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135/202

―――135―――

「そう言えば昨日東の魔物と戦ってきたのですけど、何か必要な素材は有りますか?」

 

「そうだね~……私は無いわね」


「クラゲの触手とか繊維になりません?」


「う~ん……多分ならないと思うわよ? 糸と見立てるには太すぎるし、そもそも皮革加工の領分だからね」


「皮革? 触手って皮革なのですか?」


「皮革って名前だけど実際は魔物系素材全般なのよ。あれはスキル名を変えるべきね」


「確かにその通りですね」


「ところで、東に行ったのなら空飛ぶエイや浮かぶクラゲは見てきたのかな?」


「倒してきましたね。エイは良かったですが、クラゲは中々強敵でした」


「そっか。何人パーティ? 私も4人パーティで空飛ぶクラゲ見に行ったんだけど全滅しちゃってさ」


「僕と従魔3人で4人パーティですよ。誰かの必要な素材集めですか?」


「流石だね。一応フユウクラゲは遠距離6人パーティ推奨なんだけどね。いや、新しい魔物が浮かんでるって知ったから空を飛べる何かが取れないかと行ってみたんだ」


「そうでしたか。私の結果では核からは魔石、大きな触手と本体からはドロップアイテムが確認できていません」


「そうよね。掲示板でも魔石と大きな触手しか確認できていないみたいよ。まあ倒すのが犠牲覚悟か長時間のどちらかだから倒す人が少ないみたいだけどね」


「強いですからね。私も初戦闘は時間が掛かりましたよ」


「初の時は? そうなると今は早いのかな?」


「遅くは無いと思いますよ。攻撃開始から3分かかっていないと思いますので」


「早いね~。ログアウト前に挑戦?」


「1回目と2回目はそうでしたけど、3回目以降は普通に安定していますよ?」


「あの攻撃を避ける手段を確立したんだね。あれの事といい、流石というか何というか」


「方法、教えましょうか? 既に見つかっているか、近いうちに見つかる方法だと思うので」


「いいのかい?」


「今後の先行投資にもなりますからね?」


「私は言っていなかったつもりだけど?」


「貴方かどうかは分かりませんが、レンさんが皮を欲しがっていましたので。それにヒントは頂いてましたから」


「ふふ。そこは普通本人だと思うところだと思うよ?」


「それでも問題無いと思いますが?」


「それもそうだ。それではありがたく受け取っておくわね」


「メールで構いませんか?」


「構わないよ」




「これは少なくとも掲示板では公開されていない方法ね。そして、無茶をするね。普通口が繋がる先は消化器官だよ?」


「あそこ口だったのですね、知りませんでした。まあ、危険は覚悟していましたが。それでも安全に倒すには時間が掛かりすぎて、弱点を攻撃すればそれこそ死の恐怖がありますので」


「それもそうね。ただ、これを広めてもできる人は少ないかもしれないわね」


「そうですか? 結構簡単に満たせる条件だと思うのですけど」


「従魔魔法の取得者の多くは生産系がメインなのよ。そして普通は貴方の様に前方へは行かないわ。後方で支援か遠距離攻撃よ?」


「そうなのですか? ですが私も普段は遠距離系ですよ?」


「そうだったわね。そこで、従魔だけを突入させて倒すことは出来るかしら?」


「私の従魔ならば可能だと思います。私は1人で突入させるのが嫌だったので一緒に行きましたが、与えているダメージだけで見れば従魔の方が上ですので。多少倒すまでに掛かる時間は伸びますが可能です。ただしそれはフユウクラゲが未知の行動を取らないことが前提ですが」


