第七話 『学び舎』
「・・・・・・・・・・」
いきなりの無言を許してほしい。
手続きがあるといっていたみんなと、職員室で別れた天。
まぁ、当然教室へと足を運んだわけだが・・・。
そこは、女の園だった。
簡単に言えば、男の姿が見当たらない。
「ここはいつから女子高になったんだ?」
とりあえず、自分の席だと思われる場所にカバンを置く。
「おはよう、天君。それがね、男の子達みーんな職員室行っちゃった」
答えたのは、俺の隣の席の少女。
一般的に美少女の部類に入る、戸倉怜奈。
ある鬱アニメのキャラクターのあだ名と同名なので、あだ名はレナだ。
「お、レナ。おはよう。職員室って・・・・・あぁ、そういうことか」
転入生を一足先に見ておこうと、職員室へみんな行ってるらしい。
「それにしても・・・・これはなぁ・・・・・・」
「たぶん、他のクラスも似たようなものだと思うよ」
それにしても、転入が決まったのは昨日だぞ・・・・・・。
「なんかね、新聞部の新聞に『転入生は美少女?』とかいう記事があってね」
「またあの新聞部か・・・」
うちの学校の新聞部は、かなりの勢いでスクープ好きというか。
とにかく、関わると厄介なことこの上ない。
「それで、今日の朝玄関に張り出されててね。天君きづかなった?」
「全く」
学校のしきたりとして、転入生は職員専用門から入ることになっている。
職員専用門から入って、階段を上れば職員室だ。
俺は付き添いとして一緒に行ったのだ。
「いや、まぁな。職員専用門から入ったから」
「あ、そういえば天君の親せきだっけ。やっぱり可愛いの?」
「・・・・・黙秘します」
「あーー、ずるーーーい。そんな少し前の犯人の会見みたいなこと言わないでさーー」
「・・・・・黙秘します」
「・・・・・いいよもう、天君の馬鹿!!」
「一応お前より頭はいいがな」
一応、俺は運動も勉強も学年でトップ5維持だからな。
「そういう馬鹿じゃないもん!なんかこう、本質的に馬鹿!!!!」
ひどい言い草だな。
「負け犬の遠吠えほど見苦しいものはないね」
「あぅ〜〜〜、ひどいよ圭一君」
「うるさい、俺をあんなほとんどの確率で死ぬ鬱アニメの主人公と一緒にすんな」
今の声、微妙に竜宮レナに似ていた(アニメ『ひ○らしのなく頃に』参照)。
まぁどうでもいいけど。
「えーー、でも圭一君に声にてるよーー」
「似てない!これは俺の声だっ!!!」
あーーー、朝から怒鳴ったからか頭がキーンと・・・・。
「また夫婦漫才が始まったよ」「奥さん、あれが狩崎天君ザマスわよ」「あらあら、結構お似合いですわね」「朝からラブラブしないでほしいね」
「てめぇら黙れええええええええええええええええええ」
「あ、聞こえてた」「あらまぁ、恐い」「反抗期ザマス」「うるさいぞ、狩崎」「おまえが黙れ」「朝からうるさいー」
女子の一斉攻撃を食らった。
なに?俺が悪いの??
「ほーーら、うるさいってよ?圭一君♪」
「もうぜってぇ宿題見せねぇ」
「なっ!?それはダメーー。分かったから、それだけは許して!」
「まぁ、お前のこれからの行動しだいだ」
「ちっ」
「聞こえてるぞ、舌打ち」
とりあえず、俺はカバンから文庫本を取り出し・・・。
取り出し・・・・・・。
あれ?何これ??
俺の愛読書の『涼○ハルヒの憂鬱』が入ってねぇ。
変わりに、なぜか論文集が入ってやがる。
「緑さんか・・・・・」
あの人もやってくれるな・・・・。
「レナ。ちょっとラノベ貸せ」
「いいよーーー。よっしゃ、これでチャラだね」
「やっぱいい」
「あーーー、今のなし今のなし」
そう言って、カバンの中から本を取り出し渡される。
「サンキュー」
少し珍しいかもしれないが、こういうことくらい日常茶飯事。
このクラスのオタク率は65パーセント(当社比)だ。
当然男女でな。
俺は借りた本(灼眼の○ャナ)を読み始める。
現在時刻8:12。
10分は読めるな・・・。
ということで借りた本を読み、たまに雑談を交わしながら時間を潰す。
キーンコーンカーンコーン
42ページ目に差し掛かったところで、チャイムが鳴った。
「これ、ありがとな」
「読みたいときはいってねー」
「ん」
「・・・・・・ち〜〜〜っす」
担任の渡部勇夫が入ってきた。
目の下には常備くま。
髪はボサボサで、まぁ完璧にダメな大人だな。
「あぃ、号令〜〜・・・」
「きり〜つ、きょ〜つけ〜〜〜、れ〜い」
学級委員長の気の抜けた声(意外としっかり者)。
ホームルームが始まる。
「えーー、みんな知ってると思うが今日は転入生が7人もいる。こんなに一気に来たのは初めてだな。まぁ、適当に自己紹介してもらおう。いいかぁ、暴れるなよーー・・・」
そう早口で一気にまくし立て、教室の隅へと引っ込む渡部。
「どーぞーー・・・・・・」
そして、ついにドアが開け放たれる!
