不幸と幸福の鳥
「この先の神社にいるニャ」
「ここ……来たことある」
案内されたのは渡神社、美月は腹をさすりながら。
「ここでカラスに襲われてから私がもう一人……」
「なるほど、カラスを従えているのか」
「違うニャ」
琴花により一蹴
「ぺんたちころおやし自体がカラスなんだニャ、一部では不幸の象徴、幸福の象徴とされているカラスだニャ」
「カラス……飛ぶのか」
琴花は首を縦に振った
「今は人間になってるから遅いはずニャ……いつまでもここにいてもしょうがないニャ」
「……だな」
「…………」
美月は黙って頷いた。
神社に入ると琴花の言う通りもう一人の美月が無表情で立っていた。
「…………」
「ぺんたち……えーと、とりあえず美月の生気を取るな」
「しまってない……」
偽美月は敵意を感じたのかこっちを無表情のまま睨んだ。
「ぺんたちころおやしは遅いニャ、人間の走力で余裕だニャ」
「なんだ、楽勝じゃん!」
「まあ、取り押さえるのは簡単だニャ……」
琴花はまた浮かない顔をしていた。
「まあいいか……よっと……あれ?」
約二十秒で捕まえれた。
「さあ、観念しやがれ!」
俺はバットを振り上げた、しかしそこで止まってしまった。
偽物とはいえ相手は美月の姿をしているのだ。
「な……観念……」
「無駄ニャ」
後ろから琴花が来た
「ぺんたちころおやしは密接に繋がった相手、つまり生気を取っている相手にしか殺せ無いニャ」
「なら……」
美月が俺のバットを持った、そのまま振り上げて……固まった。
「う……」
「それでいいニャ」
琴花が静かに、でも確かに聞こえる声で言った。




