表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/86

あなたの花言葉だけ。

兄の愛した顔も知らない大切なあなたへ。

私が知っているのは


義姉さん。



初めまして。


初対面で『義姉さん』は失礼かも知れませんが、いつか会う日が来たらこう呼びたいとずっと思っていたので許して貰えないでしょうか。


挨拶が遅くなってすみません。


スノークの弟、イリスと申します。


少しだけ私の話をさせて下さい。


私はある人に返しきれない恩があります。


その人は私のために自分の幸せを捨てたんです。


私の幸せを1番に願い、1番に守ってくれました。


それは今から何十年も前の話になります。


どれほど昔のことであっても私はその恩を、思いを、決して忘れることはありませんでした。


そして、私の幸せを1番に願ってくれたその人に、


その人と別れた瞬間から、必ず幸せになった私で再会すると決めていました。


『その人』とはお気付きかもしれませんが、


貴方の夫であるスノークです。



兄さんは私の幸せを願い、


自分を殺したんです。



私のせいで兄さんは自分を殺し、


そして幸せを捨てた。



そう思っていました。



けれど。


そんな兄さんが、想い人であった貴方と結ばれていること。


大切な娘達もいること。


たくさんの幸せに包まれ過ごせていたこと。




それを知った時すごく嬉しかった。


ただただ嬉しかった。


…本当にそれだけでした。





義姉さん。


貴方のおかげです。


兄さんのこと、そして、サルビア家のこと。


ありがとうございます。



私自身、兄さんと義姉さんが亡くなっていたことを聞いたのとほとんど同じくして、


兄さんと義姉さんの娘のユリが亡くなったことを知りました。



ユリ。


私にとって姪。


会うことは出来ず、2人の元へ旅立ってしまいました。


私がそこへ行くまで会えないのがとても残念でなりません。


もう1人の姪。下の娘である、


ベラとは先程初めてお会いました。


10歳とは思えないほどしっかりしており、家族を亡くしたとは思えないほど逞しい。


さすが、兄さんと義姉さんの子供。


義姉さんの顔は見たことないのですが、きっととても美しかったのでしょう。


兄さんは美人な人をよく目で追ってましたから。


美しさ、強さ、気高さ、2人を感じる容姿に、


ここだけの話、顔を見た瞬間、少し泣きそうになりました。


義姉さんとも直接話してみたかったな。


確か義姉さんは私と同じ年齢だと聞きました。


根拠は全くないけれど、なんとなく気が合う気がします。


だって、お互い兄さんを大切に思っているんですから。


私がそこへ行った時、


もしくは、今度の人生でお会いした時、


恩返しをさせて下さい。


そして私のたった1人の大切な兄さんを、幸せにするために力を貸してほしい。


義姉さんには感謝してもしきれません。


本当にありがとうございます。


長々と話してしまいすみません。


ベラのこと、心配されていると思います。


恩返しには足りないですが、私がベラが公爵を継げるようになるまで。


もしくは彼女にしたいことが出来た時、公爵家を継ぎ守り続けることに、


これからの生涯を、捧げると誓います。



義姉さん。


兄さんと。


そしてユリと。



安らかにお過ごしください。


イリスのために自分を殺したスノークを幸せにしたのは、ラン。そして2人の宝物であるユリとベラ。

ある種の罪悪感に苛まれることもあったイリスは、スノークが幸せだったと知って、嬉しい気持ちだけだったと言っていますが。


本当は、幸せな兄の姿を直接見たかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