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―――136―――

「お待ち頂きありがとうございました」

 

 口が滑った。

 でも出した言葉は戻らないから、最後まで続けるしかない。

 

「マイちゃん、大丈夫ですか!?」

 

「うん、大丈夫だよ。心配かけてごめんね?」

 

「いえ、いいのですが……いきなり叫ばれた時は驚きましたよ」

 

「叫んでた?」

 

「叫んでました」

 

「他にお客がいなくて良かったよ……」

 

 叫ばせてゴメンね?

 

「最低2人は聞いてますからね?」

 

「恥かしいよ~!」

 

 

 

 おや、パーティ申請?

 ユリさんか。

 要件はおそらくあれだろうな。

 

 

 

『マイさんを放っておいていいのですか?』

 

『1人になりたい時もあります』

 

『同じ空間にいるのですが?』

 

『茶化さないでください。少しお聞きしてもいいでしょうか?』

 

『大丈夫ですよ』

 

『マイちゃんに、何を言ったのですか?』

 

『聞いておられましたよね?』

 

『叫んだあたりから。その前です』

 

『その前はあまり意味は無いですよ?』

 

『叫んだ後からの会話の意味が分かりませんでした。だからこそ、叫ぶ前に意味があったと思ったのですが……』

 

『分からない方が良いと思いますよ?』

 

『普段慌てすらしないマイちゃんが叫び、泣いたところを始めてみました。友達として心配にならない方がおかしいですよね?』

 

『ご尤もです。ですが、マイさん本人が話すまで待ちませんか?』

 

『今日会ったばかりの貴方を信じろと?』

 

『初めて会ったのは先日ですよね? まあそれはいいですが、信じる対象を間違えていますよ?』

 

『対象?』

 

『あの笑顔、信じられませんか?』

 

『……信じましょう』

 

『まあ私が貴方なら信じませんけどね』

 

『理由をお聞きしても?』

 

『貴方は彼女の何を知っているのですか?』

 

『何って、友達としてかなり長く付き合ってきたつもりです。少なくとも貴方よりは知っていると思いますが?』

 

『叫ばせ、泣かせ、心から笑わせることの出来た私よりもですか?』

 

『……』

 

『疑ってください。私も、マイさんも。そしてマイさんを知ってください』

 

『……分かりました』

 

『ところでココアのおかわりをお願いします』

 

『肉声で頼んでくれませんか? パーティチャットで話している意味が無くなってしまいます』

 

『動きを止めるなら椅子に座るべきでしたね』

 

「何話してるのかな、ユウ、ユリちゃん?」

 

「ココアのおかわりをお願いしていました」

 

 嘘は言っていない。

 

「気に入ってもらえたようで何よりです。これからもご贔屓に」

 

 

 

「それじゃあね、ユウ」

 

「またね、マイさん」

 

 さて、この調子だと今日はあまりクラゲを倒せないな。

 口を滑らせた結果がこれだよ!

 まあいいのだけどね。

 さて、次はギルドへ向かおうかな。

 

 

 

 あ……エイの毒針やクラゲの触手が何に使用できるか聞きそびれてしまったよ。

 まあこちらはついでだったので別にいいかな。

 

 

 

 魔法職ギルドです。

 まず一番聞きたいことを聞いておこう。

 依頼報告と依頼の確認はそのあとでいい。

 

 

 

「すいません、ユウと申します。質問があって来たのですがよろしいでしょうか?」

 

 いつもの受付さんでした。

 

「大丈夫ですよ。どのような質問でしょうか?」

 

「以前こちらで講義を受けた際に、魔物カードが経験を積んだ場合に進化を行うとお聞きしたのですが、私の従魔は成長をしました。この2つは違うものでしょうか?」

 

「まず、申し訳ありませんでした。私が担当した際に昔のものと間違えてお伝えしてしまったようです。そして回答ですが、成長と進化は別のものです。昔成長しか確認されていなかった時に進化と呼んでいたのですが、後に成長以外のより進化と称するに相応しいものを確認しましたので、その際に進化から現在の成長へと名称を変更しました」

 

 成長と進化は別物か。

 よりふさわしいと言うことは、種族自体が変わったりするのだろうか?

 まあその時が来れば分かるので楽しみにしておこう。

 

「その情報は他人に教えても良いものでしょうか?」

 

「問題ありません。元はと言えばこちらのミス。それに図書館でこの情報を閲覧できる方もおられましょう」

 

「本来ならば次の段階で教えて頂けた内容なのですか?」

 

「その通りです」

 

「それなら良かったです。早く次の段階に移れるように頑張りますね」

 

「それに関しては問題ありません。ユウさんは既に次の段階へと進む条件を満たすことが可能です」

 

 満たすことが可能?

 何か依頼を達成することが条件で、その依頼を受けられるということかな?

 

「その条件とは?」

 

「成長した魔物カードを召喚して確認させていただきます。他にも条件はありますが、ユウさんは満たしておられるので問題ありません」

 

 違いました。

 結構緩い条件だけど、もしかして試すためかな?

 

「そうでしたか。それではお願いします。成長した従魔が外にいるので連れてきても大丈夫ですか?」

 

「ありがとうございます。場所を移動しますのでそちらにお願い致します」

 

「分かりました」

 

 

 

 3人を呼びに行き、そのあと受付さんとともに訓練場へと移動した。

 まあここですよね。

 

「アクセラレーションホーク・ウィンドですか。良い育て方をされたのですね」

 

 ルビーをアクセラレーションホーク・ウィンドで再召喚しました。

 そして褒められた!

 嬉しいです。

 

「ありがとうございます。ホークの場合は他に何に成長するかお聞きしてもいいでしょうか?」

 

「通常種ならばお伝えできます。バトルホーク、アクセラレーションホークになります。ユウさんの場合、アクセラレーションホークの条件を満たし、さらに何かの条件を満たしてウィンドに成長したのだと考えられます」

 

 加速の有る無しでバトルホークとアクセラレーションホークに分岐して、さらに条件を満たせばウィンド等に分岐するのかな?

 まあ、通常種を超えていると思うので聞きはしないけど。

 

「それでは、成長種族を確認しましたのでユウさんの従魔ギルドランクは2へ上昇します。おめでとうございます」

 

「ありがとうございます」

 

「ギルドカードを更新する必要がありますのでお帰り前に受付へ寄ってくださいね」

 

「分かりました」

 

「それでは、ランク2の講義を行えますがどうされますか? 勿論後日でも可能です」

 

「今お願いします」

 

「承りました。それでは開始させていただきますね」

次は多分日曜日です。

申し訳ありません。

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