表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

コント「取材」

作者: 堀込ケーシ


明転(照明がつく)。


一人、乱れた髪の長い白いワンピースの女性のボケ役が一人立ってぼーっとしている。

スーツ姿のさえない男性のツッコミ役が、上手側から現れ話しかける。


ツッコミ「……あの、すいません。お聞きしたいことがあるんですけど……?」


ボケ 「ひっ?!」


ツッコミ 「ああ、ごめんなさい。驚かせてしまいましたよね。すいません。私、取材をしておりましてここら辺でお聞きしたいことが……」


ボケ 「……ナンパね!」


ツッコミ「はい?」


ボケ 「こうやって、最初は何気ない言葉で何食わぬ顔で聞いて、そしたらお優しいですねとか、言葉巧みに私をほめちぎっていい気にさせて、わたしを連れていくつもりでしょ!ちょっといいホテルに!」


ツッコミ 「いきなり、妄想たくましくないですか?!違いますよ」


ボケ 「そうやって、部屋に連れ込んで、ビデオ回して、私がイスに座らされて、身長、年齢、3サイズとか聞かれて、ここ初めてですかとかいろいろとインタビューするつもりでしょ!いやらしい!」


ツッコミ 「いや、それスケベなビデオの手法!てか、そんなわけないでしょ!」


ボケ 「じゃ、なに?」


ツッコミ 「私、ここら辺で起きた最近の事故についてお話を聞いているんです」


ボケ 「ああ!それで、さえない記者がここで化けて出てきたのね、南無ナムナムナム…………」


ボケ、ツッコミに向かって、成仏してくださいとせがむ様に拝む。


ツッコミ 「いや、事故について聞きに来る記者の幽霊ってややこしすぎっ!違いますよ。生きてますよ」


ボケ 「じゃあ、生きている『さえない』あなたが、私に『さえない』質問をして、『さえない』メモをして、『さえない』記事を書くのね」


ツッコミ 「そんなに『さえない』を強調してまで伝えたいことですか?!自分でわかってますよ!」


ボケ 「で、どんなこと聞くの?」


ツッコミ 「ええ。単に、事故について知っていることお聞きしたいんです。ひき逃げなんで、事故ではなく、事件でしょうけれども」


ボケ 「見てないわ」


ツッコミ 「やはり、そうですか……。噂を聞いたりとかは?近くで住んでたりします?音を聞いたとか、事故現場を見たとか。被害者の方はちょうど、あなたと同じぐらいの方らしいのです」


ボケ 「へえ、そうなの。被害者って美人で器量が良くて、はつらつとしてて、ちょっとおてんばなのが玉に瑕の、残業、休出問題なしの即日雇用ができる私みたいな人?」


ツッコミ 「自信過剰なのが、羨ましすぎるわ!」


ボケ 「見てないわ」


ツッコミ 「そうですか……。ちなみに、失礼ですが、アナタはここで何を?」


ボケ 「待っているの」


ツッコミ 「待っていると」


ボケ 「ええ、待っているの。あの時ここで遭遇したあの人を。そして、あったら仕返しをするの。そう、顔も覚えていないあの人に」


ツッコミ 「……。(結構間を使って)結局、誰を待っているのかわからないんじゃないっすか。じゃ、そろそろ私はこれで……」


ボケ 「待って!!」


ツッコミ 「はい?」


ボケ 「あの……(チラッチラッ)、結局……(チラッチラッ)……ホテル……(チラッチラッ)……いかないの?」


ツッコミ 「まだ、ナンパだと思われてたの俺?!いかないよ!?」


ボケ 「ちぇ……」


ツッコミ 「若干、その気はあったのか……。じゃ、私はこれで」


ツッコミ、会釈をして上手側にハケようとする。ボケ、客席を見るようにぼーっとする。

ツッコミ、思い出したかのようにボケの近くに戻ってくる。


ボケ 「どうしたの?」

ツッコミ 「あ、ちょっと忘れ物を」


ツッコミ、ボケのおでこに、ポケットから出したお札のようなものをおでこに思いっきり張り付ける。


ツッコミ 「あなた、事故で亡くなった被害者の方ですよね」


暗転(照明消える)。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