「それで充分よ。未知の行動は仕方ないでしょう?」


「一応ですよ。あの状態に対抗できそうな行動を1つ思いついているのですが、実行されなかったので」


「メールに書いてあった予想される行動、よね?」


「それで合っています」


「それなら問題無いわね。さて、そうなるとどうしようかな?」


「そこはお任せしますね。すいません、ココアのおかわりお願いします」


「一緒に考えてくれてもいいのよ? 私も紅茶のおかわりをお願い」




「よし、ユウさん。貴方に依頼をしたいのだけど」


「フユウクラゲの素材集めですか?」


「そう、その通りよ。勿論魔石以外ね」


「確認されている素材ですか? それとも未知の素材も含めて、ですか?」


「できれば未知の素材もこちらに回してほしいけど、依頼としては確認している素材だけでいいわ」


「それなら構いませんよ。量と期間の指定は有りますか?」


「フユウクラゲの大触手を最低10個。最高20個でお願い。期間は任せるよ」


「お引き受けしますね」


「その前に報酬を聞いてほしいんだけどな?」


「先行投資の一部として無しでも構いませんよ?」


「ちょっと貴方のサカフィ事情が心配になって来たわ」


「自分でも理解しています。まあ初回だけなので問題無いとは思いますけど」


「それで報酬なんだけど、大触手についてはギルドに売却するよりも高値で買い取る、でどうかしら?」


「同額でいいですよ。ついでに集まるものなので」


「それは助かるわね。それで未知の素材をこちらに回してもらった場合は、装備が作成できた場合それを報酬にする、でどうかしら?」


「そちらが本命ですよね? 素材によるとしか」


「本命ね。まあ、そうよね」


「依頼書とか作ります?」


「貴方の時に作らなかったのに私には必要なのかな?」


「信用頂けるならばそれでいいですよ」


「大丈夫。まあ、依頼質があるからね?」


「依頼質ですか、初めて聞きましたね」


「今作ったのよ。ところで、丁寧語止めないかい?」


「必要とあれば」


「必要ね。正直仮面は取ってほしい」


「信頼してもらったようで何より。それじゃあ丁寧語は止めるね」


「うんうん、それが良い。信用している相手に仮面をつけて話したくないらかね」


「仮面の下に変装をしている人の言葉とは思えないけど?」


「化粧と言ってほしいな。女の子には必須だよ?」


「飾らない美しさ、あると思うけど?」


「守ってあげたくなる?」


「儚い美しさはどうかな?」


「まあ私も分かってるんだよね。温室で育てた植物を急に外へ持ち出したら危険なことくらい。それでもあの単色は綺麗なのよ」


「複色を経た単色はもっと綺麗だと思うけど? 勿論途中で絵具は垂らす必要はあるだろうけど」


「色が変わってしまうわね」


「信頼できない?」


「え?」


「信頼できないの?」


「な、何を?」


「いや、許容できないのかな?」


「貴方は何を?」


「目の前にその結果があると思っているからかな?」


「貴方に何が分かるのよ!」


「何も。ただ、僕は複色を経た単色が好きだから」


「混ざってしまった色はもう消せないの!」


「他の色で中和したかい? 好きな色で上書きしたかい?」


「何度も試した! それでも、それでもあの色は戻ってこないのよ! どうしても混ざってしまうのよ!」


「少し時間をください。そうだろうね。でも、所詮外部から足せる絵具なんて水性なんだ。そして源色はそもそも絵具では無い」


「知っているわよ! それでも、流れ落ちない……絵具だって……あるのよ?」


「そうだよね。だから単色で上書きをする」


「知っていて! なんで!」


「元の色が分からない。だから見つけた似た色で上書きをしようとしている。でもそれは似た色であって源色ではないから拒絶してしまう」


「……」


「そこで似た色を少しずつ変えていく。もしかしたら元の色になってくれるかもしれないと。そうすれば思い出すことができると」


「……」


「でも、少しの絵具ではあの輝く色は変わってくれない。そこで大量の絵具を投下した」


「……」


「その結果、色は変わらず輝きが増した。そしてその色を見て求める色には確実に変化しないと思い知らされた」


「……」


「暗闇は黒、輝きは白。そんなことはない、どちらも見えていないだけ。お勧めはしない」


「なんで、なんで扉を消すの……?」


「扉に窓は付いていない。窓は外を見るもの。扉は場所を隔て、繋ぐもの」


「……」


「部屋で絵具を混ぜてばかりでは無く、たまには外に出て家を見てみるのはどうかな? 窓から見えていた家の家主は君の隣に引っ越してきたんだ。挨拶をしてはどうかな?」


「……」


「他の隣人はどうかな? もしかして、家の中から挨拶したままではないかな?」


「……」


「最後に、木は長い年月をかけて成長するものだ。他の材料だったらゴメンね?」


「……ふふっ。それでは向かいに家を建てたあなたに、外に出て挨拶をするわね?」


「うん、これからよろしくね」


「うん! よろしくね!」

少し時間が足りていない為、感想返しを一時中断させていただきます。

申し訳ありません。


20141130:修正

一部、同じ人物のセリフが連続している部分を連続しないように修正しました。

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