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―――149―――

少し宣伝を。

"ハチから始まるVRMMO?" の投稿を開始しました。

現在10話程投稿済みで、1章終わりまでを数日で投稿予定です。

興味が湧きましたらご覧頂ければ嬉しいです。


そして明後日からはまたこちらメインへと戻ります。

あちらを作成中、こちらの更新が遅くなってしまい申し訳ありませんでした。

「さあ、次はローブだ。確認してほしい」

 

 そう言い、マイさんはマジックポーチから黒色の防具を取り出した。

 それを手に取り広げてみると、一切装飾の無い真っ黒のフード付きローブであった。

 とりあえず鑑定をしてみよう。

 

 <防具:布>黒のローブ

 ◇ランク3

 ◇耐久値100 ◇回復回数5/5 ◇基本防御力4:6

 ◇特殊効果:擬態、自動修復

 複数の繊維を使用し、作成された布防具。

 

 流石、注文通りの性能だ。

 その上で自動修復まで追加されている。

 防御力も先程の防具に比べると低いように思えるが、今装備しているローブと比較すると高くなっている。

 まあ、防御力は低くてもいいのだけどね。

 どうせ攻撃された時点で失敗なのだから。

 

「どうかな?」

 

「注文通りの性能だね」

 

「それは良かった。ちなみに色については先ほどの理由と同じだよ。あちらが白だから、こちらを黒にしてみた」

 

「着てみた方がいいかな?」

 

「お願いするよ」

 

 ローブの場合装備は簡単だ。

 そのまま着るだけでいい。

 

 白の浴衣の上にそのままローブを着て、先程と同じく確認を行う。

 着心地は問題無い。

 動きやすさに関しては、流石にローブを着る前よりは動き難くなっているが許容範囲内だ。

 

「うん、問題無いかな」

 

「……もしかして、少し動き難いかな? 技量不足でゴメンね」

 

「問題無いよ。流石に重ね着をして動き難くならないとは思っていない。それがこの程度で済んでいるので良いと思うよ。それにこれは常に装備する訳では無いからね」

 

 隠れる時、強襲する時の使用しか考えていないので問題は無い。

 それに常にローブを装備していた理由は、それ以外に防具が無かったからだ。

 今はこんなに良い防具があるのだから常に装備しようとは思わない。

 

「そう? それでも、少し悔しいな」

 

「それは次が楽しみだ」

 

「ハードルが上がっていく~」

 

 そんな事を言いながら楽しそうに笑うマイさん。

 どうせ僕が言わなくても自分でハードルを上げるだろうに。

 

 

 

「さて、こんな良い物の後だから見劣りするだろうけど、依頼の素材を渡したいと思う」

 

「おお、待ってたよ~。どこで引き渡しを行うかな? 指定が無ければレンちゃんに会いに行くついでに鍛冶屋の一部を借りたいと思うのだけど」

 

「お任せで」

 

「分かったよ。それじゃあ移動しようか。ユリちゃん、ちょっと出てくるね~」

 

 残っていたココアを飲みほし、席を立つ。

 そして会計を済ませて、マイさんの後を付いていく。

 

 

 

「残念、レンちゃんは作業中か。まあ仕方ないね。親方、レンちゃんの場所を借りるね」

 

 流石親方の弟子。

 このお店に専用の場所があるのか。

 

「またお前か。それは本人に言え」

 

「大丈夫、許可は貰ってあるから」

 

「それならばいい。許可は出しておいた」

 

 入るのに許可がいるのか。

 それは便利だ。

 

「親方、ありがとう~」

 

「今日は何に使うんだ?」

 

「秘密の相談だよ~」

 

「秘密の相談、な。前回もそう言っていたが、仲間内で菓子を食べながら普段通り喋ってただけだよな? レンに聞いたぞ」

 

「今回は本当に秘密の相談だよ~」

 

「まあどう使おうが構わんがな。今日はそこの……なんだ、ユウじゃないか。装備を新調したのか?」

 

「お久しぶりです、親方。先程変更しましたよ」

 

「中々だな。マイの作品か?」

 

「私のだよ~!」

 

「そうか。相変わらずいい腕をしているな」

 

「もう、照れるな~。ユウ、早く行こうよ」

 

「分かった。それでは親方、失礼します」

 

「おう、またな」

 

 

 

 一旦店の外に出て、イナバ達を送還しておいた。

 流石に奥へ連れて入るのはよくないだろうからね。

 

 再度見制に入り、店の奥のドアを開けるとその先は暗闇だった。

 ここに入るのだろうか?

 

「そうか、ユウは初めてだったね。その先は親方が個別に指定している場所に繋がっているんだ。私の場合はレンちゃんの部屋。そして今回は君もそう」

 

 そうか、これで疑問が解決した。

 外からこの店を見た時、どう考えても工房のスペースは無かった。

 多分、別の場所に工房があり、そこに繋がっているのだろう。

 

「そうだったんだ。知らなかったよ」

 

「そうだね。今のところ、生産系でどこかの店に弟子入りしないと知る機会は無いからね」

 

「マイさんは弟子入りしているの?」

 

「今はしてないかな。一度弟子入りしたのだけど、卒業しちゃった」

 

「凄いね?」

 

「凄くないんだな~これが。理由は奥へ行ってから話すよ」

 

「分かった」

 

 扉の先の暗闇へと一歩踏み出す。

 そしてさらに歩を進める。

 

 視界が闇に染まる。

 しかし、次の瞬間には目の前に通路が広がっていた。

 

 小さな玄関に板張りの廊下。

 廊下には複数のドアが見える。

 

「まずは手前の部屋だよ。あ、レンちゃんにユウが部屋に来るのを言ってなかった。まあいっか」

 

