SS シャロッツの苦難。
皆さんこんにちは。
私たちは今、青空の中にいます。
雲ひとつない空は、深い青に染まってとても清々しい気がします。
今日私たち一行は、王都へ向かって空の旅を満喫中です。
いつもはかなり揺れるのですが、今日は飛竜の機嫌がいいのかとても穏やかに進んでいる気がします。
そういえば、恵梨香様が飛竜と仲良くなったのでしたね。
異世界から来たばかりだと言うのに、気性が荒く、プライドの高い飛竜と仲良くなるとは、本当にすごいことです。
もしかすると、聖女の有紗様はもっとすごいお力をお持ちなのでしょうか?
それにしても、本当に今回は順調に進んでいるようですね。
上空で飛竜が暴れて墜落、なんて事が時々おこるのですが、今回は恵梨香様のおかげで安心して乗っていられますよ。
今、どれくらいの高さなのでしょうか?
ああ、皆さんが外の方を眺めていますね……………………………………ひぃ、たっか。
え?ちょっと待って。
え?めっちゃ高いんですけど。
無理無理。
見ちゃった。
めっっっっっっっっちゃ高ない?
え?いつもは墜落しても助かりそうな低いとこ飛ぶのに、いつもの3倍は高いとこ飛んでるやん。
嘘やろ?え?こっわ。
うわっ、この下地面めっちゃ遠い思たら急に下半身の力抜けた。
やっば。足に力はいらへんやんか。
もう無理。え?なんで?
………もしかして飛竜が恵梨香様にええとこ見せよ思うていつもより高う飛んどるゆうことか。
そんなサービスせんでええのに。
あぁ、あかん。
なんか頭いたぁなってきた。
もう帰りたい。
はよ王都着かへんかなぁ。
あぁ、帰りたいぃ。
笑顔を絶やさず、しかし背中を流れる冷や汗が止まらないシャロッツの心境を知るものは誰もいなかった。