表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

水晶の夜 天蓋《てんがい》

人類が火星に向かう聖夜

2040年のクリスマスの日、米国で生まれた中国人起業家ウーロン・マスク氏はついに念願だった火星移住計画の夜を迎えた。地球温暖化が進んだ地球からの第一次火星移住宇宙船団の六十億人は人類の希望を乗せて火星へと飛び立った。順調に思えた旅路は突然の異変に襲われる。その真相は……。デストピア近未来SFのフラットアースシリーズ第一弾!

 2040年12月25日のクリスマスの聖夜。

 米国で生まれた中国人起業家ウーロン・マスク氏はついに念願だった火星移住計画の夜を迎えた。

 温暖化が進んだ地球の米国では真夏の気温は六十度を超える日も多く、彼が開発したロボットスーツを装着しないと生命の危機に(さら)されるような事態になっていた。

 冬はというと、氷河期かと思われるような氷点下七十度以下の日々が続くことが多発していた。

 元々、極寒の地に住むイヌイットなどは氷点下七十度でも、アザラシの皮の屋根のテントや氷の家を造り、アザラシの油などで暖を取って氷点下二十度で生きる術を持っていた。

 彼らの移住地では更に寒冷化が進んで人口が減少した温帯地方に南下していた。


 そこで人類は生命の危機が迫ってる地球を捨てて、六十億人が火星に移住する計画を立てた。

 火星は最高気温20℃、最低気温-140℃であるが、マスク氏の開発した衛星太陽光発電ユニットと衛星軌道上から送電可能なマイクロ波送電システムによって、問題なく火星移住ドームを24時間温める事ができた。

 衛星太陽光発電ユニットと火星移住ドームは共に、火星移住先遣隊の数千人の人類とマスク氏開発のAI自動工作ロボットによって既に完成していた。

 後は人類が移住するための巨大移住宇宙船群の製作だけだったが、米国内のAI自動運営の巨大工場(ギガファクトリー)のお陰で、わずか一年間で六十億人が乗れる宇宙船を揃えることが出来た。


 そして、ついに12月25日の米国時間の二十一時に、第一次火星移住宇宙船団は人類六十億人を乗せて希望と共に火星へと飛び立った。

 宇宙船団は葉巻型の巨大宇宙船が多かったが、中にはいわゆる未確認飛行物体UFO(Unidentified Flying Object)的な円盤状の小型宇宙船もあった。

 大気圏内では特殊な周波数の音波を組み合わせた<|超音波浮遊反重力《Harmonic Antigravity》システム>でゆっくりと上昇していく。

 米軍基地のエリア58で不時着した未確認空中現象UAP(Unidentified Aerial Phenomenon)あるいはUFOからヒントを得てマスク氏が開発したという。

 しばらくは、最初の数分間は順調な上昇が続いていた。


 異変が現れたのは地上から百キロメートル付近だった。

 宇宙船の上部が何かに接触して、水しぶきの様な物が発生したのだ。

 先発隊の葉巻型宇宙船の様子を後発の宇宙船が赤外線カメラに捉えて、ウーロン・マスク氏のいる火星移民船団管制塔の巨大天井モニターに映し出していた。


「ジーザス……まさか、これが水の天蓋(てんがい)なのか! これ以上の上昇は不可能かもしれない」


 そう、叫んだのはウーロン・マスク氏ではなかった。

 何も知らない火星移民船団管制塔のチーフディレクターのイワン・コロナフエフ管制長官だった。


「ウーロン! このままでは超水圧で火星移住宇宙船団の宇宙船は空中分解しかねない。AI自動操縦をオフにして……」


 振り返ったイワンはその光景に言葉を失った。

 ウーロン・マスクは会心の笑みを浮かべて、モニターを歓喜の表情で見つめていた。

 それはまるで地獄(ゲヘナ)大魔王(サタン)のように見えた。

 彼は何となく全てを悟った。

 地球平面説(フラットアース)は本当だったのだ。

 地上から百キロメートル付近に、謎の水で出来た天蓋(てんがい)ドームがあり、人類はそこから先には行けないと地球平面主義者(フラットアーサー)の陰謀論者が言っていた。

 少なくともマスクはそれを知っていた。


 次の瞬間、先発隊の葉巻型宇宙船は氷結して粉々に砕け散った。

 次々と後発の宇宙船が水の天蓋(てんがい)に突入して、何かに触れて一瞬で氷結して爆散していく。

 あまりの光景にイワンは沈黙してそれを茫然と眺めるしかなかった。

 それはまるで、無数の美しい雪が夜空に舞い散っているように見えた。

 約六十億人の人類の命が一瞬で失われた夜。

 それは後に、<水晶の夜>と呼ばれることになる。

お題で執筆!! 短編創作フェス参加作品 第二回お題「雪」


お題で執筆!! 短編創作フェス スケジュール


第1回

・お題発表:2024年12月16日(月)12:00

・応募期間:2024年12月16日(月)12:00~2024年12月23日(月)11:59


第2回

・お題発表:2024年12月23日(月)12:00

・応募期間:2024年12月23日(月)12:00~2024年12月30日(月)11:59


第3回

・お題発表:2024年12月30日(月)12:00

・応募期間:2024年12月30日(月)12:00~2025年1月6日(月)11:59


第4回

・お題発表:2025年1月6日(月)12:00

・応募期間:2025年1月6日(月)12:00~2025年1月13日(月)11:59


第5回

・お題発表:2025年1月13日(月)12:00

・応募期間:2025年1月13日(月)12:00~2025年1月20日(月)11:59


第6回

・お題発表:2025年1月20日(月)12:00

・応募期間:2025年1月20日(月)12:00~2025年1月27日(月)11:59


第7回

・お題発表:2025年1月27日(月)12:00

・応募期間:2025年1月27日(月)12:00~2025年2月3日(月)11:59

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