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魔王ですが勇者を育ててます  作者: かなめ ちま
3/9

人間について学びます

 魔法を習い始めて数か月、季節もすっかり暖かくなった。

 しかし、最近は雨が多くて、巣から出れない日も多い。


 魔法を習い始めたときは、多分小型犬ぐらいの大きさだった。

 今、私は中型犬ぐらいになっている。

 まあ、他の兄弟達は魔法を習い始めた時のママぐらいの大きさになったけど。

 ママは、大きくなった。


 「ママ、ママは大人なのに大きくなるの?」

 「ああ、ファムいきなりどうしたの?」

 「私もまだまだ大きくなれるかな? って思ったの。」

 「・・・。ファム、落ち着いて聞いてね。私達バステトは体内に魔力が満ちるとそれに合わせるように体が大きくなるの。ファム達が魔法を使う頃は子供を産んで魔力が一番少なかったから、体がそれに合わせるように小さくなってたのよ。」

 え? ママは今、ロバぐらいの大きさはあるよね?

 子供産んだら大型犬ぐらいになるって、子供産むのって大変じゃない?

 「そうねぇ・・・、女の子たちは話しておいた方がよさそうね。」


 「フェイ、フィナ、ファムこちらにいらっしゃい。」

 「「「「なになに?」」」」

 ママは女の子たちを呼んだのに、フォンやフウまでやって来た。

 「フォンやフウは呼んでいないのよ。」

 私が言ったら、フォンは苛立たしいようすでしっぽをぶつけてきた。

 3本もあるから、結構痛い。

 「ファム、フォンやめなさい。いいわ、男の子たちも聞いておきなさい。」

 ママが止めたので、私はフォンに飛びかかるのをやめた。


 「女の子たちは良く聞いて、私たちは『バステト』という種族です。バステトは子供を産むと体に貯めた魔力を半分ぐらい使ってしまって、体が小さくなるの。」

 他の兄弟は、ママがちょっと前まで小さかったことなんて気付いていなかった。という顔をしてお互いに顔を見合している。

 「体が小さいと、大型の獣や魔獣、人間に殺される確率が高くなるわ。」

 「人間!?」

 私は、思わず叫んだ。だって、生まれてこの方人間なんて見たことなかったんだもの。


 「ファムあとで、人間について教えるわ。」

 私はあわてて口をつぐんだ。


 「体は魔力を貯めると少しずつ大きくなるわ。ある程度体が大きくなるとしっぽが増えるの。」

 え? そうなの? 私は、しっぽが少ないからあまり、魔力を貯める練習をしてこなかった。

 明日からの練習に、魔力を貯める事を追加しよう。


 「体が小さい今の時期に子供を産んでしまうと、春に狩られる危険が高まるから、ママぐらいに大きくなるまでは子供を産まないようにしてね。ママからのお願いよ。」


 「「「はーい。」」」私達女の子は、仲良く返事した。


 「それから、フォン、フウ。あなた達男の子は、女の子達を守ってね、男の子は女の子のように、子供を産まないからずーっと大きくなれるわ。お嫁さんと子供を守れるようになるまでは、強くなるように練習をしてね。」


 「「はい。」」フォンとフウは何か考えることがあるのか、短く答えた。


 「みんなは、狩の時に大型の獣や魔獣を見たことがあるでしょう?」

 そう、私達はもう小鳥だけじゃない、普通に大型の獣や魔獣を狩っている。


 「でも、1匹の時に遭遇すると、まず今のあなた達では逆にエサにされるわ。」

 みんなが息をのむ音が聞こえた。もちろん私も目を見開いて驚いている。


 「巣立ちの時は、基本1人だから。今までと同じような感覚でいるとすぐに死んでしまうわ。」

 ・・・まだまだ、実感がないけど巣立ち=独り立ちだから・・・。


 「それから、『人間』と呼ばれる種族が居ます。かれらは、弱い生き物よ。でも、『道具』を使って、私たちを狩ることが出来るの。」

 兄弟達は、まだ見たことがない『人間』に興味深々。

 「人間って大きいの?」

 「ママより背の高いものもいるし、小さいものも居るわ。でも、人間は大きさではなくて、道具で自分で大きい獣を狩ることができるのよ。今度雨が上がったら、近くで人間を見てみましょう。その時は絶対にママのいう事を聞いてね。」

 「「「「はーい。」」」」

 「ママ、人間は魔法を使うの?」

 「ええ、魔法も使うわよ。」

 この世界にも、人間が居たんだ。

 道具って、銃とかもあるのかな? 飛行機が飛んでいるのは見たことが無いけど、どれだけ文明が進んでいるかはわからない。

 魔法があると、文明は中世ぐらいで発展しなくなるっていうのが、デフォだけど、この世界もそうだとは限らない。

 考え込んでいると、ママが優しく毛づくろいしてくれた。

 「そんなに、心配しなくても大丈夫よファム。対処の方法を教えるから。」

 「うん。」

 ママの考えている心配とちょっと違うことを考えていたんだけど、私は明るく返事をして、洞窟の入り口へ向かった。


  



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