疾走する自転車は今日もどこかで
それでは、次のお便りです。
ラジオネーム、狂ったように歌いながら疾走する自転車さん。
私の最近のマイブームは、自転車で通勤することです。運動不足解消のため何年かぶりに自転車に乗り、今ではすっかりその魅力に取り憑かれてしまったようです。
特にこの時期の、吐く息も白く、指先や耳のかじかむほどの空気の中で感じる朝が、とても好きです。ペダルを踏み込み、冷たい空気をきって走るあの感覚は、何故あんなにも気持ち良いのでしょうか。あの朝の空気を吸い込むと、自分の内側がまっさらになるような、清々しさがあります。同僚たちには驚かれますが、最近の楽しみのひとつです。
先日も、いつもの道を走っていました。途中、長い直線の遠く向こうのほうから、一台の自転車が猛スピードでこちらにやってくるのが見えました。道の端に寄りながら、あの人はなぜあんなに急ぐのだろうと、ぼんやり疑問に思いました。制服を着ており、中学生か高校生が、遅刻でもしそうなのだろうと、想像してみます。そうして、すれ違うほどに近づいてようやく、その学生が大声で歌をうたっていることに気が付きました。
車道の音もあり、すれ違ったために、ほんの数秒のことでした。何の歌だったのかも分かりませんが、驚きに思わず振り返ってしまうくらいの、勢いがありました。私の中にはないエネルギーがそこにはあったのです。思いがけず圧倒された自分に可笑しさを感じ、笑ってしまいました。
真似できないと思うと同時に、人目を気にせずあんなことができたら、さぞ気持ちがいいだろうと、羨ましさも感じます。
振り返ってみれば、私も学生時代、鼻歌をうたいながら歩いていた覚えがあります。私はいつから、周囲の目をこんなにも気にして生きるようになったのでしょうか。歳を重ね、できるようになったこともあれば、できなくなったこともあるのだと、しみじみ思います。いつか試してみようと、こっそり心に決めてみます。
通勤路には、小さなや発見があちこちに落ちています。それらを拾い集めるために、私の自転車通勤はしばらく続くだろうと思います。




