プロローグ_2
プロローグ_1のつづきです。
今回も拙い文章ではありますが読んでいただけたら幸いです。
竹本に解放されたのはすっかり日が落ちてからのことだった。
夜の学校というのは古来より恐怖の対象である。7つの怪談と呼ばれる霊的現象も夜の学校を舞台にしたものが多い。
もう帰ろうか、下駄箱に向かう。
俺が襲われたとき、他2人が襲われた時はまだ日が登っている時間帯だ。ひとまず今日のところは安全に帰宅できるだろう。
等間隔に並んだ蛍光灯の明かりを頼りに夜の学校を歩いて行く。だが今の時間帯…7時頃はまだ教師達が残って仕事をしているのでぽつりぽつりと灯が付いている教室があった。
自分の靴を取り、代わりに今さっきまで履いていた室内シューズをロッカーに押し込み靴紐を少し緩め通学用の運動靴を履く。そろそろ替え時かな…土と汗で汚れた靴を見ながらそう思った。
「兄さん起きて、朝食さめちゃう…」
「あー今起きた。着替えるからドア閉めてくれ」
俺には妹が居る。歳は一つ下で、高校はおなじ。外見もいい方で赤みがかった茶髪のショートカット、背はあまり大きくなく150くらいか…ちなみに胸はない。
「兄さん最近大丈夫なの?通り魔の事件。一年の教室でも噂になってる」
坂本圭はそう言って肩を落とす。妹にこんな顔させるのは兄失格だ。
「にいちゃんにまかせとけ、落ちこぼれもやる時はやるんだよ」
手早く食器を下げ俺はいつもより20分早く家を出た。
「朝早くから呼び出して悪かったな、文香」
野菜は八百屋、薬は薬局、事件は探偵。何事にも専門家というやつがいる。西蓮文香…職業-高校生兼探偵。
そんなチートな存在が近くに居るのはご都合主義ここに極まれりだが、俺は使えるものは使う派だ。
「あんたなんかもう二度と会いたくなかったわよ」
二つに結んだ長い髪の一方を弄りながら文香は俺を値踏みするようにしたからのぞいてくる。
「で、用は何?」
知っている癖に…とは思いつつもあくまでお願いというスタンスを崩さぬよう俺はゆっくり話し出す。
通り魔に襲われたこと、容疑者にされていること、怪談のこと。
「いいきみね、あなたがしたことの対価にはちょうどいいんじゃない?」
ケタケタと文香は笑っている。
文香のこんな顔を見たのはいつぶりだろう、そういえばこいつと話すのも久しぶりだな。
文香が神隠しに遭って以来か。
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