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今日は時間の都合上、糸集めは無し。
なのでまずは昨日できなかったアイテムの鑑定をしておこう。
ログの確認もできなかったのだけど、こちらは町で行ったも問題無いからね。
だが、その前に召喚を行おう。
確認後はすぐ移動なので、移動用の召喚を行おうか。
移動中は未成長カードで経験を積んでもらうつもりなので、イナバは幸運の白兎、ルビーはウルフ、ログレスはゴーレムで召喚する。
さあ、膜から確認しようか。
<アイテム:素材>フユウクラゲの薄膜
素材ランク2
フユウクラゲから取得した薄膜。
フユウクラゲの体を構成する膜の一部。
薄いが耐久性は高い。
やはり耐久性が高いのか。
もしかして、防具に使えるだろうか?
……いや、浮きクラゲの膜よりも薄いのであそこまでの耐久性は望めないか。
まあそこは職人さんに任せましょう。
次だ。
<アイテム:素材>浮遊核
素材ランク*
フユウクラゲから入手した魔力核。
浮遊の力を秘めている。
素材ランクが見えないのは鑑定のスキルレベルが低いからかな。
まあ、それはいいとして魔力核か。
新しいタイプのアイテムだね。
それに、浮遊の力。
もしかしたら、加工次第では浮遊できるようになるのだろうか?
パーティの中で空を飛べないのは僕だけだから、とても魅力的に見えるよ!
うん、素材を渡したらもう数個取得を目指そう。
運が良かっただけの可能性もあるけど、まあその時はその時だ。
まあ今は町へと移動しようか。
久しぶりの町……だったかな?
まずログレスをパペットで再召喚しておこう。
町でゴーレムでは少し邪魔になるからね。
さて、約束の時間までにはまだ余裕があるのでログの確認を行おう。
<<識別のスキルレベルが上昇しました>>
<<魔法銃のスキルレベルが上昇しました>>
<<MP強化のスキルレベルが上昇しました>>
<<魔力強化のスキルレベルが上昇しました>>
<<器用さ強化のスキルレベルが上昇しました>>
<<知力強化のスキルレベルが上昇しました>>
<<従魔:ログレスのレベルが上昇しました>>
<<従魔:ルビーのレベルが上昇しました>>
うん、いつも通りの上がり方だ。
それにしても、僕だけレベルが置いて行かれている気がするよ。
従魔の方がレベル上がりやすいのだろうか?
まあいいか。
それよりもステータスを確認しておこう。
ルビーは器用さと魔力、ログレスは魔力と知力か。
うん、いつも通りかな。
さて、ログの確認も終わって時間は余っているので素材の売却とアイテムの補充をしておこう。
補充するのは携帯食料と水、HP回復ポーションを少しでいいかな。
ついでなので依頼の報告もしておいた。
やはりレア種、結構な金額になる。
そして次はどうしようか。
受けておくべきか、止めておくべきか。
……フユウクラゲの討伐だけ受けておこう。
倒しに行くことは既に決まっているからね。
1日あれば最低条件は満たせるので問題無い。
ギルドから出ていつものカフェへと向かう。
約束の時間までまだ少しあるが、ココアを飲んで待っていればいい。
あそこのココアは美味しいからね!
カフェへ到着し、中へと入る。
すると既にマイさんが座っていた。
まだ30分以上あるのだけどな。
「こんにちは、マイさん」
「こんにちは、ユウ」
やはり表情にも疲れが見える。
まあ今日までと言っていたので大丈夫だとは思うけど。
椅子に座ってすぐにユリさんが来たのでココアを注文しておいた。
そして今、目の前にココアが運ばれてきた。
それを1口飲む。
やはり、美味しい。
「まずは私の要件からね。防具が完成したわ」
「お疲れ様。でも無茶はしないでほしかったな」
「イベントまでに間に合わせたかったからね」
「それはありがたいけどね」
「分かってるよ。今回は少し予想外の出来事があってね。まあ、それはいいんだ。それよりも防具を見てほしい」
そう言い、マイさんはマジックポーチから2セットの防具を取り出した。
片方は白と赤。
片方は白。
……姉さん。
まあ、この件は後で聞こう。
「さあ、手にとって見てほしいな」
そう言われ、白と赤の方から手に取ってみる。
うん、分かってた。
巫女服だね。
とりあえず鑑定もしておこう。
<防具:布>巫女服
◇ランク3
◇耐久値200 ◇回復回数5/5 ◇基本防御力10:20
◇特殊効果:麻痺耐性、HP回復、HP回復強化、自動修復
複数の繊維を使用し、作成された布防具。
麻痺耐性、HP回復、HP回復強化は分かる。
自動修復はどこから来たのだろうか?
