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※最初に投稿したこのタイトルですが、下記タイトルの外伝的扱いとしました。こちらで解決していない内容やフラグは、(きっと)あちらで解決します。
◇異世界交流はゲームの中で ~イナバの航海日誌・2冊目~
https://ncode.syosetu.com/n1995ek/
時系列的には本タイトルが2番目で別タイトルが4番目(終幕)となりますが、どちらのタイトルも独立して読めるようにはなっていますので、下記要素からお好きな方を選んでいただき読み進めて頂ければと思います。
・今タイトル(従魔使いのベアリアスワールド・オンライン)
VRMMO寄り。少しだけ現実が混ざっていますが、ほぼゲーム内部で進行します。
・別タイトル(異世界交流はゲームの中で ~イナバの航海日誌・2冊目~)
異世界?寄り。別世界からもログイン有り。
(未投稿の)3章終了時点でゲーム内部だけ、それ以降に現実が混ざり始めますが大部分はゲーム世界でのお話となる予定です。
「やったー!当たったわ!」
姉の楓はある抽選に当たり大喜びしている。
それは最新型VRMMOゲーム機とゲームがセットになって当たる懸賞だった。
ことの発端は3か月前に遡る。
大手デパートの片隅にてその抽選への応募は行われていた。
なんでも、最新のVRゲーム機とゲームソフトを抽選でプレゼント!というものらしい。
僕と姉さんは興味を惹かれそのコーナーへと足を進めた。
ゲーム自体はVRMMO(仮想現実大規模多人数オンライン)ゲームでどうやらファンタジーものらしい。
それ以外の情報は実際にテストプレイで体験してみてください!と書かれている。
ファンタジーものは結構好きなのでさらに興味を惹かれ、担当の人に応募等について聞いてみることにした。
詳しく話を聞いてみると、応募するには条件があった。
1.テストプレイを行い、問題が無いこと。
2.当選した場合は1か月に1度健康診断や身体測定等の検査を受けてもらう必要があること。
3.当選した場合は可能な限り1日に2時間以上プレイすること。
4.応募規約に同意すること。
5.未成年者の場合は親の同意書も必要。
1のテストプレイは極稀にVRで遊ぶこと自体が合わない人がいるみたいで、その確認の為に行うとのことだ。
この抽選に限らず、市販で販売する場合もこの確認は行われるらしい。
2の健康診断等はゲーム機自体が常時健康チェックは行っているが、より詳しいデータを計測させてほしいということらしい。
健康診断は絶対に受けてもらうが、他の身体測定等は任意で受けるか決められるとのことだ。
もちろんできるだけ受けてほしいとは言われたが。
検査項目は健康診断は事前の契約書に記載されていて、その他の物は事前に内容を記載した書類を送ってくれるみたいだ。
検査結果は数日後に家に送ってもらうか、検査を受けた場所で受け取るかを選べるらしい。
そして健康診断等のデータの管理についてだが、国が行うらしい。
どうもこのゲーム機の作成元が国から請け負ってゲーム機とゲームを作成したらしく、大本は国らしい。
なので"普通よりは安全だと思いますよ"と言っていた。
そこは普通は"安全ですよ"と言う場面じゃないのだろうか?
まあ、どちらにしてもそのまま信じるわけにもいかず、自分で調べてみるのだけどね。
健康診断などを受けなければいけない期間についてだが、1年間ということだ。
開始前に1回と開始から1か月は2週間に1回でその後は1月に1回で予定されているらしい。
まあ、期間については問題なさそうだ。
逆に健康診断を無料で1年間受けられるのは良いことではないだろうか?
3の2時間以上プレイに関しては2で継続的にプレイしている状態のデータがほしいからだそうだ。
これはまあ当然かな。
プレイしていない人のデータはいらないだろうし。
こちらも期間は1年ということだ。
4と5に関しては当然必要だろう。
同意書等はこの場で提出する必要は無く、後日提出してもいいようだ。
「楓姉さんはどうする?」
「うん。私も応募しようと思う」
どうやら姉さんも応募するようだ。
そして姉さんと応募条件に関して相談した結果、やはり自宅で1度調べてみてからの方がいいということになった。
その為、今日はテストプレイを行い、応募書類をもらっていったん帰り、後日調べてみて安全が確認できたら応募することにした。
担当の人に伝えると、"それでいいと思うよ。だけど、ちゃんと親御さんにも相談してね"と言われた。
どうやら元から調べることを促すようにしていたようだ。
安心できる人である。
その後ゲームのテストプレイし、応募内容と応募書類をもらって今日は帰ることにした。
「結構面白かったね。VRゲームはあんなに再現できる物なんだね」
「そうね。他のVRゲームはまだしたことが無かったけど、あれなら当たらなかった場合、買ってでもしたいわね」
確かに当たらなくても、結構高いゲーム機を買ってでもしたい気もする。
それだけ出来が良かったのだ。
ただ、他のVRゲームをしたことが無いので比較はできないのだけど。
ちなみにあのゲームは同時発売の新機種(抽選で当たるゲーム機)でしかプレイできないらしい。
そして、抽選以外で手に入れる方法は1か月後の市販を待つしかないようだ。
なので、どちらか1人だけが当たった場合はもう1人は1か月待つしかなくなることになる。