「待って、それは良くない。今聞いてね?」

 

「大丈夫だよ!」

 

「聞いてね?」

 

「……分かった。ユウは律儀だな~」

 

 ……この辺は姉さんと同じタイプな気がするよ。

 絶対、事前に確認を取っているはずだ。

 多分今日来る事だけを言っていないだけ。

 僕が部屋に上がる事自体は許可を得ているはず。

 

 

 

「許可をもらったよ。さあ行こうか」

 

「確認しただけだよね? まあいいけど」

 

「さあ、行こうか!」

 

 靴を脱いで玄関から上がり、廊下を進んで一番奥の部屋へと入る。

 その部屋は少し広く、床は畳で真ん中にちゃぶ台がある。

 そして奥にある窓からは一面の銀世界が見える。

 しかし不思議と部屋は寒くない。

 適温である。

 

「そこの景色は偽物だよ」

 

「そうなんだ。でも、良い景色だね」

 

「確かに良い景色だよね。来るたびに変わっているから楽しみだったりするよ」

 

 来るたびに変わっているのか。

 他の季節になったりするのだろうか?

 まあ、今回の目的はそれでは無い。

 

「まあ座るといいよ」

 

 部屋の隅にあった座布団を並べつつ、マイさんがそう言う。

 そしてマジックポーチからお菓子を取り出し、ちゃぶ台へと置いた。

 

「ありがとう。僕はお菓子を持っていないんだ。ゴメンね」

 

「いいよいいよ。私も普段は持ってない。ここに集まる時だけ、ユリちゃんに作ってもらうんだ」

 

「そうなんだ」

 

「さて、まずは先ほどの理由から話そうか。あそこでは言い難かったのだけど、弟子入り先の人全員が親方の様に高度な技術を持っている訳では無いんだ。確かにある程度の技術はあるんだけど、何というか基本を教える為だけに弟子を取っている。そんな感じだよ」

 

「一部だけ技術が高いのか。そうなると、この町で技術が高くない人が担当する分野は、次の町で技術が高い人がいるのかな?」

 

「そうかもね。それでも、スタートの差は大きいよね?」

 

「まあ、何かその差を埋める内容があるのだろうね」

 

 それか、一部だけ技術が高い理由があるか。

 いや、技術が高くない人を配置しなければならない理由があったのかな。

 まあそこは今僕が考える事では無いかな。

 今はそれよりも、依頼された素材を渡そう。

 

 

 

「それでは依頼された素材を渡すね」

 

「うん、お願い。あ、特大触手を出す時に部屋の広さが足りないか。一旦別の部屋に移動しよう」

 

「分かった」

 

 立ち上がり移動するマイさんの後を追う。

 そして玄関に一番近い部屋へと移動した。

 その部屋はかなり広く、床は灰色の硬い物質で出来ている。

 しかし、何もない。

 

「この部屋は倉庫らしいよ」

 

「倉庫まであるんだね。この広さならば特大触手も取り出せるよ」

 

「それは良かった。そうだ、出す時はこの手袋を使うといい。少しだけど麻痺耐性があるからね」

 

 マイさんがマジックポーチから取り出したのは白い手袋。

 麻痺耐性があるとは何て便利!

 大触手をマジックポーチに収納するときは麻痺したことは無いけど、特大触手は麻痺するんだよね。

 さらに今は防具にも麻痺耐性が付いている。

 これで何とか麻痺しなければいいな。

 

「ありがたく使わせてもらうよ」

 

 

 

 まず、マジックポーチから大触手を取り出す。

 

「床に置けばいいかな?」

 

「あ、待ってね。シートを広げるよ」

 

 そう言い、マイさんはマジックポーチから青いビニール製品のようなシートを取り出し床へと広げた。

 それはかなり大きなもので、特大触手もギリギリではあると思うが入るだろうと思う。

 

 広げられたシートの上に大触手を丸めて置く。

 うん、1個ずつの受け渡しになりそうだ。

 

「うんうん、依頼したのはこれだよ。私も本物は1回しか見たことが無かったんだ」

 

「合っていたようで良かったよ」

 

 

 

 大触手10本を1個ずつ受け渡し、次に特大触手の受け渡しに移る。

 マジックポーチから特大触手を少しずつ床へ置きながら取り出す。

 流石にこの大きさだと水中以外では持てないからね。

 

 ……残念、麻痺したよ!

 

「だ、大丈夫かい!?」

 

 

 

 麻痺しつつ、ようやく1個取り出しました。

 

「私はこの後これをしまうのか。いや、それよりも加工できるだろうか」

 

「頑張ってね!」

 

「まあ頑張るのは私ではないけどね。それにしても、その防具と手袋を併用しても麻痺するなんて魅力的な素材だね」

 

「そうだね。戦闘時は触っただけで麻痺したりもしたからね」

 

「それだと武器がいいかもしれないね。まあ、そこはあの子に任せよう」

 

 

 

 2人とも麻痺しつつ、何とか受け渡しが終わった。

 それにしても素材で麻痺するゲームも珍しい気がするよ。

 まあ、それはそれでいいと思うけどね。

 

「これで終わりかな。いや~、疲れたね」

 

「少し休憩する?」

 

「そうだね。さっきの部屋に行こ……まだあるのかな?」

 

「目玉商品は最後に出てくるものだからね」

 

 まあ特に意味は無いけどね。

 僕の場合、気分によって最初に出したりもするから。

 

「……いや、それでも一旦休憩しよう。休憩して疲れを取った後、じっくりと見たい」

 

「そうだね、それがいいよ」

 

 うん、ちゃんと休憩をしてもらおうかな。

次の投稿は明後日になります。

そして明々後日からは元通りの更新に戻る予定です。

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