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147/202

―――147―――

 少し、少しだけ核が移動しているように見える。

 だが、一気に引き抜くことはできない。

 そして浮きクラゲもこのままではいないだろう。

 

 突然、ログレスが触手を浮きクラゲの口の前から少し離れた位置へ移動させた。

 どうやら収束大砲を使用するようだが、ログレスは何故分かったのだろうか?

 いや、もしかしてイナバかルビーかな?

 まあ今は置いておこう。

 

 ログレスの触手が大きく後ろへと吹き飛ぶ。

 HPバーが3割程減少しているのですぐに従魔手当てを行う。

 さらにHP回復ポーションを振り掛け、すぐに吹き飛ばされた触手を確認する。

 どうやら無事なようだ。

 念の為守りに残してもらった触手だったのだけど、活躍したようで良かったよ。

 

 さて、すぐに第2射がくるだろう。

 何せ持続的に核を攻撃しているようなものだ。

 それならば、次の作戦へ移行しよう。

 ログレスが受けるダメージ次第ではここで諦めていたが、3割ならば大丈夫。

 

「ログレス、全力でお願い」

 

 ログレスは残った1本の触手を浮きクラゲの口へと向かわせた。

 そして内部へ侵入して核を包みこんだ。

 

 作戦は簡単。

 全力で引っ張ろう。

 さらに相手が収束大砲を撃ってくるのならば、その反動も利用させてもらう。

 さあ、どうなる?

 

 

 

 核はゆっくりとだが着実に先程よりも速く口へ、いや、外へと向かっている。

 今度はその動きをしっかりと確認できる。

 

 そして何故か収束大砲を撃ってこない。

 いや、それどころか触手すら動かしていない。

 ……麻痺かな。

 自分が麻痺を使用し、さらにこれまでの戦闘で麻痺しなかったので麻痺に強い耐性があると思っていたのだが、今回はたまたま麻痺したのだろうか?

 いや、核だけに麻痺が効きやすい可能性もあるか。

 まあそれはいずれ分かるだろう。

 

 

 

 核の端が浮きクラゲの口から外へと出てきた。

 あと少し。

 だが、そこまで甘くは無い。

 浮きクラゲの触手が動き始めた。

 チャージは出来ている。

 さあ、妨害を開始しようか。

 

 

 

 あと少しで口から核全体が出てくる。

 収束大砲を何故か撃ってこない。

 もしかして、あの位置だと核に影響が出るのだろうか?

 まあ撃ってこないのならそれはそれでいい。

 反動を利用しなくても核を出せそうだからね。

 さあ、あともう少しだ。

 皆、お願いね。

 

 

 

 核全体が口の外に出た瞬間、口から液体が放出された。

 そして空になった体はログレスの触手に乗ったままだ。

 

 これは予想済みだ。

 ここで不味いのは核に覆いかぶさるように落ちてくる体の中へと核が戻ってしまう事。

 だが、引き出す時に触手で口を押していたのでその心配は無い。

 

 さて、確認していこう。

 まず、ログレスの触手に握られた核。

 そのHPバーは6割程残っている。

 

 次にログレスの触手に乗っている体。

 倒したときの様に中身が抜けたようになっており、HPバーは存在していない。

 こちらは剥ぎ取れる可能性が有る。

 だが、問題はそのタイミング。

 今剥ぎ取るか、倒してから1番最初に剥ぎ取るか、倒してから核の後に剥ぎ取るか。

 そして体自体も特大触手から剥ぎ取るかなど、色々とある。

 だが、今回狙っているのは特大触手では無く体を構成する膜。

 さらに特大触手の条件は満たしていないのでそちらのドロップは諦めている。

 

 うん、決めた。

 

 

 

 ログレスが水面近くまで下ろしてくれた核へと剥ぎ取りナイフを突き刺す。

 だが、何も起こらない。

 HPバーもそのままだ。

 まあ、こちらは予想通り。

 

 次に同じように水面近くまで下ろしてもらった体へと剥ぎ取りナイフを突き刺す。

 すると体は消え、あとには半透明で白色の薄い膜が残った。

 その大きさは1辺が1メートル程の正方形。

 どうやら、当たりだったようだ。

 これは良いお土産ができた。

 

 さて、核を倒してしまおうか。

 

 

 

 ルビーの風切羽で一閃。

 その一撃で核のHPバーは空になった。

 そして倒した核に剥ぎ取りナイフを突き刺す。

 ……流石にこちらは無いか。

 まああと数回試せる時間はある。

 色々と試しておこう。

 

 

 

 休憩後、再度良さそうな浮きクラゲを探してもらったところ、すぐに見つけてくれた。

 流石イナバである。

 

 

 

 浮きクラゲの射程内まで移動し、戦闘を開始しようとしたところで少し驚いたよ!

