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従魔使いのベアリアスワールド・オンライン  作者: 雪結晶
1章 - 始まりの町と初めての従魔
10/202

―――10―――

「到着!」

 

 残念、普通の森だった……。

 いや、普通じゃない森は想像できないんだけどね。

 

「で、どうする?」

 

「とりあえず、入り口近くで1回戦ってみようか」

 

「わかった」

 

 どうやら森の位置口付近で戦うようだ。

 流石姉さん、テンションが上がっても無茶はしない。

 そういえば、そろそろアレが出てくる気がするんだけど……。

 

「森のなかって鷹の魔物は出てきますか?」

 

「鷹ですか?実はまだ入ってないので出てくる魔物は分からないのですよ」

 

「そうでしたか。チュートリアルで鷹の魔物が出てきたのでちょっと気になって」

 

 そう、チュートリアル中に唯一負けた魔物である鷹……アクセラレーションホークだ。

 

「空中からの襲撃の可能性ですか。皆さん注意しておきましょう。情報ありがとうございます」

 

「いえいえ」

 

「じゃあ、少し休憩のあと森に入ろう」

 

「了解!」

 

 そういえば、休憩なしで移動していたのだった。

 忘れていたな。

 

 

 

「じゃあ、皆出発するね」

 

「はい」

 

 休憩も終わり、未知のエリアである森へ入る。

 森の中は薄暗く、さらに木々等で視界が遮られる為、魔物から奇襲を受けやすそうだ。

 これはかなり注意しつつ進まないといけないな。

 そういえば、ラビットは出てくるのだったっけ?

 

「きゃ!」

 

「敵か!」

 

 声のした方向へ目を向けると、前方を歩いていたアーネさんに狼が飛び掛かっていた。

 何とか盾での防御が間に合ったみたいだが少し体勢を崩してしまっている。

 注意しつつ森を進んでいたつもりだが、魔物から奇襲を受けてしまったようだ。

 

 すぐにリンカさんが魔物に切りかかるが避けられてしまった。

 僕も前衛の邪魔にならないように足元に牽制で1発銃を撃ちつつ、魔物を識別しておく。

 

 <魔物>ウルフ Lv2

 

 どうやら普通のウルフのようだ。

 レベルも高くない。

 

 ウルフは僕の撃った弾を避けて、再度リンカさんに飛び掛かったが、リンカさんはそれを避け、後頭部へ斬撃を行う。

 ウルフは避けきれず、直撃を受けてしまい、HPゲージを空にして倒れた。

 

 森の中だとウルフでもこれだけ脅威になるのか。

 今回は1体だったからいいけど、後衛が5体に奇襲を受けたりすると危ないな。

 それにしても、奇襲に反応して盾で防御できたアーネさんはすごいな。

 僕だとぎりぎり身を投げて回避できるかどうかだと思う。

 

「これはやっかいだな」

 

「そうだね。一応警戒してたんだけどね」

 

 やはり今できる警戒だと難しいか。

 もしかしたら何か判断できる方法があるのだろうか?

 或は、何かのスキルで対応できるのだろうか?

 チュートリアル中に見たスキルにはなかったと思うけど……。

 

「どうします?一旦森の外へ戻りますか?」

 

「いや、もう少し進んでみたいのだがどうだろうか?」

 

「もう少し進もう。対応できないわけじゃなかったみたいだし」

 

「分かりました。行きましょう」

 

 どうやら進むようだ。

 確かに対応はできていたが、少し危ない気もするな。

 まあ、無茶ではないと思うのでいいけどね。

 

 

 

 その後も森を進んでいった。

 ウルフに加えラビットも奇襲をしてきたが、リンカさんは避け、アーネさんは盾で防ぐことで対応している。

 アーネさんの盾での防御もだけど、完全に回避するリンカさんもすごいと思う。

 さらに、ラビットは大体1体で出てくるのだが、ウルフは最初の1回を除き複数体で出てきていて、最高で4体同時に出てきた。

 その時はアーネさんが2体を引きつけ、その間にリンカさんと僕が1体ずつ相手をしている。

 そして、後ろから姉さんが水魔法で攻撃をしていた。

 戦闘終了後にはフウさんが全員の回復を行う必要があったけど、良く対応できていたと思う。

 まあ、奇襲を除けばあまり強い相手ではないのだけどね。

 そんな感じで、順調に進めていると思う。

 

 さらに先へ進んでいたところ、不意に影が横切った気がした。

 位置的にリンカさんとアーネさんの後ろで僕の前だった。

 姉さんもフウさんも後ろを警戒していたため気づいていないかもしれない。

 不意に、アクセラレーションホークとの戦闘が過る。

 咄嗟に上を見上げたが木々の隙間から青空が覗いているだけだ。

 だが、気になるな……一応警戒を促しておこう。

 

「空からの奇襲に気を付けてください」

 

 その瞬間、後ろの木々から音が聞こえた。

 急いで後ろを振り返ると木々の隙間からフウさんに向けて鷹の魔物が突進してきていた。

 フウさんも木々の音が聞こえたようで、回避を行っていたが、少し間に合わなかったようで掠ってしまっていた。

 そして鷹は木々の間を抜けて空へと昇っていく。

 

「大丈夫か!?」

 

「はい、大丈夫です」

 

