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都会のビックフット  作者: もずく酢2022号
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『–目撃– 噂をすれば影あり』

『–目撃– 噂をすれば影あり』


 傘を持たず外に出たが、今にも振り出しそうな空模様を見上げて私は少し後悔した。

 本格的に降り始める前に用事が済ませられることを願いながら薄暗い夜道を駆け出した。

 私が息を切らせながら到着したコンビニで手短に用事を済ませたところで、小さな雨粒がパラパラと降り始めて来てしまった。

 思わず見上げた曇天の先でゴロゴロと空が雷鳴を立て始めていた。

 これはびしょ濡れになる覚悟をしといた方が良さそうだなと思いつつ、私は帰り道を急いだ。

 ––––––ガタン。

「・・・・・・?」

 不意に通り掛かった街路地の方から妙な物音がした。

 ゴミ箱でも倒れたのだろうか?

 私は立ち止まり、音のした方向を覗き込んだ。

「・・・・・・!」

 咄嗟に態度へ出た訳ではないが、確実に心臓の心拍数が増していくのを感じた。

 じわりと冷や汗が滲み出るような緊張感が全身に広がっていった。

 私は限界まで目を大きく見開きながら、さっきのチャットでの会話内容を思い出していた。

 あの陳腐なSF特番の中でも極めつけに下らなかった『ビックフット』のビデオ映像を思い出しながら、私はそれがどれだけ平和的な話であったのかを心底思い知らされていた。

 二メートルを優に超える体格の、猿人や原始人が図鑑から飛び出したかのような毛深く巨大な人影がそこに佇んでいた。

 その巨大で毛むくじゃらな人影も私の方に気付いたようで、生物らしい滑らかでゆっくりとした動きでこちらへ顔を向けた。

 薄暗い曇り空の下。

 雲間から僅かに零れ落ちる月明りも届かぬ街路地の影の中で、その『怪物』の巨大な(まなこ)を爛々と輝かせていた。

「・・・・・・ッ!!」

 そこが限界だった。

 私は耐えきれぬ恐怖心に掻き立てられて、悲鳴を上げる間もなくその場から全力疾走で逃げ出した。

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