第004話 殲滅 Ⅰ
自衛隊機が爆撃していった。
魔王城の城壁にミサイルが当たってるが、全く効果がない。
当たり前だ。結界が張られているはずだ。
築地の方でも爆撃が行われている。
本願寺の辺りだ。
そこから銀座三越のあたりへ、晴海通り沿いに爆撃している。
魔物には砲撃や爆撃は有効だな。
よし、有楽町門からは魔物はもう出てこない。
門を破壊しておく。
我が魔剣で結界破断をかけ、完全に門を破壊する。
ひとまずこれでいい。
移動。
まずは行幸通り丸の内城門を目指す。
丸の内城門から流れ出た魔物は大手門方面へ向かっていた。
自衛隊も頑張って食い止めているようだ。
戦車は被害を受けてはいない。
ドラゴンはいい仕事をしているようだな。
戦車は竹橋辺りから大手門交差点辺りを砲撃しているが、我が従魔たちは丸の内城門前で戦っているようで、自衛隊やドラゴンの攻撃ではやられていないようだ。
よし、加勢しよう。
まず我が従魔達に、一斉に回復魔法と身体強化・魔力強化をかける。
さて斬り込むぞ。
全速の縮地で従魔を躱しつつ、魔法と剣で敵を殲滅していく。
何十年もやって来たことだ。
剣筋は究極的に研ぎ澄まされている。
よし。こちらも門を破壊しよう。
完了。
さて移動だ。
ドラゴンはどこにいった?
竜閑橋あたりか。
駆け付ける。
と同時に、従魔には俺とは逆方向の晴海通り側に向かうように指示する。
城門があった。
ここにいる味方の従魔はドラゴンだけだが、強力なので充分だ。
首都高とビルの瓦礫で埋まった日本橋川を越えて魔物が大量に噴き出している。
ドラゴンのブレスに焼かれながらも、仲間の死体を踏み越えてワラワラと湧いている。
しかし、おびただしい死体の数だ。おそらく百万以上の屍だ。
ドラゴン頑張ったな。次の場所へ先に行ってくれ。
俺は、ひとまず麻痺をかけ、城門前で数千の魔物を軽く足止めしておく。
武装した警官隊が発砲している。機動隊なのか。
倒せてはいるのだが数に全く追い付いていない。
火力不足だ。
離れたところでフル武装の若い警察官が十数体のゴブリンに取り囲まれようとしているところに、斬り込む。
間一髪だった。
「あ、ありがとうございます。」
「うむ」
やはり日本語はいいな。
空を見ると太陽が昇ってきていた。昼前くらいか。
「君たちは下がりなさい。今から殲滅する。」
警察官達は、緊張した顔のまま下がりはしない。
職責に忠実だ。
いや、始めての異世界からの侵攻という異常事態で動けないのか。
無理もない。
彼らを守らねば。結界を展開。
剣を空に掲げ唱える。
「目を瞑れ! 収束」
唱えると同時に、辺りがにわかに暗くなり陽光が目の前の魔物たちに集まっていく。
そして一瞬でまばゆい白色に輝き、魔物を蒸発させる。
お察しの通り、空中の水分で空に巨大なレンズを作ったのだ。
もちろん俺とその後ろの警察官には遮光遮熱結界を張ってるので影響はない。
が、それでも目はしばらくチカチカするかもな。
真っ赤に焼けて所々ガラス化した首都高とビルの残骸に登り、辺りを確認した。
ほぼ殲滅出来たようだ。
ドラゴンが焼いた死体もきれいに蒸発したようだ。
竜閑橋の城門も溶けて通れなくなってるな。
結界すら溶かしたようだ。
さすが地球の太陽だ。
よし、あとは警察官に任せよう。
次。移動だ。