1・姉の交流
読みずらい部分があるかもしれません。
お姉ちゃんが亡くなってから、3日が経った。その間、私はずっと警察の方と話をしていた。
_3日前
『お姉さんが殺害された理由に、心当たりはあるかな?』
『…ありません』
『そうなんだね。では、お姉さんはどんな人だったのかな?』
『…優しい人でした。』
『そっか。2人で暮らしてたんだよね?ご両親はどうしたのかな?連絡が取れないんだ』
『…知りません』
『…今日はここまでにしようか。』
『……』
『さあ、もう帰っていいよ』
_2日前
『君やお姉さんの友人からの話を聞く限りだと、とても優しい人だったんだね。人から恨まれるようなことはしていないようだったよ』
『…そうですか』
『だれか、君のお姉さんと関わりの深い人はいたかな?』
『…はい』
『誰かな』
『……』
『ゆっくりでいいよ。それとも思い出せないかな?』
『…また、今度でもいいですか』
『…いいよ。じゃあ、今日はもうおしまい。帰って大丈夫だよ』
_1日前
『さて、じゃあ昨日言ってた人たちの話を聞いてもいいかい?』
『…数人、います』
1人目、加賀義信。彼は姉の仕事場での先輩にあたる。年齢にたいした差はないが、入社時期が早かったこともあり、姉は「加賀先輩」と呼んでいた。
2人目、今井花。彼女は姉の中学時代からの友人だ。姉とは違って、好奇心旺盛で活発な女性だ。以前会った時、とても親切にしてもらった覚えがある。
3人目、広河未来。彼とは何度もあったことがある。おそらく姉と交際をしていた。妹の私にも優しくしてくれて、姉のことをとても大事に思っていた。
『…と、主に3人です。』
『3人か…。主にってことは他にもいるってこと?』
『…交流をしていた人は、他にもいると思います。私が特に覚えている人はこの3人だけです。』
『そっか。ありがとね。丁寧にまとまってて分かりやすかったよ。また呼ぶかもしれないけど、よろしくね』
そして今日も警察の方から呼ばれていた。
「…まだ、何かあるんですか」
「今日は、ちょっとお話しようかと思って」
「…特に話すことなんてないですよ」
「まぁまぁ、そんな事言わないで」
「…なんですか?」
「協力したいなーって」
「は?」
「探そうとしてるんでしょ?犯人」
「まぁ、」
「だから、協力するよ」
「からかってるんですか?」
「え?なんで?」
「唯一の姉を殺された惨めな私を、からかってるんですか?」
「えー…どうしてそうなるのかな」
「ただ協力したいだけなのに…」と、小さな声で言った、警察のお兄さん。分かってる。ただの八つ当たりだって。お兄さんを見れば、からかってないってことくらいはすぐに分かる。でも、今の私には全部が嫌味に聞こえる。さっきの「協力したい」という言葉も、「(どうせ誰も頼れる人がいないんだろう。可哀想だから)協力したい」と感じ取ってしまった。本当に、嫌な奴になってしまった。お姉ちゃんが死んでから、私はずっとこんな調子だ。
「ちょっと?聞いてる?」
「聞いてないです」
「……」
「今日はもう、帰ります」
「え、あぁ、気をつけて」
「では」
「ほんとう、何かあったら協力するから言ってね」
「……失礼します」
警視庁を出て見上げた空は、3日前よりは曇ってなかった。
家に帰ろうとした時、誰かとぶつかった。
「あっ、すみません」
「こちらこそすみません…って、あなた、朱里ちゃん?」
そこには、姉の中学時代からの友人、今井花さんが目を大きく開けてこちらを見ていた。
主人公
・羽田朱里
・加賀義信
・今井花
・広河未来