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クソガキダンジョン奔走記  作者: 酒粕小僧
チームD-アニマルズ結成

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ダンジョン内のホラー要素

 燐や須藤、奏はそれぞれ、承の指導の元それぞれ訓練を仕上げ最後の実践訓練に挑もうとしていた。


 最後の実践訓練はパーティで前回、奏が挑戦した『屍の館』を挑戦する事になった。


「わぁ、ここに来るのは管理局に所属してから久しぶりですね」


 須藤は管理局に入る前に何回か来たことのあるダンジョンだった。


「僕は日本で三番目に怖いダンジョンって聞いた事があるくらいかなぁ」


 燐はダンジョンの評判だけは知っている。


「やっぱり、ここかー」


 奏はパーティでの最終訓練と聞き予想はしていた。


「まぁ、二人S級がいるんだ。前回よりはマシだろ」


「君はそのS級二人よりヤバいんだけど、B級ダンジョンくらい楽に進めないとね」


「ちなみに獣人を想定した実践だから、燐は【感知】での索敵は禁止でいく」


「その言い方だと動作感知の方は使っていいんだね」


 燐は二割ほどではあるが動作感知を使えるようになった。


「基本的に須藤さんと奏の【感知】頼りになる」


「責任重大ですね」


「というか、佳奈ちゃんここ昔に何回か来てるからボスへの行き方知ってるよね」


 須藤は奏の言う通り何回かこのダンジョンに入っている為、その勝手も知っている。


「ここの『屍の館』は他のダンジョンとは違い特殊でボス部屋に入るには、館のどこかにある鍵を探さないといけないんですよね」


「その場所分からないの?」


「完全にランダムで怪物が所持してる時もあります」


 須藤はここのダンジョンはランダム要素が強い事を知っており、運が悪いと鍵がなかなか見つからないのとここにはダンジョン内の滞在時間が一定時間より過ぎると何度倒してもしばらく経つと復活して起き上がる包丁を持った古びた子供人形の怪物『カースドール』が現れる。


 その『カースドール』が出て来る滞在時間も完全にランダムなのである。


「ここに出て来る『カースドール』は何度も起き上がって来るという意味ではここのボスより厄介です」


「その『カースドール』だが、倒せないわけじゃない。倒し方が少し特殊な怪物なんだ」


 承は『カースドール』の倒し方を知っている。


「アレ倒せるんですか?」


「『カースドール』は攻撃で動きを止めた後に歌うと眠る。これが『カースドール』の倒し方だ。ちなみに真那華の検証だと歌に対する人形の満足度によって落とす素材が変わるらしい」


 ちなみに真那華はいつもゴミのような素材ばかりなので毎回不機嫌になっていた。


「素材が変わるねー」


 その承の言葉を聞き、燐は奏の方を見る。


「なんで、こっち見るのよ。悪いけど奏の歌は有料なんだからね!」


 奏はアイドルをやってるだけあって歌は上手いのである。


「そもそも出現するか分からない相手だ。出てもあまり期待しない事だな。俺も真那華が素材と言えるのかさえ怪しいゴミを出してるところしか見た事ないから、これに関しては真那華が言ってる事が正しいのかさえ怪しい所があるからな」


 いつもは真那華の事を信頼している承だが、これに関しては疑いの方が大きい。


「まぁ、出たら出たでその時は奏ちゃんが歌うよ」


「なんで、奏が歌う事が確定してるの?」


「だって、高校時代の時だけど僕が歌おうとすると皆部屋から出て行くくらい歌うの下手なんだよね。もし、歌わないと言うなら僕が歌うのもやぶさかではないかな。歌うのは好きだからさ」


 黒鉄燐は弩級の音痴であり、某国民的アニメのガキ大将もしくは某国民的アニメの少年名探偵並かそれ以上に歌わせたらヤバいのだ。


 ついでに言うと潤も燐と同じくらいの音痴であるが、燐と違い潤は歌うのは好きではない。


「そうだ!師匠が歌えばいいじゃん!」


「歌うのはいいが、俺が歌えるのは真那華が好きな奴だけだからな」


 承は真那華がよく流してる音楽しか知らないのである。


「ちなみにマナは何が好きなの?」


「今も昔もモンマジだな。特にモンマジのカナダ人のボーカルをしている兄の方のファンだ。真那華にとってモンマジは地元の英雄的なバンドだからな」 


「猿好きすぎじゃない!?モンマジは奏も好きだけど奏は弟の方かなー」


 奏は承が知ってる歌という事でマナの好きな歌手が気になったが、真那華の好みはやはり猿関係だった。


「とりあえず、誰が歌うかは出た時に考えればいいだろ。それじゃあいくぞ」


 承達はダンジョンに入るとそこは前回と違うところから出た。


「ここ、前と違くない?」


「このダンジョンは内部構造は同じなんですがスタート位置とボス部屋含む部屋の位置が日ごとに変わるんですよ。そういうのもあるので、ホラーを専門にする配信者に人気なんです」


