永遠の友情
この日の夜。
私はすぐにでも殿下の探しているご令嬢を見つけるべく、資料室に向かった。
『強く美しいご令嬢』。
とても抽象的だが、殿下が美しいと思われるということは相当の美人ということだろう。
陛下や王妃様は、他の者より一際端麗であるため、殿下の目は肥えている。
そんな殿下が社交辞令ではなく心から美しいと仰っていたのだ。
きっとそんなご令嬢はあの一家の方しかいないのだが、
『強い』
とはどういう意味だろうか。
とりあえず妃教育に来ている御令嬢の成績が記されている書類を確認した。
するとおそらくそうだろうと思っていた方が、
全ての項目に置いて、群を抜いた成績を納めていた。
殿下の仰っていた強さとは、
剣術などの強さではないのだろうが、
殿下の探している『強く美しいご令嬢』とは、
この方だ。と確信した。
―
次の日。
昨夜言われた通り、朝飲み物は用意せずに殿下の元へ伺った。
あるご令嬢のファイルを持って。
おはようございます、と挨拶をすると、
「あぁ、おはよう。」
と返事が聞こえた。
美しい笑顔だった。
起きてすぐに声を聞くのは初めてである。
声が出ると言うことは、悪夢を見なかったということだ。
感動で泣きそうになる。
あの辛い日々から抜け出したのだと、
声を聞き、
そして
瞳を見ればすぐにわかった。
もう昨日までの暗い色はしていなかった。
必死に涙を抑えながら、お召し物を用意し、
今日の予定を告げる。
そして最後に、
「殿下の探しているご令嬢の検討がつきました。」
と付け足す。
殿下はそれが1番気になっていたのか、頬を赤くし、少し動揺していた。
無論、殆ど態度には出ていないが。
「あ、あぁ。ありがとう。…だが、随分と早いな?」
「執事として主の命が最優先ですので。」
(3割くらいはただただ「気になった」という理由だが。)
「こちらの方でお間違い無いでしょうか?」
持っていたファイルを渡す。
殿下は少し緊張した面持ちでファイルを開く。
見た瞬間、表情を緩めた。
そして一言。その方の名前を口にした。
「………ベラ・サルビア。」
ラダは殿下に仕えるようになって、殿下の努力を知り、殿下の心情を汲み取ろうと頑張るうちに、いつの間にか恐ろしいほどの察しの良さを身につけた努力家。
ジオラスは普段、後継者教育によって感情を出すことはありませんが、こんなに表情豊かに見えるのは察しのいいラダ目線だからです。
ジオラスは「出来損ない王子」と言われているけれど、他の貴族達が努力に気づいてないだけで、ジオラス自身、教育を受ける前は感情をしっかり表に出していたので、努力によって身につけたものです。
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ようやく!
ジオラスにベラの名前を呼んでもらえました!!笑
長い!笑