 何とか大丈夫のようだが、HPゲージはかなり減っている。

 5割までは行っていないが、4割以上は減っているだろう。

 掠っただけでこれなのか……。

 フウさんはダメージを回復すべく、魔法を唱えつつも周囲を警戒している。

 そして、他の皆も同様に周囲を警戒している。

 先程の攻撃で来る方向は分かった。

 多分他のみんなもわかっているだろう。

 姉さんがちょっと心配だけど、今は解説している暇はない。

 そして、フウさんの回復魔法が発動した時、木々の音が横から聞こえた。

 その方向を見ると、鷹が少し離れた位置で木々から出てきていた。

 狙いはどうやら僕のようだが、見えてさえいればあとは慣れたものだ。

 鷹はそのまままっすぐ体当たりしてきたので、チュートルアルの時と同じように横に避けてから魔法銃で撃つ。

 弾は鷹へ当たり、体勢を崩し地面に激突した後、地面を削りながら移動していく。

 そこへリンカさんがさらに攻撃を加えると、そこでようやく鷹のHPバーは空になった。

 

 それにしても、アクセラレーションホークより遅かったみたいだから多分普通の鷹だろう。

 アクセラレーションホークが奇襲してきたらと思うとゾッとする……。

 

「今のは危なかったな…」

 

「そうだね。ユウ君ありがとう!」

 

「いや、もう少し早く警告できなくてごめん」

 

「あれでも十分早いと思うがね」

 

「少し対策を考える必要がありますね」

 

 確かに対策が必要だな……。

 

「一応鷹が降りてくるときには木々の音が聞こえたね」

 

 良かった。

 姉さんも気づいていたようだ。

 ただ、それだと……。

 

「そうだな。だが、今回は鷹だけが相手だったから良かったが、他の魔物と戦闘中にあれを聞き分けるのは困難だと思うが?」

 

「確かにそうだね。他は……今は思いつかないかな」

 

 そう、戦闘中は難しいだろう。

 他の方法は何があるだろうか?

 草原だったらまだ見つけてから対処をすることも可能だと思うけど、森のだと視界が悪いから見てからの対処は困難だろう。

 そして、鷹は草原では見なかったから森から出てくるのだろうね。

 ならば対策は森で役に立つものじゃないと意味が無いか。

 う~ん……あ、そうか。

 でも、それだと公平じゃないか。

 それ以外は今は思いつかないな。

 

「皆どうする?そろそろ帰った方がいい時間だと思うけど」

 

「え?もうそんな時間?」

 

「終了2時間前ですね。終了時は町などの安全な場所以外でのログアウトは危ないのでしたね」

 

「そうだったの?」

 

 そんなこと教えてもらって無い!

 もしかして、ヘルプに書いてあったのだろうか……。

 ちゃんと読まないといけないな……。

 

「そうですよ。それでは町まで帰りましょうか?」

 

「そうだね。皆帰ろうか!」

 

「分かったよ!」

 

 

 

 1時間30分程で町の門に辿り着いた。

 町の近くまで来たところで日が完全に沈んでしまったが、月明かりがかなり明るかった為、何とか町までたどり着くことができた。

 森の中では奇襲がある為あまり急げなかったが、帰りの草原ではできるだけ魔物を避けて進んでいた為、予定よりも早くつくことができたようだ。

 まあ、草原は殆どの場所が避けるまでも無かったのだけどね。

 

「ではドロップ品を分けて解散しよう」

 

「均等分配でいいですよね?」

 

 そうか、ドロップ品があったか。

 確か姉さんが全部剥ぎ取ってたような気がする。

 

「そうだな。それで頼む」

 

 姉さんがマジックポーチで数を確認したが、どうやら割り切れない数のようだったので、そちらは辞退した。

 他の人は公平にじゃんけんで分けるようだ。

 結果、僕への分配はこうなった。

 

 ・ラビットの肉2個

 ・ウルフの牙2個

 

 うん、森にはあまり長い時間いなかったし、草原はほとんど移動だったから、こんなものだろうか?

 

「今日は皆のPTに入れてくれてありがとう。楽しかったよ」

 

「いえいえ、こちらこそ楽しかったですよ」

 

「そうだよ!」

 

「ありがとう。また機会があったらよろしくね」

 

「こちらこそまたよろしく頼むよ」

 

 この後は自由時間となり、皆とは町の入り口で別れた。

 本当はヘルプを読もうかと思っていたのだけど、帰りの草原に魔物が殆どいなかった為、移動中は交代で1人が警戒をして、他のメンバーはヘルプを読むことになった。

 なので、その予定はもう解決してしまったのだ。

 どうしよう……露店でも巡ろうかな?

 そういえば、明日は職業ギルドで本登録をするのだったか。

 ならギルドの近くでログアウトしておきたいな。

 そうしたら、ギルドに向かいつつ、露店を見ていけばいいか。

 そう思い、道の端の露店を見ながらギルドへと向かっていく。

 

 露店を探しつつ歩いているのだが、街中のプレイヤーが増えているような気がする。

 他のプレイヤーも狩りから帰って来たのだろうか?

 

 ギルドまでのかなり近づいてきたところで、少しお腹がすいてきたような気がした。

 そういえば、携帯食料があったっけ。

 そう思い、アイテムポーチから携帯食料を取り出し、一口食べてみる。

 ……まずい!

 安いからしょうがないのだろうけど、この味は無いと思う……。

 うん、明日は露店で買って食べよう。

 そう決意し、今日はログアウトすることにした。

 今日は楽しかったな……。

 明日はこれ以上に楽しめるのだろうか?

20140913:修正

矛盾していた箇所を修正しました。


20140904:変更

魔物よりドロップする素材アイテムの名称を"魔物名を漢字にしたもの"から"魔物名"に変更しました。


20140819:修正

字下げをするように修正しました。


20140815:大幅修正

見直しも兼ねて、大幅に修正を行いました。

表現だけでなく、内容まで変更した箇所に関しましては、今現在1~18話のものをまとめて作成しておりますので、少々お待ちください。

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