……分からない。
まあマイさんの技術なのだろう。
次に白の方。
こちらは男性用の浴衣かな。
帯まで白とは珍しいな。
<防具:布>白の浴衣
◇ランク3
◇耐久値200 ◇回復回数5/5 ◇基本防御力10:20
◇特殊効果:麻痺耐性、HP回復、HP回復強化、自動修復
複数の繊維を使用し、作成された布防具。
効果は同じなのか。
そして装備した際の動きやすさもあまり差は無いだろう。
「まあ見ての通り、巫女服と浴衣だよ。そして既に見たと思うけど、性能は同じ」
「うん、性能は確認した」
「2着とも君の装備なのだけど、君はどちらを着たい?」
「普段は白の浴衣を。一定条件で巫女服を着ると思う」
「それは白の浴衣を気に入ってくれたと言う事かな?」
「うん、気に入ったよ」
「それは嬉しいな」
その表情は嬉しそうな笑顔。
以前のようなよくできた作り笑いでは無い、自然な笑顔。
うん、たまには口を滑らせるのも悪くないかな。
「ところで、どうして白にしたの? 巫女服を見る限り、染められるのだよね?」
「君には白か黒以外着せたくなかったんだ。目立ってしまうとは思うけど、どうしてもそこは譲れなかった」
「別に不満は無いよ。それに僕はマイさんに全てを任せたんだ。良い防具をありがとう」
「ふふっ。どういたしまして」
「そうだ、巫女服に関しては依頼者に僕からお礼を言っておくよ。多分素材と依頼料は出してくれたのだろうから」
「……聞いてた?」
「聞いてないよ。まあ、いいんだ」
「ゴメンね。正直なところ、作る時に気が引けたよ」
「それでも完成させて持ってくるあたりどうなのかな?」
「似合う。完成させる理由はそれだけで十分だった」
「まあ、あの人の無理を聞いてくれてありがとう。でも、次回からは無茶をするくらいなら断ってほしいな」
「次回もあるの?」
「ある」
これは確信できる。
「まあ、似合うようなら作ると思うよ」
「まあ止めはしないよ。止めても無駄なのは分かってるからね」
「……ところで、着て見てほしいな。一応サイズは合っていると思うけど、確認はしておきたい」
流石職人。
妥協は無い。
「分かった」
えっと、方法はどうだったかな……。
ヘルプさんに聞こう。
ヘルプを見ながら設定を完了すると、触っていた目の前の巫女服が消え、代わりに今まで着ていた服が出現した。
そして自分の体を見てみると巫女服を着ていた。
少し動いて着心地や動きやすさを確認してみたが、問題無い。
それどころか以前よりも動きやすい。
見た目では以前の服の方が動きやすそうに見えるので、とても不思議である。
まあ、マイさんの腕がいいのだろう。
「うん、僕としては問題無いかな」
「サイズも問題無いみたいだし、こちらは大丈夫だね。次もお願い」
僕を観察していたマイさんの表情は真剣そのもの。
やはり、妥協は無いようだ。
次に白の浴衣を着て、同じく確認を行ったが問題は無い。
「こちらも問題無いよ」
「うん、大丈夫だね。こっちを普段着にするのかな?」
「そうなるね」
「あっちも似合っていたよ?」
「あっちを着てほしいの?」
「……君は意地悪だね」
「僕はこちらの方が気に入ったんだ。素敵な防具をありがとう」
「そう言ってもらえると嬉しいよ」