―――122―――
<魔物>ムレウオ Lv1
ムレウオ?
群れている魚だろうか?
だが、目の前にいるアジのような魚は1匹。
体長は50センチ程かな。
速度もそんなに早くないので、体当たりであれば十分に避けられそうだ。
チャージは……止めておこう。
ムレウオまでもうすぐ。
呼吸はまだ必要ない。
不意打ちをしようか?
いや、ここはどれだけ回避できるか確認しておこう。
その為にチャージもしなかったのだから。
ムレウオさん、こちらですよ。
……うん、気づいたね。
さて、どうなる?
体当たり?
それとも、水鉄砲?
おや?
いつの間にか小さな魚がムレウオの近くに……不味いかな。
あの魚は丁度ムレウオで見えない位置から出てきた。
だけど、近づく途中にはあの場所の近くに魚はいなかったはず。
見逃していた可能性もあるけど、そこに湧いて出てきた可能性がある。
こちらが召喚できるのだから、魔物も召喚できても不思議はない。
ムレウオ、つまりは群れを召喚する魚。
どうする?
……限界まで召喚させるて相手をできるか確認する?
それはあり得ない。
地上ならまだしも、慣れていない水中だ。
可能な限り少ない数と相手をするべきだ。
そうとなると、小さな魚の方だけ撃とう。
もし普通の魚ならばそれはそれでいい。
一杯出てきたよ!
やはり小魚を召喚する能力で合っていたようだ。
小魚の種類は様々。
その小魚の体長は10~30センチ程かな。
攻撃方法はこちらへの体当たりだけ確認できている。
そして、本体は小魚を召喚し続けて攻撃をしてこない。
これは完全後衛型で攻撃はしてこないのかな?
まあ、とりあえず今は小魚だ。
1匹だけ小魚を通してみたが、小魚の速度はそこまでは早く無く避けることはできている。
その他の小魚はこちらに来る前に魔法銃で攻撃して撃破可能だ。
だがそれも1匹ずつであれば、だ。
もし、召喚が1匹ずつでは無く3匹ずつ程度であれば間違いなく倒しきれない。
それ程の速度で召喚してくるのだ。
さて、そろそろ倒してしまおうか?
……いや、小魚1匹相手に避けながら攻撃をする訓練を行っておこう。
大丈夫、危なくなったらルビーの助けもある。
3匹までなら大丈夫になったよ。
これならば、水中でもある程度戦えるだろう。
それでは、ムレウオさんありがとうございました。
ムレウオ本体は強くないのか。
もしかして、たまたま弱点に攻撃を……いや、レベル1ならあんなものなのかな?
まあ、あれならば不意打ちのチャージ攻撃で一撃かな?
それにしても、倒した後に海の上に浮いてくれるのはありがたいね。
底に沈んでいくのならば倒す位置を考えないといけないところだったよ。
さて、ドロップアイテムは……魚?
流石ムレウオ。
皆、ただいま!
この場所の地上で2人が負けるとは思わないけど、何もなかったようで良かったよ。
さて、この後はどうしようか?
一応ムレウオ相手は大丈夫なことは分かったけど、あと2体。
名前から想像はつくけど、両方とも危なそうなのだよね。
ここは、ムレウオのレア種から倒してみようか?
レベルは高いだろうけど、他の2体と比べれば一番倒しやすいはず。
それに、魔石のドロップ率を考えるといずれレア種を倒さないといけないのだ。
一度だけ、挑んでみよう。
死に戻りするようなら地道にムレウオから魔石を集めればいい。
よし、イナバ、ログレス探しておくれ。
魔力の高い3種類。
その中で一番弱い相手を探してもらいました。
2人ともが同じ魔物を探し当てたようなので、慎重に他の魔物に見つからない様にそこへと向かったところ、魔物を陸地から遠目に見た瞬間に他の2種類の内の1体だと分かったので撤退です。
あれは無い。
いや、地上付近におびき寄せればいいのかな?
まあムレアジのレア種を確認してから試してみよう。
何となくだけど、見つかったら逃げきれない気がするので。
<魔物>アジ・フライ Lv16
陸地からでもギリギリ存在を確認できたけど、大きさからムレウオのレア種の可能性が高いと考え、より詳細に知る為に海を泳いで識別可能距離まで近づいてみた。
これはムレウオのレア種で合っている。
さて、合っているのなら近づいていこう。
幸い相手は休憩中なのか移動していない。
気付かれない様に、慎重に。
掲示板で名前を見た時はトビウオ的な物をイメージしていたんだ。
流石に、常に飛んでいる魔物とは思っていなかったけど、陸地から見た時点で常に空を飛んでいることは分かっていた。
だが目の前の魔物はさらにその上を行くようだ。
体長は40センチ程に見える。
カリッと美味しそうな茶色い体。
少し見える尻尾が魚である事を主張する。
そう、アジフライだ。
まさか揚げ物が飛んでるなんて誰が想像できようか!
まったく、美味しそうだよ!
さて、美味しそうなのは置いておいて、どうしようか?
美味しそうなのでルビーに咥えてもらってイナバとログレスが待っている場所まで運んでもらう方法もあるが、攻撃方法に予測もつかない状態では危険だろう。
体当たりでは無いよね?
そのサックサクな衣が崩れてしまうからね。
そうなると、油かな?
流石に揚げ物が水を撃ち出してはこないだろうからね。
それに水でふやけた揚げ物は嫌だろう?
いや、相手は美味しいことに誇りを持っている可能性があるのか。
つまり極端に水を嫌がる。
うん、嫌がるだけで攻撃にはならないな。
多分少し気を逸らせるだけだろう。
これは緊急時に使える程度かな。
やはり、全力攻撃でいこう。
色々検証するにはこちらの戦力が足りないからね。
それでは少し離れてルビーに指示を出そう。
それにしても、あのアジは大きくは移動しないのだろうか?
先程から結構時間が経過しているのだけど、あまり動いていない。
もしかして、移動するのにMPを消費する?
それとも他の何か?
まあ、こちらにとっては好都合なので良いのだけどね。
ここでいいかな?
慎重に移動したのでアジには気づかれていない。
まあ気づかれた場合でも大丈夫だと思うけど、できれば奇襲したいからね。
手を上げ、ルビーに合図を送る。
あとは僕が合わせるだけだ。
ルビーの尻尾に対する急降下攻撃に合わせて下部にチャージ攻撃を当てる。
それだけだ。
あっさり。
そう、あっさりと倒せてしまった。
どうやら植物油を使用していたみたい。
ではなく、ルビーの尻尾に対する急降下攻撃と僕の下部に対するチャージ攻撃だけで倒せてしまった。
勿論残る可能性も考えていたのだけど、これならば魔石集めが捗りそうだ。
ところでルビーよ、少し食べなかったかい?
美味しかったかい?
カリカリの尻尾は美味しかったかい?
僕も食べたかったけど、海に浸かったフライは良くない。
機会を待とう。
さて、剥ぎ取りだ。
望むものはただ1つ、魔石。
……紫色の石と口の無い袋のような何かに入った液体でした。
多分石の方は魔石のはず。
液体は……油?
流石に取り出して確かめるわけにもいかないからね。
あとで鑑定しよう。
それにしても、最初から魔石とアイテムがドロップとは嬉しいな。
この調子で魔物カードが作成できるまで倒していこう。
20141112:修正
・誤字を修正しました。
・アジ・フライがドロップした石の色を間違えていた為修正しました。
"水色の石"
↓
"紫色の石"