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※皆さまはご理解いただけていると思いますが、念の為に注意文を載せておきます。
前回と今回、ゲーム中で住所を聞いて方が良いとする会話がありますが、現実のMMOゲームで相手の住所を聞く行為はマナー違反にあたります。
そして規約でも禁止されているとは思いますので現実のMMOゲームでは行わないようにしてください。
「優君、私が昨日のログインしてた時に面白そうなお知らせが届いてたよ」
「面白そう? 確認しておくよ」
部屋へ行き、ログインしようと思っていたところ姉さんからこんな事を言われた。
面白そう、ね。
ログイン!
まずはイナバを幸運の白兎、ルビーをウルフ、ログレスをパペットで召喚する。
ログレスは町から出たらゴーレムで再召喚する予定だ。
さて、運営からのメールだね。
確認しておこうか。
これはこれは。
確かに面白そうではある。
内容は明日のイベントとアップデートに関してだ。
変更箇所と言うか、ほぼ全てが変更されている。
まずアップデート。
通常エリアでの新エリア追加がイベント後となり、イベントで新エリアの体験が可能となっている。
これは……イベントは別エリアなのかな。
まあ始まってみれば分かる事だ。
次にイベントだ。
ログインしているプレイヤーはどの場所にいても強制参加。
これは開始前に数度アナウンスするらしい。
さらにイベント開始後からイベント終了まではログインが出来なくなる
まあログアウトは可能みたいなので、イベント参加者は再度ログインが出来ない事にだけ気を付ければいい。
そして実施時間は3時から5時に短縮。
これは2時に開始すると思っている人の為の準備期間かな。
まあいいや。
それよりも、ゲーム内加速が変更されているほうが気になる。
通常時間の720倍。
60日間ゲームの中で暮らせとはね。
今までのデータから安全と確認されたのだろうか?
まあ、そうなのだろう。
そして、これは参加するのが不安な人が多いだろうね。
僕は問題無いけど、一体どれ程の人が参加するのかな。
いや、それよりも何故こんなイベントに変更したのかが気になる。
明らかに参加者は減るだろう。
それでも変更する必要があったのかな?
まあその内何か分かるだろう。
今は情報が足りないので考えるよりも、イベントに向けて狩りへ行こう!
海です。
イベント前の最後の狩り。
問題は浮遊核がドロップするかどうかと、町へ戻る必要があるかどうか。
浮遊核はやってみればいいので置いておいて、町へ戻る必要はあるだろうか?
どこからでも参加できる。
いや、強制参加ならば戻る必要は無いよね。
うん、ログイン時間ぎりぎりまで狩り続けよう。
それでは再召喚だ。
イナバはそのまま、ルビーはアクセラレーションホーク・ウィンド、ログレスはクラゲで。
さあ、ドロップするかな?
1体目。
一昨日と同じ方法で核を取り出して、最後と同じ方法で核を圧縮して倒した。
気になるドロップは無し。
やはり条件を満たしても確定では無いのだろう。
それならばできるだけ多く倒そう。
5体目。
やはりドロップしない。
何か条件を満たせていない可能性も考えるべきかな?
でも、思いつかないな。
倒しながら考えよう。
おや、メールか。
相手はマイさんだろうね。
メールの内容は僕が明日のイベントに参加するかどうかを教えてほしいそうだ。
メール、ね。
マイさんへとフレンドチャットを行う。
さて、どうだろうか?
『ユウ、どうしたんだい?』
数十秒後、フレンドチャットが繋がった。
出てくれたね。
声が少し震えている以外はいつも通りだ。
『僕は参加するよ』
『本当だね!?』
その声は先程と打って変わり、喜びに満ちている。
『参加する理由があるからね。マイさんは参加するの?』
『勿論、私も参加するよ』
『それは良かった。そういえば新しいエリアも体験できるみたいだね。昨日の雪景色の様な場所はあるのかな。あの雪の中で遊ぶのも楽しそうだ』
『ユウのところはあまり降らないのかな? 私のところの雪を少し持って行ってほしいくらいだよ』
『そんなに降るの?』
『降るね~。まあ私のところはまだマシだけどね』
『そんなに降るのならカマクラを作って中で鍋とかできそうだね』
『それもいいね~。どんな鍋がいいの?』
『普通の鍋もいいけど、カマクラで食べるならその地域独特の鍋がいいかな。雪が降るその地域の特色が出ていそうだから、さらに美味しく食べられそうだ』
『それでは石狩鍋はどうかな? 味噌味で煮込まれた鮭や野菜は美味しいよ』
『石狩……北海道だったかな? 鮭は嫌いじゃないから石狩に行った時は是非とも食べてみたいな』
『おいでおいで。そうすれば私の手製の鍋をご馳走するよ?』
『え? 料理できたの?』
『……ユウ、それはどういう意味かな?』
『いや、興味はあってもそっちに時間は取れていないと思ってね』
『うぐ……それでも人並みにはできるよ。これでも女の子だからね』
『それは失礼。おっと、イベント前の忙しい時に長話に突き合わせてごめんね』
『いや、元はと言えば私の質問が元だからね。気にしないでいいよ』
『ありがとう。まあこれ以上話していてイベント準備に差支えてもいけないから、今日はここで終わろうか。準備頑張ってね』
『――そうだね。明日はイベントを楽しもうね?』
『楽しむよ。それではまた明日』
『うん、また明日』
そうかそうか、やはり参加するんだね。
おっと、それよりもクラゲ狩りを頑張らないと。
可能であればあと1個、浮遊核が欲しいからね。
6体目。
ログレスに核を締め付ける力を増してもらった。
倒すまでの時間は早くなったがドロップは無い。
次は逆を試そう。
7体目。
先程とは逆に締め付ける力を弱めてもらった。
倒すまでの時間が2倍ほど掛かった。
そしてドロップしなかった。
うん、やはり元に戻そうか。
9体目。
ドロップしなかったです。
時間的に次が最後になると思う。
10体目。
あの時と同じように倒した。
やはりこれが一番だったのだろう。
僕の目の前には半透明で白い宝石が浮かんでいる。
ギリギリ取得できてよかった。
手札は多い方が良いからね。
問題はまだ装備として加工できない点だけど、そこはマイさんにお願いしよう。
あちらと違ってこちらは加工に失敗して壊れても大丈夫だからね。
さて、北の神殿まで戻ろうか。
北の神殿です。
今日はログを確認したらここでログアウトだ。
そういえば昨日のログを確認してなかったな。
まあ仕方ないか。
それに移動以外では戦闘をしていないのだから、あまり変化もないだろう。
<<従魔:ログレスのレベルが上昇しました>>
<<従魔:ルビーのレベルが上昇しました>>
<<従魔:イナバのレベルが上昇しました>>
僕は成長していないようです。
まあ従魔達が順調に成長してくれているので嬉しいな。
イナバは知力、ルビーは魔力、ログレスも魔力が上昇していた。
いつも通りだ。
そして僕のステータスも一応確認しておいたが、変わりなかった。
よし、ログアウトしよう。
明日はイベント。
いや、明日からは、かな?
まあそこは置いておいて、少し早目にログインはしておこう。
時間が余るようなら町に移動しておけばいい。
さあ、どんなイベントになるのだろうね。
楽しいイベントだといいな。