プロロー まあ死ぬだろう
人間である以上は人間を演じないといけない。人間でないといけない。そう思って生きてきた。だから、今まさに死のうとなっても別に。
「なんだ?このおっさん。ぼーとしやがって、いい御身分だなぁ!いい歳してそんなんだからこんなところにいるんだよ!おい!」
殴る蹴るの暴行は、殺人は法で裁かれる。つまり、眼の前の人物は人なのだろう。裁かれることができるのであるから。
眠るように死にたいと願うのも人間なのだろうか。いや、痛みを嫌がるのは生物共通だから人間の特徴ではない。つまり、これだけでは私は名実ともに人間であるとはいえない。
すでに空は黒くなり、雲の白さも今は見えない。星々が夥しく散らばっているだけだ。
おそらく、死んだだろう。
私は空を浮いていた。
青々とした空に雲がぽつぽつと立っている。
そんな雲が集まり人形を作った。白い雲が集まったのだから、よほど白いのだろう。
星々は集まらなかった。よほど、バラバラしているのであろう。
雲から小さな欠片が飛び出た。そこには一匹の人間が見えた。
星々は欠けなかった。よほど、輝いているのだろう。
そして、山に落ちた。そこは、よほどごわごわしていた。