―――13―――
門へと向かっている最中、あることが気になった。
それはラッキーラビットの肉を売却した時のことだ。
たしか品薄だから値段が上がるといったいたはず。
ならば逆に過多状態のアイテムは値段が下がるのでは?
そうなると、通常の魔物から取れた素材は全部売ってしまった方がいい。
どうせ今日も入手予定なのだから。
あと、どうせなら残りのレア魔石である、ラッキーラビットのモンスターカードも作成しておきたいな。
そう思い、すぐに魔法職ギルドへと引き返す。
予想通り素材の値段が少し下がっていたようだ。
なので予定通り、持っていた通常の魔物の素材を全て売り、100サカフィになった。
そして、このままでは空白のカードを購入することができないので、ラッキーラビットの肉を追加で売却したのだが、その際に少し気になりマジックポーチ内は時間停止状態なのか受付さんに聞いたところ、普通に時間が経過するそうです。
その答えを聞いた瞬間、持っている全てのラッキーラビットの肉の売却をお願いし、合計で6000サカフィを受け取った。
それにしても危なかった……。
お肉が腐ってしまっていたら売却はまず無理だっただろう。
早めに気づくことができてよかった。
予想外にお金ができたので、購入アイテムを少し追加することにした。
購入したのは、携帯食料10個、空白のカード3個、HP回復ポーション10個で4500サカフィだった。
さて、これで安心して依頼を達成しに行ける。
とりあえず、ギルドの外へ出てラッキーラビットの魔石を先ほど購入した空白のカードに充填しておく。
こちらも5個目を充填し終わったところでラビットの魔物カードが出来上がった。
これで準備は完了したので、改めて草原へと向かう。
「召喚」
南門をでて少ししたところでさっそくホークを召喚してみた。
やはり、普通のホークのようだ。
次にホークを送還し、ラビットを召喚する。
こちらもやはり普通のラビットのようだ。
だが、ウルフやホークの時よりも嬉しそうにしている気がする。
もしかして従魔の魂には、最初から好きな種族があったりするのだろうか?
直接聞いてみようか?
「もしかしてラビットが一番気に入った?」
そう聞いてみると、従魔は頭を擦り付けてきた。
どうやら気に入っているようだ。
それにしてもウルフとホークもだが、レアモンスターの魔石を使用してもレアモンスターにはならないのか……。
ならば普通の魔石を使用したほうがいいのではないだろうか?
まあ、もしかしたらまだ見えないだけで、特殊能力が追加で付与されているかもしれないけどね。
そういえば、カード状態ではなくて、召喚した状態でもステータスは見えるのだろうか?
そう思い、識別を使用してみる。
<従魔>??? Lv1
種族:ラビット
召喚主:ユウ
おお!見えた!
やはりステータスやスキルは見えないようだが、名前が???になっているのが気になるな。
もしかしたら僕が名前をつけていないからだろうか?
そうすると名前を付けないといけないが、この場合はラビットの名前になるのかそれとも従魔の魂の名前になるのかどちらなのだろう?
いや、実際の意識や心に当たる部分はは従魔の魂なのだろう。
だったら従魔の魂の名前をつけるつもりで考えよう。
そして、何となく名前を決める前にラビットを撫でてみる。
ラビットはウルフを撫でたときと同じく、嬉しそうに見える。
「ちょっと待っててね。名前を考えるから」
数分後やっと名前が決まった。
本当は数日間考え込みたいのだが、名前を付けずに戦ってもらうというのも嫌だ。
まあ、気に入った名前が思い浮かばなかったらまだ考え込むつもりでいたのだけどね。
「君の名前はイナバだ。改めてよろしくね!」
元の魔石がラッキーラビットであるラビットを一番気に入ったのならこの名前だと思った。
気に入ってもらえるか不安だったが、どうやら気に入ってもらえたようだ。
イナバは頭を擦り付けてきて嬉しそうにしている。
さて、草原での従魔だけどラビットでいこうと考えている。
予定ではウルフでいこうと考えていたのだけど、どうやらイナバはラビットが好きなようだ。
ならばラビットの方がより力を発揮してくれるだろう。
まあ、どうしてもだめそうなら変更はするつもりだけどね。
召喚も終わったところで草原での狩りを開始しようと思うが、どうやら昨日ほどではないが人が多いようだ。
これは町から離れた場所を狙ったほうがいいだろうか?
