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153/202

―――153―――

「ユウ? 君は何を考えているのかな?」

 

 お菓子美味しいです。

 

「お菓子美味しいなと」

 

「正直なところ、君の考えが分からない。先程の君の行動、明らかにおかしいよね」

 

「普通、人の考えている事なんて分からないよ。相手の行動、言葉などから予想するしかないと思うけど?」

 

「……とりあえず、この浮遊核は私が加工するよ。ただ、いずれ答えを教えてもらえるのかな?」

 

「機会があれば、かな?」

 

「機会ね。それは」

 

「来ました~! マイちゃん、ユウさん」

 

 突然、入り口のドアが開いてレンさんが現れた。

 悪くないタイミングです。

 

「お邪魔しています、レンさん」

 

「お久しぶりです。あ、まずはあれの進捗を」

 

「大丈夫ですよ。急がず、最高の物を仕上げてください」

 

「分かりました。ですが、それでも進捗は報告したいと思うのですが……」

 

「完成か断念した時に教えて頂ければそれで十分です。どうせ私が聞いても分かりませんからね」

 

「……分かりました。頑張ります」

 

「ありがとうございます。まあとりあえず、座って話しませんか?」

 

「そうですね」

 

 

 

 おや、マイさんからのフレンドチャットだ。

 どうしたのかな?

 

『ところでユウ、気づいているよね? 理由を聞いてもいいかな?』

 

『理由が無いからだよ?』

 

『多分今回も気づかないよね……レンちゃん。以前の方がまだ気づきやすいから』

 

「ユ、ユウさん。私相手にも口調を崩してほしいのですが、ダメでしょうか?」

 

『言ってあげないの?』

 

「構わないよ。これでいい?」

 

「ありがとう、ユウさん。それと私も口調を崩してもいいですか?」

 

『あの子の為にも、自分で気づいてもらわないとね』

 

「それは自分の判断でするべきだよ? まあ僕は気にしないけどね」

 

「ありがとう。私は丁寧語があまり得意じゃないから嬉しいな」

 

『そうだね』

 

「私としてはレンちゃんがボロを出さなかった事に驚きだよ」

 

「今回は頑張ったからね!」

 

 

 

「マイさん、レンさん、またね」

 

「ユウ、またね~」

 

「また来てね、ユウさん」

 

 手を振りながら鍛冶屋から離れ、北門へと向かう。

 今日は残り時間から、移動だけして終わりかな。

 いや、その前にギルドに寄ろうかな。

 先程マイさんから依頼の報酬を貰ったのでもう少しアイテムを補充してもいいだろう。

 イベントもある事だからね。

 でもその前に、まずはイナバ達を召喚しないとね。

 イナバを幸運の兎、ルビーをウルフ、ログレスをパペットで召喚する。

 

 

 

 ギルドでアイテムの補充を済ませた。

 これでイベント開始までは補充しなくてもいいだろう。

 さあ、北に向かおうか……おっと。

 

 目の前をこちらに向けて歩いていた女性が、バランスを崩して尻餅をついた。

 

「大丈夫ですか?」

 

 女性へ向かって手を指す出す。

 

「これはどうも」

 

 女性が僕の手を握ったので、そのまま引っ張り起こす。

 長い緑髪に青い目、そして身長は僕よりも高い。

 

 そして立ち上がった女性はこちらへと一礼した。

 

「見知らぬ少年さん、ありがとうございます」

 

「いえいえ、始めたばかりは慣れないものですよ」

 

「お恥ずかしい。ところで、リンと言う方をご存じありませんか?」

 

「申し訳ありませんが、知らないですね」

 

「ああ、違いましたね。リンカと言うプレイヤーをご存じありませんか?」

 

「御用ですか? 余り時間はありませんが、探すのを手伝いましょうか?」

 

「いえいえ、急ぎではありませんので。それでは失礼致しますね」

 

 女性のプレイヤー名を確認し、すぐにリンカさんへとフレンドチャットを行う。

 プレイヤー名はパラス・アリサ。

 

『君からとは珍しいね。どうしたんだい』

 

『先程、ギルドの近くでパラス・アリサという方がリンカさんを探していたよ。心当たりは無い?』

 

『知らないな』

 

『どうする? リンカさんに引き合わせた方が良い?』

 

『君はどう思う?』

 

『合っておくべきかな。少なくとも向こうは知っているのだろうから』

 

『それでは頼む。30分程で到着できる』

 

『分かった。それではね』

 

 フレンドチャットを終え、すぐに先程のアリサさんを追う。

 まだ見える位置だからこそ、リンカさんに会うかどうか聞いたのだ。

 

 

 

「アリサさん」

 

「先程の少年ですね。どうされました?」

 

「知り合いにリンカさんを知っている人がいました。今から呼んでもらう事も可能ですがどうされます?」

 

「それは嬉しいですね。よろしくお願い致します」

 

「一応、リンカさんの特徴をお聞きしてもいいでしょうか? 別人かもしれないので」

 

「このゲームは同名禁止ですよ?」

 

「そうでしたか。それでは合っていますね。先程の広場の近くにベンチがありますので、そこでお待ちいただけますか?」

 

「分かりました。ありがとうございます」

 

 知らなかったよ。

 

 

 

 アリサさんとベンチで待っていると、リンカさんがやって来た。

 

「待たせたね。そちらがアリサさんかな?」

 

「……始めまして、リンカさん。今日はお会いできて嬉しいです」

 

「始めまして、リンカです。もしかして、どこかでお会いしましたか?」

 

「ええ」

 

「私はそれ程、有名ではないと思うのだがね」

 

 このゲーム内では結構有名だよね。

 

「動画、見せてもらいましたよ?」

 

「あの時のか……。未熟で恥ずかしい限りだ」

 

「そうですね。あの動きではこの少年に負けるでしょう」

 

 挑発かな?

 町中で戦闘は不味いよ?

 

「これは手厳しいな」

 

 その瞬間、アリサさんのランスがリンカさんの体があった位置に存在していた。

 見えなかったよ。

 そしてそれを避けるリンカさんも相当だよ。

 

「リン、やはり貴方は変わっていないようだ。明後日、楽しみにしていますね」

 

「ま、待て。貴方は何者なんだ?」

 

「今の貴方が知る必要はありません。明後日、私に会うことが出来たら少しは教えましょう」

 

 イベント、かな?

 まあ専用イベントだろうから介入はしないでおこう。

 

「リンカさん、大丈夫?」

 

「……問題無いよ。ありがとう」

 

「不意打ちだから気にしない方が良いよ?」

 

「済まないが」

 

「誰にも言いわない。外からは見えていなかったようだから僕達しか知らないよ」

 

「そうか。それは助かるよ」

 

「今日はログアウトしよう。丁度僕もログアウトするから」

 

「そうだね。そうしようか」

 

 目の前でリンカさんがログアウトしたのを確認し、僕もログアウトする。

背中にミサイルは装備していません。

眠り状態にするほうしの子とも関係ありません。

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