隠しましょう
「呪いの類だニャ」
久々に聞いた美月の笑い声[くすぐったかったのだろう]が聞こえなくなった後出てきた琴花はそう言った。
「ドッペルゲンガーじゃないってことか」
琴花は首を横に振った
「それはまだわかんニャい」
「そうか……」
琴花は何故か美月のハンカチを持って
「じゃあ、探すかニャー」
「俺達も頑張るか」
琴花は首を傾げて
「頑張るのはお前達じゃないニャ、うちが探すのニャ」
「ん? 俺達も探すぞ?」
「いや、お前はいいんだが娘は離れてて欲しいニャ」
美月は少し低い声で
「なんで……ですか?」
琴花は持っていた美月ハンカチを見せて
「匂いが混じるニャ」
「匂い?」
「嗅覚捜索は犬だけの特権じゃないってことニャ」
「….…そうなのか、じゃあ美月は待っててくれ」
美月は無言で頷いた。
「出発だニャ」
そう言って琴花が二足歩行になる「外出る時は二足歩行なんだな」
「外で四足歩行だと目立つからニャ、じゃあ行くニャ」
行こうとした俺の服を美月が掴んだ。
「なんだよ」
「耳とかは大丈夫なの?」
「…………」
「…………」
「ダメだな」
折角なので琴花の服等を買いに行くことにした。
「なんか変な感じだニャ」
俺たちが持って来たのは
尻尾を隠す為に大きめのワンピース、美月が被っている帽子の柄違い、髭はほっておいた。
「きにすんな、似合ってるから」
琴花はくるりと一回りして
「まあ今までの奴よりは動きやすいか……でもいざという時に動けないかニャー」
「じゃあこれ」
美月が持ってきたジャージを下に着た琴花は
「じゃあこれはいらないニャ」
ワンピースを脱ぎ始めた。
「まてまて! 尻尾隠す為にワンピースにしてんだから」
琴花は少し考えて
「海賊にうちはニャる!」
「まさかの知識!?」
某少年漫画っぽいセリフだ
「まあ長く生きてると雑学の一つぐらい覚えるニャ」
「さいですか」
琴花は爪を見せて、目を光らせて
「年齢を聞いたら裂くニャ」
「聞かねぇよ!」
「うるさい……」
美月によって一蹴された。