異変
「美月ー」
散歩中美月を見つけた俺はそう言いながら肩を叩こうとした。
「…………」
ゴス、そんな音が俺の腹の方から聞こえた。
俺の腹に美月の足がめり込んでいる、腹に激痛が走る。
「いってぇ!? なんで!?」
「…………」
美月はうずくまっている俺を気にする様子も無くそのまま歩き出した。
「なに……?」
翌日の散歩中、いつの間にか美月が横に並んでいた。
「み、美月!!」
俺は後ずさりをしながら言った。
美月は怪訝な顔で
「なんで身構える?」
「何でってお前……」
「暇、どっか行こう」
「話聞けよ、てか何で?」
「いいから」
その日は何故か美月に色々な所に連れまわされた。
「いいから」
その一言だけで翌日もその次の日も俺は美月に連れまわされた、まるで監視されているようだ。
そんな日も三日目になった帰り道、俺は美月に聞いた。
「そういや最近そのウエストポーチばっかだな」
「……気のせい」
「何が入ってんだ?」
この三日間美月がウエストポーチから物を取り出すのを見ていない。
「何も無い」
「そんなわけ無いだろ」
そう言って俺がウエストポーチに触ろうとすると美月は驚くほどの早さでウエストポーチを庇った。
「なんなんだ……」
思い切り動かされたウエストポーチの外ポケットから丸い物が飛び出した。
「お前、これ……」
飛び出してきたのは防犯用ペイントボールだった。
言葉を失った俺に向かって美月は
「相談がある」
只一言、そう言った。