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採寸も終わったよ!
まさかのスキル採寸。
まあ、本人の認証がいるみたいだけどね。
さて、サカフィも足りそうなのでもう一つのお願いもしておこう。
空の繭糸を使用した補充可能なMP回復ポーション。
これが作成できればかなり楽になるだろう。
それに、こちらができなければあちらもできないだろうからね。
「もう1つご依頼してもいいでしょうか?」
「大丈夫です。ただ、そちらは少し遅くなってしまいますが構いませんか?」
「はい、大丈夫です。こちらは実験も兼ねていますので時間は考えなくても構わないです」
「分かりました」
「それで、依頼内容なのですが、空の繭糸を使用して補充できるMP回復ポーションを作成できませんか?」
「え……ああ、先程レンちゃんに相談していた件とも関係しているのですね」
その通りです。
こちらができればあちらも可能だと思うのです。
「はい、お2人で協力して作成して頂けないかと思いまして」
「分かりました。私はお受けしたいと思います。レンちゃんはそれでも良い?」
「良いですよ。それどころか、そちらの方が嬉しいですので」
良かったよ。
「ありがとうございます。それでは、依頼料はおいくらになりそうですか?」
「少しお時間を頂けますか? 初めてのタイプの依頼なので、相談して決めたいと思うのですが」
「はい、大丈夫です。よろしくお願いします」
「ありがとうございます。それでは少しお待ちくださいね」
いくらになるかな?
少なくとも先程の依頼よりも高いはずだ。
まあ、それだけの価値はあるのでいいのだけどね。
さて、暇な時間は掲示板。
だが、特に調べることは無い。
おお、クイズスレが立ってるよ!
うん、匿名のようなので参加してみようかな。
第1問で既に知らない内容だったので、楽しみだよ!
「お待たせしました。依頼料ですが、定期的に素材を提供して頂く、ではどうでしょうか?」
これは、実験にかなり使うから取ってきてね、と言う意味かな?
そうなると、毎朝森出勤だ!
「大丈夫です。今ある分はすべてお渡ししますので、足りなくなりそうでしたらご連絡ください」
「ありがとうございます。それでは、フレンド登録をお願いできますか?」
「はい」
「あ、そろそろ私は戻りますね」
「分かりました。今日はお忙しいところをわざわざ、お付き合いいただいてありがとうございました」
「いえいえ、大丈夫ですよ。それに北の試練では私が付き合ってもらいましたから。それでは」
「はい、それでは」
「またね、レンちゃん」
「さて、この後少し時間を貰いたいのだけど大丈夫かな?」
うん、何となく分かってたよ。
先程の依頼をする時、観察されていた気がしたからね。
まあ、あちらが呼び止めなければこちらが呼び止めていたところだ。
丁度いいかな。
そして、口調が変わったよ!
最初からこの口調で良かったのだけど、あちらはお客様用かな?
まあ、別にいいか。
「大丈夫ですよ。場所はどうされますか?」
流石にここで話すわけにはいかないだろうからね。
「良いカフェを知っているの。そこでどうかな?」
「分かりました」
さて、カフェか。
イナバ達は不味いよね?
仕方が無いので送還しよう。
ログレスはいいかな?
はい、止めておきますね。
あくまでメインは僕と彼女の話しなのだからね。
「突然申し訳ないね。実は、前々から君と話をして見たかったんだ」
「いえ、こちらも丁度お話したことがありましたので」
「おや、それは丁度良かったかな。そうすると、私の件は後で良いので先に話してもらえるかな?」
後でいいか。
後の方が良い、だとは思うけど、まあどちらでもいいかな。
「分かりました。お話は先程の素材の入手方法についてです」
「入手方法? まさか教えてくれるのかな?」
ばれてた?
いや、これは違うかな。
「はい」
「え……冗談だよね?」
やはり、冗談で言っただけみたいだ。
「依頼をした相手にこんな冗談を言って機嫌を損ねられたら不味いと思いますが?」
「……その通りだね。それで、聞かせてもらう前に理由を聞いてもいいかな?」
おお、やはり先程観察されていた気がしたのは間違いでは無かったようだ。
そうなると、彼女が呼び止めてきた理由も何となく分かる。
見ていて、心配だもんね。
「引き受けて頂いたお礼と報酬の上乗せです。多分お忙しい中でレンさんからの紹介だった為、優先して頂いたのでしょう?」
「……分かりました。その理由ならば喜んで教えてほしいです」
うん、確定かな。
彼女はレンさんが大切なのだ。
どんな理由かは知らないが、守っている感じかな?
ならば問題無い。
いつも通りの行動でいい。
「ありがとうございます。それでは方法はメールでお送りしますね」
「確かに、その方がありがたいかな」
「この時間帯は確か……」
やはり、繊維素材関係の魔物の情報は集めているのかな?
それとも、実際に北の森へ自分で行ったことがあるのだろうか?
「こんな方法で……」
さて、この情報をどうするかは彼女次第だ。
独占してもいいし、掲示板で公開してもいい。
「勿論、掲示板などの多くの目が集まる場所で公開されない限りは私がその情報を貴方以外へ教えるつもりはありません」
これで誰かが気づかない限りはこれで独占もできるはずだ。
狩場も他のプレイヤーが侵入してこない北の神殿だからね。
さて、彼女はどうするのだろうか?
正直、楽しみです。
それにしても、ここのココア美味しいよ!
ゲーム内ではいつも携帯食料と水が多かったので、さらに美味しいと感じられる。
やはり、携帯食料を誰か改善してくれないかな?
そうすれば、多少高くても一気に売れると思うのだけどな……。
いや、今の状況では町を出る前に食べればいいのだから余り売れないかな?
「ありがとう。これに記載してある情報は信用していいかな?」
「明日一緒に集めますか?」
「いや、信用するよ。それに、今はそんな時間無いからね」
やはり、人気職人だったのか。
まあ、ヒール羊の羊毛と麻痺蜘蛛の糸を知っていたので確率は高いと思っていた。
あれら素材を入手する手段があるのならば、ある程度は腕があるはずだからね。
自分で狩ってきた可能性は知らないけど。
「やはりお忙しいのですね。そんな中、依頼を受けて頂き、ありがとうございます」
「いや、こちらこそ良い素材を提供してもらってありがたいよ」
「それにしても、ここのココア美味しいですね」
「そうだろう? ここは私が見つけたお気に入りなんだ」
おっと、これは……。
どちらかな?
ある程度信用されていたからここへ案内されたか、ここならば仲間がいるから安心と思い案内されたのか。
多分、後者だろう。
そうなると、どこかに座っているはずなのだけど見渡すと不自然だろう。
入って来た時に気づくべきだったかな?
まあ、いいか。
「話しの途中で申し訳ないですが、少し連絡をしてきてもいいでしょうか? 念話形式は余り慣れていなくて」
「こちらは構わないよ。ただ、その話が長くなるようならば、明日にでも改めて会いたいのだけどね」
「いえ、すぐ終わります。それでは少し失礼します」
「いってらっしゃい」
これでどうかな?
少し怪しまれるだろうけど、その程度なら問題無い。