第5話 〔パートナー契約〕
これで、第2段階に移ることが出来る。
俺は早速、向かった。散々蹴り飛ばし、倒し続けてきたスライムの元へ。スライムならどれでも良かった。
そして、[パートナー契約]を結んだ。
パートナー契約。それは、この世界では、地球でいうところの結婚式と同じくらい重要な出来事だ。
人間は、人生で一度だけ、1匹の魔物と[パートナー契約]を結ぶことができる。
その魔物に、名前を付けてやり、生涯一緒に過ごすパートナーとするのである。
貴族などの意識の高い人たちは、小さな頃から魔物の知識を教わり、どの魔物が自分に適しているのかを十分に吟味した上で、満を持して魔物ショップに買いにいく。
エンシェントドラゴンや、ゴールディックスライム、エンシェントエルフなど、強力で役に立つ魔物達がそこには売られている。
お金が無くて比較的貧しい家庭でさえ、パートナーを買うときだけは、貯金をはたいて奮発する。
だから、間違っても、、、、、どんなに間違っても、、、、、ただのスライムなどと〔パートナー契約〕を結ぶやつなんかいない。
スライムは、初期ステータスが最弱な上、獲得不可能なスキルが多数存在する。
ただのスライムなんかをパートナーにしていたら、笑い者にされる。いや、そんなものでは済まない。蔑まれ、差別の対象にもなり得る。
というのが世界の常識。
見事なまでにその常識を踏み倒し、あっさりとそこらへんにいたスライムと〔パートナー契約〕を済ませた俺は、いそいそと拠点に帰った。〔パートナー契約〕を行ったスライムを抱えて。
俺は頭がトチ狂ったのか。いや、そうではない。ちゃんと考えがあるのだ。
俺は知っている。ただのスライム。1番最弱のスライムにしか獲得できない特殊スキルの存在を。
スライム固有スキル【合体】ランク下
〔条件〕
○「スライム」のみ獲得可能
〔効果〕
○スライム一体を吸収し、ひとつの個体となることができる。
○二体まで合体可能。
これが、【合体】のランク下の効果。
ちなみにランク中では3体まで合体可能になり、ランク上では4体、ランク極では6体と合体できるようになる。
何の意味も無い効果に見えて、実はものすごい意味がある。それは、合体すればするほど、スキル獲得の枠が増えていくことだ。
スライムは、もともとひとつのスキルしか獲得できない。それは、スキルの枠がひとつしか無いからである。だが、ただのスライムだけが獲得できる【合体】を使えば、たくさんのスキルを所持できるようになる。
スキルの枠が多いことのメリットの大きさは、初期ステータスの低さを補って余りある。
だからこそ、俺はスライムをパートナーに選んだのだ。