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サキという主人、いや仲間

買い物を終え再び宿屋に着くともう日が暮れていた。

楽しい時間はすぐ過ぎるといったところだ、こんな感覚は久しぶりで昼過ぎに買い物に出たはずなのに疲れは全くない。まぁ、俺だけだったようだが。

部屋に着くなりベッドに飛び込んだサキを見てなんだか申し訳ない気持ちになる。

どうにも2年もの間奴隷身分として商人や、品定めする人に酷い扱いを受けているとあれほどサキに言われたのに主人と奴隷という主従関係がなかなか抜けないから困る。嬉しい悲鳴というやつだ。


「疲れたわね〜。んー!お腹も空いた!」


「あまりうまくないですけど回復魔法をおかけしましょうか?」


「いや、いらないわ。あー疲れた!って感じると生きてるって心地がしてたまには良いと思うの!」


「はぁ、よくわかんないです。」


「それに回復魔法ぐらい自分で出来るもの、とびきりのやつをね?あ、そこの椅子使っていいわよ、あとその棚も。」


ずっと買った荷物を持ち扉の前で立っていた俺を見かねてかサキはそう言うとベッドの脇に座りなにやらゴソゴソと小さなポーチを漁って、あったあったと呟き何かを自慢げに見せてきた。


「じゃじゃーん!私の冒険者&ステータスカード!」


「な........な、ど、どうして........」


彼女のレベルやステータスは目を疑うものだった。

名前はイトウ サキと登録されているものの、不思議なことに年齢不明、出身国不明と明記してある。

レベルは最高が99の内で73レベル。職業は魔法使いの上級職で全職業の中でも最高峰である賢者。すでに全魔法は習得済みであった。

さらに目を惹くのは装備欄。ローブもなかなかの素材で出来た物を使っているのだがそれも霞む存在感を放つ2文字。

神器。

彼女の持っている杖は神器のようだ。どうりであんなに大きな魔石が付いてる訳だ。飾りかと思っていたが時折、青白く発光しているのを見ると精霊などが宿っている超一級品だとわかった。

神器のおかげかわからないがスキルランクもステータスもほとんどがSSSであり、一番低くてSという優秀さだった。

学校の成績でいうとオール5、さらには運動神経抜群で精霊が宿る程の人望もあるということだ。


「....あの、魔族か何かなんですか?」


「いいえ、ただの人間よ。だけどちょっとだけ神様の加護を受けてるって感じかな?」


唇に指をあてからかうような笑顔が眩しい。

可愛すぎて眩しいのか、神々しくて眩しいのかわからなくなってきた。今俺はどんなに気持ち悪い顔をサキに向けているだろう。


「....私のことどう思った?ちょっと引いた?」


か細く、弱々しい声音で聞いてきた。

その眼差しはさっきまでとは違い伏し目がちで、どこか不安に怯えていた。

俺は彼女のことを恐いとか、気持ち悪いなんて思わない。


「なんというか....納得がいったと言いますか....」


「?....それはどういうこと?」


「俺の見解としては....まずこの国、というか世界でも珍しいような綺麗な黒髪黒目。まったく違った価値観を持っていて奴隷をパーティとして受け入れるなんて普通ありえませんし、奴隷市場でも俺の女子力スキルをとても重要と言っていました。一目で神器級だとわかるような杖を堂々と持っているのも強さ故のことだと思いました。それと、東で噂の大魔道士だなんて嘘だと決めつけていましたが街中の掲示板でドラゴンの死体の上でポーズをとっているのがサキだとわかり....本当なんだなと。神様の使いか、それとも神様か、そうとしか考えられなくてやっと納得したところです。」


鳩が豆鉄砲をくらったようにポカンと口を開けたサキ。

賢者様には不釣り合いな見事なアホ面だ。

ぷふっ、と思わず吹き出しそうだ、いや吹き出した。

慌てて口を隠すと、サキも我に返ったようで両手で顔を隠すと指の間から目を覗かせる。


「驚いたわ。ルドルフって賢いのね。」


「そんなことないですよ。ただの奴隷の成り上がりみたいなもんです。」


「またまたご謙遜を。聞く限りじゃあ随分早い段階で私のこと怪しいと思ってたようだけど何でもっと早く指摘しなかったの?」


「まだ買われたばかり、というのが一番ですがサキの言動に感動してとても心地よい時間を送っていたので空気を壊したくなかったんです。気に触りましたら謝ります。」


「ルドルフは大和撫子みたいね。女子力スキルカンストが頷けるわ。」


気を悪くていないようで安心だ。

ヤマトナデシコとはなんだろうか?国の仲間か何かだろう。女子力スキルに関係ありそうだから覚えておこう。


「じゃあ次はあなたのスキルを見せてもらう番ね!」


ベッドの脇から急に立ち上がると期待の眼差しを向けて張り切った口調でそう言うも、俺はなんのことかサッパリわかっていない。

俺のスキルって女子力スキルのことか?

頭上にクエスチョンマークをたくさんつけているとサキは先ほど買ってきた物の中から調理器具一式と、持ち込んでいた食料を持ちこちらに寄ってきた。


「さぁ、お手並み拝見ね!」




サキが転生した時の話はいつか書きます

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