―――102―――
わあ、家だ!
これが掲示板にあった、生産設備がある家かな?
<第1の試練を開始する。準備はいいか?>
第1の試練!
緊張するよ!
「私は大丈夫ですので、あなたの判断で始めてください」
「わ、分かりました。では、試練開始、お願いします」
大丈夫。
第1の試練はまず大丈夫のはず!
<それでは第1の試練の内容を説明する。第1の試練はアイテム1個作成することだ。勿論質の悪いアイテムだった場合は失格とする。さらに、持参しているマジックポーチは封印させてもらう。荷物運び用のマジックポーチは、そこの家に入り、最初の部屋のテーブルの上に置いてあるものを使うと良い。これで説明を終了する。それでは第1の試練、開始!>
うん、知ってるいるよ!
もし素材持ち込みができていたら、彼女の手を煩わせることなく、私だけで来ることができたかな?
う~ん……やっぱり辿り着けなかった気がする。
でもまあ、今は彼女が手伝ってくれている!
頑張ろう!
「ユウさん、頑張りましょう!」
「はい、頑張りましょう。それでは、一旦家に入りマジックポーチを確認しましょうか」
「はい!」
あれがマジックポーチかな?
あちらは彼女が見ているので、私は家を調べておこうかな。
掲示板の情報が合っているか、念の為調べておきたいからね!
うん、やっぱりすべての扉には鍵がかかっていて入れない。
「どうしたのですか?」
「いえ、念の為に確認をしておきたくて。やはり情報通り、まだ他の部屋へは入れませんね」
あ、彼女は鍵の事は知らないのか。
「各部屋へのカギはこの部屋のどこかに隠されているようなので、私が探しておきます。ユウさんは西側へ向かい、ウッドパペットから木材を集めてきてください」
これで良いよね?
素材を集められない私は、家の鍵を探しておく。
それにしても、よくこの状況で家の中で鍵を探そうと考えたよね。
私だったら外の魔物が持っていると考えてたと思う。
いや、どうせ私が外に出ても無駄だから、家の中で鍵を探すのかな?
「分かりました。それでは木材を集めてきますね。あと、念の為聞いておきたいのですが、この家は安全と考えていいでしょうか?」
……そうか、家が安全じゃなかったら私の為に護衛がいるのか。
でも、大丈夫です!
「はい、そこは大丈夫の様です。掲示板情報ですが、最後まで一度も家が襲われたことは無かったようです」
「それでは、カギ探し頑張ってください」
頑張ります!
「はい、そちらも素材集め頑張ってください」
さて、鍵を探そう!
まずは、情報にあった場所を……。
やっぱりそう上手くはいかないかな。
情報にあった場所には鍵が1つも無かったよ。
まあ、同じ場所じゃあ2人目からは試練にならないからかな?
椅子の裏側に不思議と張り付いているとか……。
でも、分かりやすい位置かな?
床下収納もあったよ!
鍵は収納されてなかったよ!
湯沸し道具の手持ちにあったよ!
同じ色で見え辛くしてあるなんて……。
外の植木鉢の裏にあったよ!
中だけじゃなかったんだね。
まさかの窓とサッシの間にあったよ!
鍵が傷つくよ!
最後の1個が見つからない……。
あった、あったよ!
まさかの床下だよ!
これは、掲示板の人はたまたま部屋の中に全ての鍵があったのかな?
床下から出てみると、丁度彼女が帰って来た。
いいタイミング!
「お帰りなさい。ちょうど鍵をすべて集め終わったところです。木材は取れましたか?」
「はい、結構取れましたよ。さらに金属まで取れました」
1時間でこんなに取れるものなのかな?
でも、手土産で貰った木材の量はもっと多かったし、これが普通なのかな?
そして、この金属はまた違う種類みたい。
普通の剣や斧に向いているかな?
まあ、金属の事は今はいいや。
「おお、結構取れましたね。これなら余裕で第1の試練はクリアできそうです」
うん、この半分でも行けたと思う。
休憩時間に手土産の木材で練習してた甲斐があったよ!
「それは良かったです。次はどこで何を採取してくればいいですか?」
「南の森で回復草を採取してきてください。20個もあれば足りると思います」
それで第2の試練の作品を作るよ!
数が多いのは試練の内容的に仕方がないの。
「分かりました、行ってきます。生産頑張ってください」
「はい、頑張ります」
さあ、生産職の本分だ!
木刀。
ここまでは良い。
ここからだ。
私の腕で作ったタダの木刀では試練には不足かもしれない。
だから、細工をする。
効果は……軽量化?
いや、確か重さもある程度いるのだったかな?
そうなると、単純に何かを強化した方が良いかな。
筋力か器用さか。
うん、筋力だよね!
多分戦闘職の人は簡単に当てるだろうから、威力が上がった方が嬉しいはず!
できた!
品質も悪くない!
これを奉納部屋の机の上に……。
<第1の試練のクリアを確認した。次は第2の試練に移る。準備はいいか?>
良かった。
無事クリアできたよ!
さて、どうしようか?
もしかして、待っていた方が良いのかな?
