第1話 異世界転移のきざし
寝る間も惜しんで真剣にプレイしているゲームがある。このゲームの特徴は、なんといってもスキルの種類の多さ、そしてその重要度だろう。このゲームでは、すべての強さがスキルで決まるといっても過言ではないのだ。
今日もひたすらスキルランクアップやスキルの情報収集にいそしんでいた。
あまりにも睡眠時間を削り過ぎたため、いつのまにか寝てしまっていた。
その時、とてもリアリティの高い夢を見た。
幻想的な世界。目の前にはお爺さんがいる。なぜか体がぼんやりと光っていた。
「こんにちは。わしは神じゃ。といっても、そこまで大きな力は持っておらん。わしに出来るのは、ユニークスキルをひとつだけ与えて、転生させることくらいじゃの。」
最初は、何言ってるんだろう?としか思わなかった。しかし話を聞けば聞くほど、本当かもしれないと思えてきた。いや、本当の出来事だと思いたかった。夢の中でそんなことを思えてしまうのも変なものだが。
とにかく俺は、この現実世界が嫌いだ。最初はこのゲームも、現実逃避として始めたのだ。そしていつからかゲームにのめり込む毎日を送っていた。
そんな中、ありえないほどの存在感とリアリティを持った神が現れたのだ。信じてみたくなるではないか。神さまはこう続けた。
「お主はそのげぇむを熱心にやってくれとったようじゃが、、、。ここまで細かい設定、キャラクター。これらの要素をこんなに手軽に詰め込んだもの、、、。
こんなのを人間の手で作り、管理するなど、あと40年早いわ。これはワシが作ったげぇむなんじゃよ。
そのげぇむを監視して、優秀そうな人間を転生させる。それがワシの仕事じゃ。」
神様はまだ続ける。
「実はの、そのげぇむは、ある世界の模倣品みたいなもんじゃ。もし、お主が良ければ、その世界に転生してはくれんかの?そのかわりひとつだけユニークスキルを選ばせてやるし、ほかに誰もいないお主だけのダンジョンを3年間使用するする権利つきじゃ。
そのかわり、、、と言ってはなんじゃが、魔族と戦って欲しいのじゃ。このままだと人間側が負け。世界のバランスが崩れてしまうのじゃ。」
「分かった。やろう。」
俺は気付けば答えていた。自分でもこんなこと有り得ないと理解している。それでも、、、。
YESと答えたかったのだ。
「ほっほっ。おどろいたのぅ。本当にいいのかね?」
「いいよ。俺にはこのゲームしかないんだ。そのゲームの世界に行けるのなら最高だ。」
「そう言ってくれると助かるわい。では、転生は二日後じゃ。約束通りユニークスキルをひとつ授けよう。資料を渡すからよく読んで決めるのじゃぞ〜。それとのぅ、初期ステータスも選べるからよーくみて選ぶのじゃぞ。」
そう言って、神様は去っていった。