、僕の壊し方には弓の方が適している。

 

 2つ目の方法。

 それは破片が破片を壊す方法だ。

 僕が何もしなくても、違う色の破片は壊しあうらしい。

 そして実際に視界にはぶつかり合う破片が見て取れる。

 

 僕の壊し方、それは必要な破片を援護して余分な破片を壊しやすい状況を作り、破壊してもらう方法。

 戦いの技術が未熟な僕はこれが一番だ。

 ちなみに放っておいた場合だが、必要な要素が破壊され過ぎて失敗になるらしい。

 なので僕がするのは余分な破片の邪魔。

 必要な破片が戦いやすくするだけだ。

 

 正面同士でぶつかり合えば同じ量のダメージを受ける。

 だが、矢で邪魔をして動きが鈍ったところに横から体当たりをすればダメージでは有利になる。

 今だけであれば剣の方が効率がいいとは思う。

 だが、先を考えるとこちらの方法が僕には合っているはずだ。

 まあダメなようなら剣に転向すればいい。

 

 さあ、動きを見つつ矢を撃っていこう。

 

 

 

 魔法銃、魔法銃が欲しいよ!

 あれだけ遅い相手に命中率3割とか何なのだろうか。

 まあ、これから練習していけばいい。

 さて、赤い破片は残り少し。

 頑張ろう。

 

 

 

 最後の赤い破片。

 視線の先でそれは破壊された。

 僕が放った矢は横を通過しただけで、その後に青い破片が体当たりで破壊したのだけどね!

 さあ、赤い破片はもう無い。

 これで完了だ。

 

「エンド」

 

 そう唱えた直後、一斉に青い破片が移動を始めた。

 

 

 

 少し経過し、青い破片が1か所へと集結して元の灰色の石へと戻った。

 特に変わった様子はない。

 そして次の瞬間、景色が変わった。

 

 視界の先には黒い台座の上に置かれた手。

 そして透明な球。

 その中には灰色の石が浮いている。

 

 魔石を回収する為に、台座から手を離す。

 

「リリース」

 

 そう唱えると先程まで手が置いてあった場所に灰色の石が出現した。

 透明な球の中を見てみるが何も存在していない。

 

 うん、これで完了だ。

 時計を確認すると20分程経過していた。

 加工としては早い方だろう。

 さて、お楽しみの鑑定だ。

 

 

 

 <アイテム:素材>幸運の魔力石

 素材ランク2

 幸運の力が込められた魔力石。

 

 うんうん、成功だね。

 事前に知ってはいたけど、やはり魔石では無くなるのだね。

 そして説明文が気になるな。

 浮遊核と少し似てる?

 いや、あちらは秘められているだったかな。

 まあその辺りは生産職の人に任せよう。

 

 さて、これをどうしようか。

 作ってみたは良いけど、付加したいアイテムが無い。

 今の防具にはあまり付加したくないし、以前の防具に付加するのは勿体ない気がする。

 そして付加できる特殊能力から、武器に付加するのは微妙だ。

 悪くはないが、もっといいものがあるだろう。

 ……うん、置いておこう。

 無理して今使う必要は無い。

 それに僕の場合は付加術がメインではないのだから、急いでレベルを上げる必要は無い。

 

 幸運の魔力石をマジックポーチへしまい、次はフユウクラゲの魔石を取り出す。

 次は能力が気になり、さらに数もあるこの魔石にしよう。

 

 <あと30分でイベント開始となります。ログインされているプレイヤーはイベントに強制参加となり、イベント開始以降はログインが出来なくなります。イベントに参加されるプレイヤーの皆様は現実での準備も忘れず行ってください>

 

 

 

 失敗しました。

 矢が当たらないんだ!

 先程と違い不要な要素が2色、さらに動きも早かった。

 もう少し腕を磨いてから挑戦しよう。

 でも、あれだけの難易度となると能力が楽しみだ。

 浮遊?

 いや、その可能性は低い気がする。

 浮遊核がアイテムとして出現しているからね。

 そうなると、HP回復かMP回復かな?

 まあ加工できれば分かる事だ。

 楽しみにしておこう。

少し書き溜めが出来たので、しばらくは日曜以外の週6日投稿を予定しています。

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