「「「「「「「「「「「「「「うぉぉぉぉおおおおおお!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」
これは、全教室まで響いてるのではないかと思われる。
男たちの絶叫(俺除く)。
いやぁ、耳栓しといてよかった。
隣を見てみると、
「あぅ〜〜〜〜」
耳を押えて机に突っ伏す一人の少女がいた。
「計画性、という言葉を知らんのか?」
「ひどいよ・・・。殺人だよこれ・・・・・・」
急にさっきの雄叫びが嘘のように、静まる。
それを合図に、自己紹介が始まる。
最初はリナ。
「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人・み」
「ちょっっっとまったあああああああああああああああああああ」
思わず叫んじゃいました。てへっ。
「ちょ、おま。どこでそれを・・・」
「ん〜〜〜?天のカバンの中にあった本だよ〜〜〜。おもしろいから、借りてるーーー。変わりにボクの愛読書入れといてあげたから♪」
犯人はおまえだったのかっ!!!
「おい、狩崎・・・・どういうことだ・・・・・・?」
いきなりかかる、かなりドスのきいた声。
AHAHA!あれは空手部主将ジャマイカ!!!
「あたしはーー、ライヤ・アリアスです。えっと天君の妹だよ♪」
「嘘つくなああああああああああああああああああ」
「嘘か・・・・殺すしかないようだな。妹でもない少女にお兄ちゃんと呼ばせてるとは・・・・・」
これまたドスのきいた恐ろしい声。
「我輩は唯羅亞蒼。魔界からきた」
「いきなり正体ばらすの!?いやいやいや」
「「「魔界からきたのかぁ〜〜〜」」」
「え?納得するの!?おかしいだろ!!!!!!!」
「うるせぇよ、どカスが・・・」
・・・・・。
「わたくしは、ミンテ・アイナです」
「・・・・・・」
「それだけっ!?なんか言おうよ!!!!」
「アイナ様に口答えすんじゃねぇよ・・・・」
そこでキレルかぁ〜〜〜。
「俺は黒川清。趣味は暗殺と・・・・・暗殺」
「いやいや、同じだし!なにその趣味!!!」
「あんだよ、いいじゃねぇか、暗殺。かっけぇじゃねぇか・・・・」
どんな頭してんだよ・・・。
(私は0。おまえらのようなカスとは喋るきないのでヨロシク)
「いやいやいや、カスっておい!!しかも普通にしても喋らねぇだろうが!!!」
「カス・・・邪魔だよ狩崎・・・・・・」
おまえらはなんだああああああああああああああああああああ。
「私は藤宮緑です。一応得意なのは料理です♪天様達だけにしか作りませんけど♪」
「それ余計!!!」
「狩崎・・・・・」
なぜだああああああああああああああああああ。
「「「「「「「「「かーりーさーきーーーーー!!!!!!!!」」」」」」」」」」」
「なんで俺なんだあああああああああああああああああ」
「あ、ちなみにボク達天の家で住んでるから♪」
「それ言っちゃらめええええええええええええええええええええ」
「「「「「「「「「ぶっ殺す!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」
1年C組(俺以外)、初めて団結した瞬間だった。
「ちょ、やめろ。そこ、木刀だすな!!って、先生もさりげ入ってんじゃねぇ!!!ぐへっ、今殴ったの誰だ!!ぶっこ・・・すいません、ぶっころもち!ちょ、痛い痛い。グーはやめろ!!!だからって、パーにしてんじゃねええええええええええ」
そして、俺クラス(先生含む)戦争が始まったのであった・・・・・。
と思ったら、
「・・・・・・・そこの虫けらども。離れなければ・・・・・殺る・・・・・・・」
そんな、ドスとか通り越したような声が、俺への猛攻を止めた。
その声を発したのは、唯羅だった。
「・・・・3分間まってやる・・・・・・・(天空の城ラ○ュタ参照)」
「どこで覚えた・・・・」
キーンコーンカーンコーン
丁度いい(?)タイミングでチャイムが鳴り、それまでの険悪な雰囲気は霧散していた。
そして、席についていないのは俺だけになっていた。
「え、ちょ、なんで!?」
「こらぁ〜〜、狩崎。さっさと席つかんかーー。ホームルーム終われんぞーーー・・・」
「てめぇら、覚えとけよ・・・・」
そんなこんなで、俺の波乱万丈高校生活が始まるのであった♪
みなさんこんにちは
また、主人公が男子生徒に殺される(?)話になってしまいました。
正直とても書きやすいので(すみません
9月なのに暑く、正直続きを考えるのがダルイです。
夏バテかな?なんて思ったりもしてます。
そういえば、『となまお』ももうすぐ完結なのでこれで負担が減ったりしそうです。
ではでは、これからも『おれかみ』をよろしくお願いします。