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君について。

作者: 夏蜜柑

大きな独り言である。

ー 生きてきた時間で僕が成し得たこととは一体何なのだろう。


ー 何者にもなれない僕は一体何なのだろう。


ー 何事にも理由はあるはずだが、僕が今ここに居る意味とは何なのだろう。


ー 何をする為に、誰の為に、僕は産まれてきたんだろう。


午前3時を過ぎ、街が眠った後、決まってこれらの問いが僕に襲いかかってくる。

たった独り、眠れもせず、それとただただ戦っている。


「万人がそうなのではないのか?貴方だけが特別なわけではない。」


言われてみればそうかもしれない。


そうかもしれないが、そうではないのだ。


そもそも論点が違っていて、僕は僕を特別だなんて思ったことが一度もない。


家族には恵まれた。環境にも、きっと友人にも恵まれている。機会にも恵まれているのだ。


だが、結局のところそれは自らの思い込みでしかなく、脳が身勝手にありとあらゆる事情を美化させているだけなのだ。


しかし、僕はここまで書き連ねた言葉ですら自らの思い込みが招いた結果でしかないということも理解している。


僕という人間は、矛盾を孕んでいるということをここまでで理解していただけただろうか。


何を書きたかったのだろうか。

きっと何かに自分の内に溜まった想いや言葉を吐き出したかっただけだ。

周囲の者に頼ればいいものを、僕はそれを良しとはしなかった。


否定される、理解されない、という事象に対しての純粋な恐怖 ー


故に頼るということが出来なかった。


思い返すと確かにそれらに対する恐怖が元で頼るという行為に及べなかったのは確かではあるが、今ではその様な理由もなくなってしまった。


そもそも、自分の考えや伝えたいことが一切消えてしまったのだ。


当然だ。伝えるという行為を避けてきたのだから。


自業自得なのだ、今こんなにも独りで苦しんでいるのは。


苦しんでいる理由すらも分からなくなってきたが。



何度もここが潮時かと思ったことがある。

自死について考えたりもした。

しかし、結局生きている。


僕ですら僕が何をしたいのかもう分からないのだ。


何を伝えたらいいのか分からないのだ。


ただ、ただ静かに助けを求めるしかもう道は無くなってしまった。


弱い事を是としなかった、弱い自分が嫌いだった。弱さを見せないようにした。それでも根の部分は弱いままなのだ。


気付いてしまった。


いつか、弱い自分を許せる日がくるのだろうか。


「強くなろうとはしないのか?」


もう一人の僕がそう語りかけてくるが、妄想の産物であるそいつの発言に説得力などない。


少し、眠ろう。

あなたの脳裏にはすでに私が住んでいる。

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