「ほんとーにランダム要素強いんだね」


「僕はこういうダンジョンにはまったく興味がなかったから逆に新鮮だよ」


 ランダム要素にうんざりしてる奏とは逆に燐は楽しそうである。


「そこの廊下の角で角待ちしてるのが四体・・・・・・その奥に三体いるっぽいね」


 奏は早速、感知を使い相手の位置を探る。


 今回は前回と違い『陽光水晶』ではなくただの『輝石』でマッチの火くらいの明るさしかないため、前回は明るいために寄って来なかったレイス系も現れる。


 レイス系は魔法系統の攻撃でしか倒せない為、物理系のアタッカーの天敵である。


 そういう事もあり、レイス系の怪物がいるダンジョンはC級以上の潜行者しか入れず、レイス系が出るところは、注意書きが置いてあるところが多い。


「まずは角待ちしてる奴等を何とかしよう。奥の奴等と混戦にならないよう注意を払いながらね」


 燐は指示を出し角を曲がったところにいたゾンビ一体を排除、残り三体は奏の幻魔法によって動きが止められ、ただの的ととなった三体は須藤の射る弓と燐の斬撃で倒され、奥にいる三体のレイスは物理攻撃が効かないため、奏の【聖気】で生み出された数本のナイフで消滅した。


「流石にレイス系は僕も手に負えないからね。助かったよ」


「今のが【聖気】で作られた武器ですか?」


「これで少しはパーティに貢献出来るようになったというわけよ」


 奏は既に円環による【聖気】の力に慣れてきたのは飛行訓練の影響が大きい。


 翼とは本来、人に備えられたものではない為、最初は動かすだけでも一苦労だったが、何度も練習し長時間、翼を出していた為、【聖気】の力が強まっていたのだ。


 奏と須藤の【感知】により、周囲を警戒し燐が指示を出し、先へ進んでいく。


「ちなみにここのボスをレアエネミーに変える条件って何なんだい?」


「言ってませんでしたが、ボス部屋の鍵は二種類あって、それが剣のような鍵だったらデュラハンです。それは既にダンジョンに入った瞬間に決まるので完全に運要素ですね。当たった事はありませんが」