 この浮きクラゲ、レベル20である。

 まあイナバが探し当ててくれた相手だ、多分問題無いだろう。

 それに20と言っても普通に戦えば負けは無いと思う。

 

 まず、ログレスが押し負けないか確認したが、かなり押し勝っている。

 流石イナバ。

 それにしても、気配察知でどうやって見分けているのだろうね。

 まあそこはいいかな。

 イナバは相手の強さを見分けることができる、今はそれが分かればいい。

 

 さあ、今回は最初から4本の触手で核を出そう。

 

 

 

 核を取り出した。

 そのHPバーはまだ8割以上ある。

 そして収束大砲のダメージは先程と同じか少し低い程度。

 どうやら硬い個体であったようだ。

 

 うん、イナバはこちらの求めている事を確実に理解している。

 攻撃力が弱く硬い個体。

 それが一番良いと思っていた。

 それでも、僕はそれを口に出していない。

 なのでイナバがそこまで理解していたということだ。

 

 ……最初のころ、ルビーに指示を出した際に実行してくれなかったことがあった。

 あの時、僕は指示が複雑で分からなかったのかと思っていた。

 だが、今は違うと理解できる。

 あの時、ルビーはそれを実行する理由が分からなかったのだ。

 イナバとログレスであればそのまま実行したであろう。

 ルビーだからこそ、疑問を持ってくれた。

 これは嬉しいな。

 

 さて、もう少し考えておきたいところだけど核を破壊しよう。

 核から時間経過で体が復活する可能性もあるからね。

 

 

 

 ルビーの風切羽で一撃。

 それは硬い個体であっても同じだったみたいだ。

 そしてHPバーが空になると同時に、剥ぎ取っていなかった体は消滅した。

 これで剥ぎ取る順番は確定した。

 

 倒す前に体を剥ぎ取り、そして倒してから核を剥ぎ取る。

 次からはそれでいこう。

 

 さあ、核を剥ぎ取ろうかな。

 何が出るかな?

 

 ……何も出ない。

 次に期待しよう。

 

 

 

 数体倒したが、膜のドロップ率は50パーセント程。

 同条件で倒しているので条件では無くドロップ率の問題だろう。

 そして次が最後の一体になるだろう。

 もしかしたら核もドロップ率が問題でドロップしていない可能性もある。

 ドロップしないかな?

 

 

 

 核を取り出して膜を剥ぎ取りました。

 さて、最後なので違う倒し方をしてみよう。

 できるだけ傷つけず、倒してみようと思う。

 その方法は触手で優しく包み込み絞めつけていくだけ。

 さらに今回、核を取り出す際にログレスだけに行ってもらった。

 イナバは周囲の警戒をしてもらっていたので強い衝撃は与えていない。

 時間は掛かるだろうが、核を外に出した状態でできるだけ強い衝撃を与えずに倒したのならばどうだろうかと気になったしまったので仕方ない。

 まあ残り時間が危なくなればルビーに倒してもらうので問題無い。

 さあ、どうなるだろうか?

 

 

 

 30分程掛けて倒しました。

 防御力の低い核に30分。

 時間の無駄かもしれないが、気になったのだ。

 そしてHPバーが空になった核だが、先程までの核と変わりは無いように見える。

 だが、まだわからない。

 例え今までと同じであったとしても、確率でドロップする可能性は残されているので、少し期待はしている。

 

 核へと剥ぎ取りナイフを突き刺す。

 そして核が消え、あとには半透明で白い宝石が残っていた。

 そしてその丸い宝石は、宙に浮いている。

 青空を背景に見るその宝石は、まるで空に浮かぶ雲のように感じられた。

 フユウクラゲの色、その意味はこれだったりするのだろうか?

 まあ、僕にはわからない事だ。

 それよりも今は新アイテムの取得を喜ぼうかな!

 

 

 

 北の神殿に戻って来たのだけど、残り時間が不味いです。

 ログとアイテムの鑑定は明日ログインしてから行うことにして今日はログアウトだ!

 急ごう!

20150103:修正

・フユウクラゲの倒し方で一部間違っていた部分を修正しました。

"できるだけ膜を傷つけず、倒してみようと思う。"

"できるだけ傷つけず、倒してみようと思う。"

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