第二十七話
--ぐおおおおおおおーー
家元の姿を見るや否や 巨大な獣は前足を振り下ろしてきた
家元はとっさにハンマーで受ける
--ド―――――――――――んーー
まるで爆撃音のような凄まじい音があたりに響く
(家元)うおおおおおおおお
受けた瞬間脳が激しくゆさぶられる
今にも意識を失いそうだ
まるで上からタンクローリーが降ってきたかのような衝撃
怪力となった家元が全力で踏ん張るが今にも潰されそうだ
踏ん張る地面にどんどん両足がめりこんでいく
なんて衝撃だ
(家元)うあ、肩が
左肩がずきずきと痛む どうやら脱臼してしまったようだ
まったく力が入らない
巨大な獣はこちらをにらんだまま 円を描くように
家元をにらみつける
体の大きな獣の特徴 どうやら一発ごとにエネルギーがいるようだ
イタチのような連続攻撃はおそらくできないのだろう
(家元)とにかく肩をはめないと
柔道の試合中に肩がはずれたこともあった
だが試合中になんらかのひょうしで肩が入ったって経験もある
痛みの具合からも軽い脱臼なのは間違いない
とにかく動かしていればなんらかの拍子に入るかもしれない
家元は右手で左腕を上下左右に動かし続ける
だが一向に左腕に力が入らない
--ぐおおおおおーー
エネルギーがたまったのか 巨大な獣が家元目掛けて突進してくる
家元はとっさにハンマーを捨て
横っ飛びに回避した
---ぶーんーーー
巨大な獣の前足が空を切る
風圧だけで前にあった木々がめきめきと音を立てて折れていく
イタチのような風を切る力は無いようだが
威力はイタチの非ではない
一発でもマトモにもらったらぐちゃぐちゃに潰されるだろう
(家元)あれ? 肩がはまったか?
横っ飛びに飛んだ時の衝撃で左肩が入ったようだ
まだまだじんじんと痛みはするものの
左腕に多少の力は入る
力を入れるだけで痛みが走るので 全力は出せそうにない
とりあえず家元はハンマーを拾う
横降りはキツイので左手を軸にして縦に振り下ろす
(家元)はああああああああ!
ーーがんーー
ハンマーはチャージ中の巨大な獣に命中した、、が あきらかに効いていない
最初の一撃は数メートル吹き飛ばせたのだが
今の一撃は数センチのけぞっただけ
チャージ中じゃなかったら反撃死しているレベルだ どうやら肩が外れた影響は想像以上だったようで
(家元)これは、、、
家元は取捨択一をせまられる
ようは 狩るのか逃げるのかだ
この獣は突進力はあるが イタチのような俊敏性はない
なんとか黒猫が逃げる時間を稼げば
別に倒す必要はない
家元はハンマーを放り投げる
(家元)黒猫さん 僕が時間を稼ぐので逃げてください
家元は巨大な獣の気を引くように目の前を走り出す
獣は前足を振り下ろすが間一髪で避ける
そのまま一定の距離を保ちながら 巨大な獣のまわりを円を描くようにまわっていく
闘牛士のように獣に突進させてはひらりとかわしていく
まわりの木々はどんどん獣によって踏み倒され
森はまるで平地のようにひらけていった
(家元)こっちだ
また獣の攻撃をひらりとかわす家元だが
ーーがきーー
かわした直後片足が着地直後に何かに挟まる
足先がつたにからまったようだ
(家元)まずい
とっさに足を引き抜こうとする家元だが
その拍子に近くの倒れた木々を蹴飛ばしてしまう
つたに絡まった右足の上に蹴飛ばした木々がひっかかる
前からも転がってきた木々に右足がサンドイッチされ
ひっかかったつたを外すことができない
(家元)マズイ、マズイ、マズイ、マズイ、、、、
家元はあわてて木々をどかそうとするが時すでに遅し
---ぐおおおおおおおーーー
巨大な獣が前足を大きく振りかぶっていた
第二十八話につづく