 須藤は何回かこのダンジョンに挑んでるが、デュラハンの鍵に当たった事はない。


「鍵の場所って【感知】出来ないかなぁ」


 ふと奏がそんな事を言い出す。


「承さん、それは可能なんですか?」


「その鍵がその辺の素材と同じなら分からないが、何か他と違う魔力があるのなら魔力感知でも見つけられるかもしれないな」


 須藤の質問に承は答えるが、そんな甘くはないだろうと思っている。


「あー、やっぱり無理かー。そんな魔力一切感じないよ。そんな甘くないよね」 


 実際に奏はやってみたが特に変わったものを感じる事が出来なかった。


「でも、なんか小さい気配がこっちに来てる?」


「それ『カースドール』です!!」


 奏が感じ取った気配は須藤が話していた人形の怪物だった。


「小さくてすばしっこいので攻撃がなかなか当てられない厄介な怪物です」


「動かなくなった後に歌えばいいんだっけ?奏ちゃんが」


「だから、なんで奏が歌う事になってんの?」


 三人はそれぞれ近付いてくる『カースドール』を倒す方向に話を進めている。


「こいつ、小さいくせに移動速度早くない?」


【感知】で魔力を常に感じている奏が『カースドール』の移動速度に驚いていると遂にその姿が見える。


 体長約二十センチほどの子供の姿をした不気味な人形が両手で包丁を持って後ろから来ている。


「こっわ!!マジでホラーじゃん!改めて思うけどやっぱりホラーダンジョンだね。ここ」


「よかったじゃないか、次の配信で使えるネタが増えて」


「良くないわよ!!前方にゾンビ三体レイス一体いるわ!」


 燐達は『カースドール』から逃げながら話しており、奏はしっかり前方から来る怪物にも対応していた。


「流石にアレを相手してたら、追いつかれるね」


「仕方ないですね【模倣(コピー)】」


「お、佳奈ちゃん、やる気満々じゃないか」


 何故か三本持ってきていた燐の剣の一本を須藤に渡す。


「まったく、元からそのつもりで三本持って来てましたよね」


 須藤が【模倣(コピー)】したのは燐の【剣術】であった。


 須藤と燐が前方から来るゾンビ三体を片付け、奏がレイス一体に数本のナイフを投げ対処すると既に真後ろには『カースドール』がやって来ていた。


 燐と須藤は剣を構え、奏は数本のナイフを両手に持っている。


『カースドール』は飛び跳ね須藤を狙って来るがその包丁は簡単に須藤に弾かれる。


 しかし、『カースドール』は身軽なためすぐに体勢を立て直すと再び須藤を狙う。


「こいつとは何度かやり合った事はありますが本当にしつこいんですよ」


 須藤は再び『カースドール』を弾き返すがすぐに起き上がり須藤を狙う。


「こいつは基本的に一人に絞って狙って来ます。なので、私が弾き返したらそこを叩いてください!」


 執拗に須藤を狙う『カースドール』を須藤が弾き返す。


「任せて!」


 燐は須藤が弾き飛ばした『カースドール』が起き上がった瞬間に切り掛かる。


「こいつ!!」


『カースドール』は燐の斬撃を包丁で受け止め地面を転がり体勢を立て直し、須藤をまた狙う。


 そして、この『カースドール』はもっと厄介なところがある。


「やっと当たった」


 燐はようやく攻撃を当てると『カースドール』は甲高い声とも呼べない叫びをあげる。


「あ、これ、まずいかも」


「どうした?」


「今のでこいつ、近くにいる怪物呼び寄せたよ」


「そんな事までして来るのかい?」


『カースドール』は攻撃が当たると近くのアンデットやレイスを寄せ集める事をする。


「久々過ぎて忘れてました。こいつ集団で挑むと確定で攻撃されると近くのアンデット達を呼び寄せます」


 須藤も久々のダンジョンだったので、忘れていた。


「でも、この近くは結構倒したから大した数ではないよ」


 奏が感知した感じだと六体くらいしか集まって来ていない。


「それに半分以上レイスだし」


『カースドール』は須藤が抑えてるので燐はアンデットを奏はレイスをそれぞれ倒す。


 その様子を見ていた『カースドール』は地団駄を踏み、狙いを奏に切り替えた。


「え?ちょっ!?」


 須藤を狙っていたと思った奏はギリギリで攻撃を避ける。


「こいつ一人しか狙わないんじゃなかったのー!」


 突然の『カースドール』の攻撃に館内ではあるが奏は空中に飛び上がった。


『カースドール』は空中に飛び上がってる奏を狙い何度も跳んでるが、飛んでる奏には届かない。


「極々稀にターゲットを変える時があるみたいですが、今回がその極々稀に当たったみたいですね」


「嬉しくないから、そんなのに当たっても。もう、怒った、奏の幻術をくらえー!【イリュージョン】」


 奏は相手を混乱させる幻術を見せる。


「今だよ!」


「分かった!」


 混乱して動きがクラクラしている『カースドール』を燐が連続で攻撃すると『カースドール』は動かなくなる。


「よし、あとは歌うだけだけど」


 須藤と燐は地上に降りた奏に視線を向ける。


「な、なによ!そんなに奏に歌って欲しいわけ?」


「まぁ、ここはプロに任せた方がいいと思いますし」


「そうだね。ここは一番上手い人が行くべきだよ」


 須藤と燐は奏に歌わせるつもりであった。


「・・・・・・また、起き上がられても面倒だし、仕方ないから歌うわ。歌う歌は勝手に選ぶから文句言わないでね。・・・・・・誕生日を迎える度に〜♪」


 そういうと奏は歌い始める。


 それは中学生の頃に両親と進路の事で大喧嘩をした時にふと聞いたラジオから流れて来た音楽だった。


 昔の歌の特集をやっていて、その歌を聞いて元気をもらったのだけは今でもはっきり覚えている。


 確かに回復スキルがあれば将来の安泰は約束されている。


 しかし、それはスキルに人生を選ばされてるみたいで嫌だった。


 それと同時にそれは本当に面白いと思えるのが疑問だった。


 だからこそ、潜行者になって【応援(エール)】を活かし皆を応援したいと思った。


 だからこそ、バフ系アイドル配信者になった。


 誰に何を言われようとこの道だけは曲げない。


 それが源奏なら生き方だった。

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