巨人伝説 巨人の遺骨
南極の女王はネノクニの巨人伝説を語り始める
「一万二千年前の約束を果たしに、巨人族が帰って来た」秘密結社フランボワーズの47階梯の〈南極の女王〉は古代の歴史の記憶を思い出してつぶやいた。そして、薔薇色の地底世界<ネノクニ>へのGATEが開く。<ネノクニ>の巨大地底都市には巨人の遺骨が無数に広がっていた。〈南極の女王〉はネノクニの巨人伝説を語り始める。
秘密結社フランボワーズの47階梯の〈南極の女王〉は薔薇色の地底世界<ネノクニ>の巨大地底都市の上空に到着した。
総勢百名規模の葉巻型中型宇宙船の操縦席の全天モニターには、その都市の至る所に巨人の遺骨が無数に広がっている光景が映っていた。
「一万二千年前に、天界の天使たちと巨人族は私達の地上世界を守るために、この<ネノクニ>で地獄界の魔天使との壮絶な戦いをした。そして、魔天使をこの<ネノクニ>に何とか封印した。その時、人間界の代表だった私のご先祖様が約束したのよ」
「それはどういう?」
火星移住計画を実行した中国人起業家のウーロン・マスクは女王の訊ねた。
「今は人類は無力だが、一万二千年後にこの封印が解ける時に、あなた達と共に戦うと」
南極の中央に開いた直径100キロメートルの大穴のGATEは巨人族との約定により一万二千年後に開き、今、再び、地獄界の魔天使達との戦いが始まろうとしていた。
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「……という訳だから、メガネ君、分かった?」
天界の大天使ガブリエルの声音で、何か思念波通信が聞こえたけど、何かの間違いだろうとメガネは思った。
なるほど、南極の女王の葉巻型中型宇宙船の操縦席に盗聴器を仕掛けてあるらしい。
流石、天界の諜報部隊を指揮してる大天使ガブリエルである。
「俺の部下もね、天軍左翼の<ネノクニ>殴り込み艦隊の斬り込み隊長をどうしてもやりたいと志願して来たけど、とても名誉な事だしね、メガネ君がどうしれもやりたい様なので、涙をのんで辞退してもらったよ」
そんな事を言った覚えがないんだが、天界の大天使ウリエルの声まで聞こえるけど、たぶん、空耳だろう。
「もし、仮に、メガネ君の身体が吹っ飛んでも、僕の再生魔法で魂の残留思念さえあれば、完全再生可能だから安心して欲しい」
この声はふだんは優しいエメラルドの髪の大天使ラファエルさんだと思うけど、何かえげつないこと言ってるよ。
天界の医療魔法も凄いんだな。
たぶん、夢か何かだろうけど。
「下半身が吹っ飛ぶと、ちょっと痛いけど、一瞬だし意外と大丈夫だよ。メガネ」
これは転生した真田幸村の声か。
「俺の場合、頭をやられたので、気が付いたら再生してたので、安心したよ」
あ、一万二千年前に栄えたムーア王国の魔導騎士団の隊長のコーシ・ムーンサイトさんの幻聴も聞こえた。
それはあくまで個人の感想だよね。
「メガネ君、あなたの全長20メートルの人型機動兵器のボトムストライカーのまま、コクピットにドッキング出来て、思念波操縦可能な特別製の天翼の騎士も用意してあるわ。至れり尽くせりの素晴らしい青色の棺桶、……いや、違った。あれじゃん、結婚もしてないから、遺族補償は飼い猫のむーたんに付けとくし、安心だね」
天界の大天使長ミカエルこと、システィーナさんが天然で言ってるんだろうけど、何か動揺して酷いこと言ってるな。
むーたんは長生き出来そうで安心だな。
いや、違うだろ。
ちなみに、天翼の騎士とは天界の技術の粋集めた全長300メートルの素敵な棺桶、じゃなくて、天使型機動決戦兵器である。
確かに、人類でありながら、それに乗れるのは大変、名誉なことではある。
「分かりましたよ。その青い素敵な※※(自主規制)の天翼の騎士を送って下さい!」
メガネは観念したようである。
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「淡い薔薇色の光を放ってる、あの卵みたいな物が<ルシファーの卵>とやらか」
メガネは目の前でポップコーンのように弾けて増えていく、薔薇色の光の魔天使の自己増殖型生体兵器<ルシファーの卵>〉を見ていた。
「ということで、天軍全軍、巨人族との協力して、<ルシファーの卵>の殲滅戦に入る!」
大天使長ミカエルの大号令で、四大天使のガブリエル、ウリエル、ラファエルの四軍約五十万天が<ネノクニ>に突入していく。
戦闘艦の流線形のソードシップや天翼の騎士が反重力カタパルトを次々に飛び立っていく。
メガネ達と人類の戦艦もその戦いに身を投じて行った。
お題で執筆!! 短編創作フェス参加作品 第六回お題「骨」