うん、そうしよう。
町から離れるように進んでみて、空いている場所を探そう。
そう決めて、門から離れるように草原を進み始めた。
少し草原を進んできたが余っている場所はまだ無い。
さらに離れていってみよう。
15分程移動したがまだ空いている場所は無い……。
門を出発してから25分程が経過した。
少し先に魔物が見えるので、あと少し進めば場所は開いているようだ。
見えている魔物はウルフ2体。
できれば1体だけでイナバの戦闘を見てみたかったのだが、しょうがないか。
ここはこちらが一体の注意を引いておいて、もう1体をイナバに倒してもらおう。
勿論、注意をひきつつも援護はするつもりだ。
とりあえず戦闘に入る前に、イナバにエンチャント・アタックを掛けておく。
そして、ウルフが射程距離に入るまで移動し、とりあえず一発撃つ。
距離の有利は活かさないとね。
だが、弾は余裕をもって避けられてしまう。
さすがに見つけられている状態だと避けられるよね。
だけど、別に当てられなくてもいいんだよね。
そして、攻撃を仕掛けた左側のウルフがこちらに向かって走ってくる。
よし、ちゃんとこちらに向かってきてくれたな。
さて、戦闘開始だ!
「イナバ、回避を優先して右の1体をお願い!」
イナバに指示をだし、自分は先ほど攻撃した方とは別の右ウルフに攻撃を行う。
右のウルフは弾を避け、こちらに向かって走ってくる。
左のウルフが体当たりをしてきたのでそれを避け、右のウルフにさらに攻撃を加える。
右のウルフは弾を避けるが、そこを狙ってイナバが体当たりを行う。
弾を避けた直後の着地を狙われた為、体当たりを避けることができない。
イナバの体当たりで体勢が崩れたので攻撃を行いたかったが、左のウルフが体当たりをしてきたので攻撃を断念する。
そして左のウルフの攻撃を避けて、着地したウルフの体に向けて技能を使用する。
「ダブルショット!」
歩いている内に技能を一通り試していたが、この技能は2発連続で攻撃できる技能らしい。
そして、ダブルショットで撃ち出した弾は、ウルフの横腹に2連続であたり、左のウルフは少しだけ体勢を崩す。
そして体勢を崩したところに後頭部に攻撃を行う。
その攻撃により、左のウルフのHPバーは空になり地面に倒れた。
これで残りは右のウルフとイナバの1対1だ。
イナバの方を見てみるとウルフの突進を丁度避けたところだった。
避けた後、少し距離を取っている。
回避優先指示を出したので攻撃より回避を優先しているようだ。
ウルフはイナバに夢中でこちらに気づいていないようなので、魔法銃で前足と後ろ脚が同じ射線に来るように攻撃を行う。
やはりウルフはこちらを気にしていなかったようで、弾を後ろ足に受けて体勢を崩した。
そこに追撃で後頭部に攻撃し、ウルフを倒した。
とりあえず、イナバは避けるだけなら大丈夫みたいだ。
あとは魔物が1体で出てきたらもう少し確認しておこう。
ドロップ品を回収して、さらにウルフを探そうかと思ったが、少し先に森が見えた。
今の状態で森へ行っても大丈夫だろうか?
うん、森に行きながらあと数回戦闘をして判断しよう。
少しして森の入り口へ到着した。
あれ以降もウルフやラビットが居たので技能の効果を試したり、イナバの戦闘能力を確認したりしておいた。
まず魔法銃の技能のチャージだが、どうやら長く貯めるほどダメージが増大していくようだ。
ただし、チャージしている間は常にMPを消費するため、あまり多用はできないかな。
次に魔法銃の技能のダブルショットだが、攻撃力が通常の射撃より低下するみたいだ。
ウルフに使用した時のHPバーの減り具合を確認したところ、明らかに通常攻撃2発のダメージより少なかった。
支援魔法のエンチャント・アタック、エンチャント・マジックはやはり物理・魔法攻撃力の上昇効果で良いみたいだった。
こちらもウルフに攻撃をして、HPバーの減り具合で確認を行った。
ただ、魔物がいないときにも使用しているとMPが持ちそうにない気がするので、魔物を発見してから余裕があったら使用することにした。
次にイナバについてだけど、普通のラビットより戦闘能力が高いようだ。
ただ、攻撃も行うように指示してウルフやラビットと1対1で戦闘をさせてみると、やはりダメージを受けてしまう。
回避優先の指示を出したときはダメージを受けなかったので、回避を優先して隙があれば攻撃してもらおうと考えている。
そんな感じで道中の戦いを見る限り、森でも大丈夫だろう。
今回はホーク対策もあるからね。
よし、一旦休憩を挟んでから森に入ることにしよう。
20140904:修正
幸運の兎のモンスターカード
↓
ラッキーラビットのモンスターカード
20140819:修正
字下げをするように修正しました。
20140815:大幅修正
見直しも兼ねて、大幅に修正を行いました。
表現だけでなく、内容まで変更した箇所に関しましては、今現在1~18話のものをまとめて作成しておりますので、少々お待ちください。