第四十三話 交易~前橋
(伊佐)つきましたよ みなさん 前橋の町です
馬車はようやく 目的の町に着いた 時刻は昼くらいだろうか?
町中心部に向けて 大きな道路がひいてあり その道路を挟むようにして
沢山の店や民家と思われる家が建ち並んでいる
馬車は町の中心近くまで進むと 一際大きな建物の前で止まった
(伊佐)皆さん目的地に着きました 降りましょう
一行は皆 馬車から降りると 町を見渡している
時代劇のセットのような 江戸時代風の家が建ち並び 家元達にとってはテーマパークに来たようでもある
(漁師の男) では、皆さん我々はこれにて 本当にありがとうございました
しばらくはここに根をはり 暮らしていくつもりです
そう言うと男はあかねの手を強く握りしめた
(漁師の男)おじょうさん 御恩は決して忘れません
また この町に立ち寄る際がありましたら お声掛けください 本当にありがとう
(あかね)いいえ いいんですよう 頑張ってくださいね
漁師の男と娘たちは あかね達に手を振ると 何度も何度も頭を下げながら去って行った
(あかね)おじさん この選択は絶対に間違ってないよね 絶対にイイ事したもん
(家元)一人奈落に落ちましたけどね( ゜Д゜)
家元はそういうと うなだれて見せた 流石にショックが隠せないようだ
明日からメシ代も払えない レヌルに借金するしかないのだろうか?
そんなことばっかり 考えていた
そんなやり取りをしてると
(伊佐)家元さん 荷物降ろすので手伝ってください
伊佐はそういうと 家元を手招きした あ、そうだ 本来これはバイトで来てるんだった
ちゃんと働けば バイト代もらえるかもしれない
(家元)あ、今いきます~( ゜Д゜)
伊佐に少しでもアピールしようと 家元は小走りに手伝いに行った
―――――交易市場ーーーーー
大きな建物は交易市場と言われる巨大な市場だった
無数の出店が建ち並び 野菜、果物、魚、肉、などの食料品だけでなく
衣服、薬、更には武器の類まで 様々なものを取り扱っていた
市場のはずれには 倉庫と思われる大きな蔵が何個も建っていて そこに家元達は
持ってきた桐の箱を運んでいた
(蔵の前に居る男)おおお 篝さんじゃないか 久しぶりだねえ
(篝)お久しぶりです 弥太郎さん
篝が弥太郎と呼ぶ男は市場の責任者なのだろうか? 少し小太りで 身なりもいい
少なくとも 貧乏人では無いというのは 一目でわかる
篝たちが置いた 桐の箱をどれどれと 弥太郎が物色する
弥太郎が桐の箱の中身をひととうり見終わると
(弥太郎)ちょっと 今回は品が少ないねえ でもモノはいいものが多そうだ
しばらく 来なかったけど 里の食料備蓄とかはダイジョブなのかい?
(篝)いえ もうギリギリです なのでこの交易失敗すると大変なんです
(弥太郎)ああ、そうなのか 狂獣が居たからねえ 東側に交易しようって人はそういやしばらく
居なかったかもしれんね あれ?でも狂獣居たのに よく来れたねえ
(篝)交易道に巣くっていた狂獣は討伐しました
なので 交易再開したんです
そう篝が言うと 弥太郎は両手を上げておどろいた
(弥太郎)うひゃー あの化け物を倒したのかい そらとんでもねえな
こりゃ 他の商人の人達にも伝えねえと
また東交易再開できるなら 嬉しい限りだねえ
そう言いながら 弥太郎は品物の物色を続けた
(弥太郎)ん?この槍は また面妖な見事な槍だけども
(伊佐)それは狂獣の遺骸で作った槍です
(弥太郎)しかし 槍にしては 刀身がやけに薄くないかい? 包丁より薄いんじゃ
(伊佐)ですが 見てください
そう言うと伊佐は 槍の刀身を叩いてみせた
ここまで薄いと揺れたり するものだが びくともしない
(弥太郎)うわ なんだこれ がっちがちじゃないか
どういう材質なんだね すごいね
槍の刀身は紙のような薄さで なおかつ太い金棒のように頑丈だった
(弥太郎)この槍は競売にかけるかい? かなりの値が付くと思うぞ?
(伊佐)はい 元よりそのつもりでした お願いします
弥太郎とそんなやり取りをしていると
(???)おお~ 誰かと思えば服部の小僧じゃないか?
しばらく見ないうちに デカくなったもんだな
目つきの悪い 陰湿な風貌の男が 伊佐に話しかけてきた
第四十四話 につづく




