あなたは完璧
「……なんだって?」
耳では執事の報告を聞き、目では別の書類を見つめ、手はペンを走らせるジオラスは、とても人間の為せるとは思えない程の同時並行をピタリ、と止めた。
執事はあくまで冷静にもう一度、
「ですから今日はこの後10時から騎士団との…」
「会議。15時にクソつまらん貴族達の腹の探り合いという名の茶会。そのあとは書類整理だろ?」
心の声が出ているが、本当に聞いていた事からジオラスの完璧さが伺える。
しかし1つ抜けている。
それが聞き漏らすことのない完璧な彼の聞き返した理由だろう。
「その後だ、ラダ。なんて言った。」
本当は聞こえており、
信じられない。
信じたくない。
という思いが、顔に出ている。
さっきまで涼しい顔で書類を捌いていたとは思えない、視線だけで人を殺せそうな程険しい顔をしている。
執事はこうなると分かっていたが、出来ればもう1度言うことは避けたかった。
執事だって思っている。
自分だって書類を見た時信じられなかった。
あんなに2人はお互いを想い合っていたはずなのに、と。
もう1度言うことは憚られるが、我が主にしっかりお伝えしなければならない。
執事は重い口を開く。
「……サルビア公爵家から婚約破棄を旨とする書類が届きました。」
展開、急降下ジェットコースターです笑
次はまさかの(?)人物目線です。