できれば2人とも当たってほしいものだ。
帰宅した後、さっそくあの抽選に関して調べてみた。
どうやら嘘は無いみたいで国専用ページにしっかりと表示されていた。
さらに全国の47都道府県で同じ抽選を行っているらしい。
ネットでちょっと話題になっていた。
その後も調べてみたがどうやら問題なさそうである。
夜ご飯の時に親に抽選のことを話したところ、ちゃんと調べてくれるようだった。
そして数日後、安全を確認できたようで応募の許可を貰えた。
その翌日に抽選場所に行き、書類を提出した。
担当の人は同じ人で、きちんと調べたか、親にも相談したか確認された。
やっぱりいい人だ。
確認し、相談したことを話、応募書類を提出した。
後は抽選の結果を待つのみだ。
抽選結果が出る当日。ちょっとドキドキしながら家で寛いでいた。
当選者には今日の正午までにゲームセットが届き、そうでなければ後日お知らせが届くらしい。
その時待ちに待った音が鳴った。
そして、冒頭の状況に至るのだった。
「おめでとう。楓姉さん。」
「ありがとう。優君!」
いつもは結構静かなほうなんだけど、今日は結構はしゃいでいるな。
まあ、楽しみだった抽選に当たったのだからしょうがないか。
「あ、私だけ喜んじゃってごめんね」
「いや、いいよ。僕のが当たって先に来てても同じような行動をとったと思うから。気持ちはよくわかるよ」
「大丈夫。来なくてもお姉ちゃんが半分出すからね!」
「うん。ありがとう楓姉さん」
事前に話し合い、片方だけが当選した場合はもう片方の分の代金を2人で出し合って購入する予定でいた。
ただ、市販での発売は1か月後ということだが、2回目の健康診断の結果を確認してから発売したいのだろうか?
まあ、色々理由があるのだろう。
そして、数十分後…。
ピンポーン。
!!
「出てくるね」
そう言い、僕はドキドキしながら玄関へ向かった。
のぞき穴を覗くと箱を持った男の人がたっている。
その箱は姉さんが先ほど見せてくれた包装紙と瓜二つだった。
荷物を受け取り部屋へ戻ると、さっそく確認をした。
包装紙にも書いてあるけど、確認はしたい。
開けてみるとVRMMOゲーム機の箱が出てきた。
「やったね!これで初めから2人でできるね!」
「そうだね。嬉しいよ!」
どちらか1人だけ遊べない状態では存分に楽しめないと思うので、2人とも当選して本当に良かった。
「そういえばβテストはもう終わっていて、正式サービスから開始だっけ?」
「うん。そうみたいだよ」
事前に少しだけ調べていたがどうやらβテストは行われていたらしい。
ただ、プレイ情報などは無く、公式ページにβテストが行われていた記載があっただけなのだが。
「とりあえず、説明書と情報収集か~」
「そうだね。各自で行って後で話し合いましょうか?」
「うん、そうしよう」
「それじゃあ、またあとでね」
そういうと姉さんは自分の部屋へ戻っていった。
さて、説明書から読み始めようかな。
ゲーム機の説明書を読み終わり、次にゲームソフトの説明書を読んでいた。
これはほんとにゲームの説明書なのだろうか?
そう思うほどに内容は短かった。
注意事項として"キャラクターの削除は不可能なこと"。
後はゲーム世界の説明として"開始時のキャラクターの立ち位置"。
それだけ!
ゲーム世界の説明は後で読むとして、キャラクターの削除が不可能なことは注意しないといけないな。
つまり再作成もできないから気を付けて選んでねということだろう。
その他はサービス開始の案内が入っていた。
重要そうな内容は以下の通りだ。
・サービス開始日時
・キャラ作成の開始可能時間。
・ゲームは最高で1日4時間プレイでき、1日分なら時間を溜めておける。
・ゲーム内では現実世界の2倍の時間を過ごすことができる。
一番気になる点は現実世界の2倍の時間が過ごせるという点だ。
1日4時間までプレイ可能でその2倍だから8時間プレイできることになる。
後はプレイ可能時間を溜めておけるのはいいな。
流石に4時間ぴったりで終わるのは無理だろうし、余裕をもって終わると余った時間が勿体なく感じる。
その点溜めておけるのならば勿体なく感じることもなく余裕をもって終われそうだ。
あとは、ネットの情報も見ておこうかな。
まず公式ページを改めてみてみたが、めぼしい情報はなかった。
次に攻略ページやβ版の情報を探してみたけど全くなかった。
これに関してはある程度予想で来ていた。
なにせ同封されていた現在の利用規約に"ゲーム外での不特定多数が閲覧可能な場所での攻略情報の開示の禁止"があったからね。
ということはβテストの時も同じく情報の開示の禁止があったのだろうか?
まあ、その可能性が高いか。
「楓姉さん、なにか情報あった?」
「なかったわね。やっぱり今の規約と同じでβテストの時も情報制限されていたみたいね」
「そうみたいだね。ということは事前情報なしでプレイ開始するしかないか」
「そうね。もし困ったことがあったらお姉ちゃんに相談するのよ?」
「うん。ありがとう楓姉さん」
そうして、僕たちは1週間後のキャラ作成を楽しみに待つことにした。
20140819:修正
字下げをするように修正しました。
誤字を修正しました。
20140810:大幅修正
見直しも兼ねて、大幅に修正を行いました。
表現だけでなく、内容まで変更した箇所に関しましては、18話まで見直し・修正を完了後にまとめようと考えています。