いや、ログイン時間の関係もあるから、開始した方が良いはず。
幸い試練中でも、試練の中間でも何か変わると言うことは無いみたいだったから。
うん、開始しよう。
「開始してください」
<それでは第2の試練の内容を説明する。第2の試練はアイテム5個作成することだ。勿論質が悪すぎるアイテムだった場合は失格とする。さらに、持参しているマジックポーチは封印させてもらう。そして、第1の試練とは違う種類のアイテムを作成してもらう。これで説明を終了する。それでは第2の試練、開始!>
うん、情報通りだ。
そして、違う種類のアイテムを5個作成しなければいけない。
だからこそ、ここで数を作りやすい調薬でアイテムを作るよ!
おお!
テーブルの上に薬草がある!
もう薬草を取ってきてくれたみたい。
相変わらず早い。
量も十分だ。
これならすぐにクリアできそうだよ!
さあ、これでポーションを5個。
手順は覚えているから大丈夫。
できた!
品質も悪くない。
久しぶりだったから、少し緊張したけど、うまくできて良かった。
さあ、奉納部屋で奉納だ!
<第2の試練のクリアを確認した。次は第3の試練に移る。準備はいいか?>
良かったよ!
クリアできたよ!
次の試練はすぐ受けよう。
材料はもうある。
それに、多くの時間が必要だ。
<それでは第3の試練の内容を説明する。第3の試練は最高の一品を仕上げよ。質が良いアイテム以外は失格とする。そして、第1の試練、第2の試練とは違う種類のアイテムを作成してもらう。これで説明を終了する。それでは第3の試練、開始!>
この前の試練とは違うアイテムをってところが厄介だよね。
私は事前に知っていたから良かったけど、知らなかったら普通は一番得意な種類のアイテムを作ると思う。
掲示板の人もそうしてしまったみたい。
まあ、失敗後すぐに試練を受け直したみたいだけどね。
さて、作成に入る前に少し外で空気を吸ってこよう。
あれ?
もしかして、疲れを隠していたのかな?
そうだとしたら、申し訳ない。
さて、起こすべきか、起こさないべきか。
うん、起こしてしまおう。
安全と書いてあったからと言っても、流石に外で眠るのは危ないと思う。
まあ、敵が来てもイナバちゃんたちが守ってくれそうではあるけどね!
「朝ですよ~」
起きない?
「朝ですよ~」
もしかして、かなり疲れているのだろうか?
そうなると、起こさない方が良いい?
……あと1回だけ呼びかけてみよう。
「朝ですよ~」
「おはようございます。寝てしまっていて申し訳ありません」
起きてもらえたよ!
そして、申し訳なく無いよ。
既に必要な物をすべて集めているのだから、寝てしまっていても問題は無いよ!
「いえいえ、素材集めで疲れていたのですから構いませんよ。テーブルの上に置いてあった薬草は使わせてもらいました。現在は第3試練です。第3試練の素材はもう集まっているので、あとは自由に動いてもらって構いませんよ」
うん、自由で!
「分かりました。でしたら、西の森へ行ってきますね。何かありましたらフレンドチャットで連絡をください」
え?
中で眠るのではないの?
もしかして、全然疲れていないのだろうか?
あるいは、戦闘職の人は疲れよりも狩りを優先するのだろうか?
分からないよ!
まあ、彼女がそちらに行くと言うのならば止める必要は無いかな。
「分かりました」
「それでは、頑張ってください」
「はい、頑張ります! 楽しみにしていてくださいね!」
さあ、集中だ!
おお!
良い設備だ。
私も将来的には自分でこんな設備を持ちたいな。
まあ、今は目の前のことに集中だ!
まずはこの鉄を溶かして……。
うん、今までで一番上手くいったかな。
あの子ならさらに上手くできるのだろうけど、私は私だ。
今できる全力を尽くせればいい。
さあ、あとは細工を……。
よし!
これが今私にできる最高の作品だと思う!
細工の種類は親方と相談して決めたものだから問題ないだろう。
本当は本人に相談しようと思ったのだけど、親方的には最初に指定してこなかったのだから、お前が一番いいと思うものを選べだそうだ。
それで、少し迷ったけど、自分で決めることにした。
選んだのは消費MP軽減のランク2。
私のスキルと腕だと、ギリギリ出来るかどうかのレベルだったけど、無事に成功した。
さあ、奉納する前に彼女を呼ぼう!
『どうされました?』
『作品が完成しました。念の為家まで戻ってきて頂けますか?』
『分かりました。すぐに戻ります』
『お待ちしていますね』
「戻りました。生産お疲れ様です」
「お帰りなさい。それでは、作品を指定の場所においてきますね」
「分かりました」
さあ、勝負の時だよ!
奉納部屋にこの魔法銃をおい……。
あれ?
待って。
魔法銃を奉納したら彼女に渡せないじゃないの!
いや、でも、親方は最後で作れって。
つまり、この魔法銃は渡すことができるの?
……渡せなかったら、今回より良い物を作って渡そう。
ここは親方を信じるよ!
<第3の試練のクリアを確認した。おめでとう! これにより、レンとユウの全試練のクリアを確認した。おめでとう! 君達は試練を突破したのだ!>
魔法銃は……ある!
これは持って帰ってもいいってことだよね!?
い、急いでマジックポーチにしまおう!
<試練突破者よ、これより君達を封印の神殿へと転送する。そこで何を行うかはあちらで聞いてほしい。それでは、また会える日を楽しみにしておくよ>
良かった。
どうにか転送までにしまうことができたよ!
これで、彼女に依頼の魔法銃を渡せる。
彼女が気に入ってくれるかどうかは分からないけど、全力は尽くした。
あとは渡すだけだ。
20141026:修正
誤字を修正しました。